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姉、着せ替え人形になる



「エスメ様。ご準備はよろしいですか?」


在館中は私の世話をしてくれるとアメリアから

紹介されたメイドさんの声かけに、


「はい。よろしくお願いします」


返事を返すと同時に覚悟と呼吸を整え、


「では、参ります」


私の息を吐く呼吸を合わせての告げられた言葉と

同時に容赦なく締め付けられ、圧迫で苦しく感じ

るが、ここまでの時間と労力を無駄にすることは

できず、


我慢し息を吐き続け、


「呼吸を吸っていただいても大丈夫です」


メイドさんの言葉にゆっくりと酸素を吸うも

すぐにコルセットの圧迫で満足ができる程、

酸素を吸う事はできなかったものの、


何度か浅い呼吸を繰り返しようやく満足が

できるほどに酸素を取り込め、ほっと息を

溢すも


「できたわね。ではこれを着付けてちょうだい」


それが終わったらこちらにしてね。


クロエ様の素早く的確な指示にメイドさん達も

迷いなく動き始め、


「エスメ様。失礼いたします」


鯨のひげで作られたクリノリンを着付けて貰い、

パニエもつけられ、メイドさん達に手早く着せて

貰ったドレスは空色に銀糸で刺繍された大きな

植物の入ったドレスは、目に入った瞬間に視線を

奪う程に綺麗で、


鏡に映った自分の姿に思わず歓声を漏らすと


「小ぶりの刺繍のドレスも素敵だったけれど、

大柄の刺繍も似合うわ」


満足げに頷き、感想をくれたクロエ様と


「とてもお似合いですわ」


頬を染め、嬉しそうにはしゃぐアメリアの

褒め言葉に、


「ありがとうございます」


照れと恥ずかしさが入り、否定の言葉が出かけたが

グッと抑え込み、お礼を伝えると、


「大柄は主張が強いから敬遠されがちだけど、

似合う人が着ればとても映え、目を惹き来た者を

引き立たせる事ができる」


クロエ様が同じ鏡に映る様に立つ位置を変え

鏡越しに目が合うと


「勿論、柄に負けない人物という条件付きだけど。

貴女には良く似合うわ」


ディランやお父様とお揃いの鷹色髪に上は空色

下は茶色の瞳。


良く動くからか、一般と同じ体型をしているので

コルセットで底上げして丸みを帯びた胸はあるが

マンチュアは品よく隠してくれ体型は気に

ならなかった。


もしかするとファッションプレートに掲載されて

いたかも知れないが、記憶にない手の平よりも大柄

な銀糸はよくよく見れば純銀の糸だと分かり、


浮かんが数字に着る事に心の中で悲鳴を上げ

怖気ついたが、表情と態度に出す訳にはいかず

震えそうになる足に力を淹れ堂々と立つ事に

意識を集中させると


「お母様。そのドレスも素敵ですが、こちらも

着て欲しいのです」


アメリアの言葉と共に差し出されたドレスは

淡いパステルカラーとレースが付けられた

ドレスに、


なんだか絵本に描かれるお姫様が着ていそう。


前の人生で読み聞かせる為に開いた絵本に

載っていた雰囲気とよく似たドレスに


マリーに似合いそう。


柔らかく穏やかな雰囲気を持つマリーが

着ている想像をすると、淡いパステルカラー

が良く似合い、


自分では無いと思いつつ眺めていると


「そのドレスはマリーさんにお渡ししなさいな」


クロエ様の一言にアメリアは答えが判っていた

様に頷きメイドさんにその指示を出した後、


「エスメさんはこちらのドレスを着てね」


差し出されたのは深紅のストマッカー方の

ドレスに目眩がしそうになりつつも、

返事を返す前にドレスが脱がされ、真紅の

ドレスを着せられた。


「良く似合うわ」


クロエ様の言葉と


「ええ。わたくしの眼に間違いはありませんわ」


誇らしげなアメリアの言葉に、恐る恐る鏡を

見ると、おろした鷹色の髪と真紅が良く合い、

胸の部分が大きく開いているからか、品良く見え


予想外に似合った事へ驚きつつ、じっくりと鏡を

眺め胸の刺繍やレース飾りの細部見ていると、

細かな宝石が縫いつけられており、


そっと宝石から目を逸らしつつも刺繍とレースを

観察させて貰う。


「繊細な刺繍ですね」


花の刺繍に思わず魅入り感想を漏らすと


「刺繍を刺してくれた職人はもう居ないけれど、

気に入っていただけたなら差し上げるわ」


アメリアの言葉に慌て鏡から視線を外し

体ごと向き直すと


「価値がわかる人が持って居る方が良いわ」


クロエ様の言葉と


「エスメさんだからこそ、差し上げるのですわ」


満足げに微笑むアメリアに辞退の言葉を告げる

事はできず、


「ありがたく頂戴いたします」


淑女の礼をし受け取る事を伝えると、


「ええ。活用し生かして頂戴」


クロエ様も満足げな言葉に、


ディラン達の前でお披露目する事と

領に居る紙刺繍工房のお針子さん達に

見本として見て勉強して貰う事を決めた。




気が付けば燕が空を飛び、田んぼは田植えをしておりました。初夏が来てますね。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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