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弟は心労を表に出す


殿下方を招待しての晩餐が終わり、

自室へと戻と、先程まで使用してた

食器などは綺麗に片付けられ、

余韻すら薄くなった部屋に足を踏み入れ

ソファに腰を下ろし、


身体中のある空気を吐き出した。


こんなみっともない、従者を持つ者と

しては情けない姿だが、どうしても

止める事ができず、重く鈍く感じる体を

背もたれに預けると


「お疲れ様でございました」


労りの言葉と耳に届いた声は優しく、

返事をしなければと思うが、体が

思うように動かずにいると、


「何かお飲み物をご用意いたしましょうか?」


優しい気遣いをくれるフレディに視線だけを

向け、言葉で返事をしなければと思おうも

首を左右に動かす事しかできず、


「かしこまりました」


幼子を見守る様に優しく微笑み返してくれた

フレディに、申し訳なさと恥ずかしさを感じるも


「姉様は?」


聞かなければならない事を尋ねると


「キッチンで晩餐会の後片付けをしていると

報告を受けております」


間をおかず返ってきた答えに先程別れた姉様の

格好を思い出し、息を落とした。


今回の晩餐は交流を深めるのも目的ではあるが、


本当の目的は、


この晩餐会での姉様の行動を確かめる事。


だから、本来ならば姉様と共に居るはずの

マルチダは早々に離れ、部屋から出て行き

1人になった姉様がどう動くかを試された。


お父様からこの話を聞いた瞬間、

身体中の血液が逆流をしたのでは無いかと

思う程に怒りを覚え、声を荒げようとしたが

なんとか喉の奥に引っ込めたものの、


お父様もお母様にも自分の感情は分かったらしく

困った笑みと共に、


姉様の為だと言われれば頷く以外の返事はできず

今日を迎え、姉様の取った行動は、


無理やり晩餐に参加するわけでもなく、

部屋で仕事か本を読んでいる訳でもなく


1番忙しいであろうキッチンの手伝いだった。


領にいた時より身長も伸び女性らしい体つき

になったが、優しさと思いやりや相手を思う

労りはそのままの様で、


自分の中では誇らしくあったものの、


「まさか部屋に来るとは思わなかった」


今日1番の驚きと衝撃を思い出し重い息を

吐き出すと


「ええ。私も思いませんでいた」


扉を開けた時の驚きと言ったら。


困った様に微笑み、驚いた表情なんて

表に出さないフレディに視線を向けつつ、


「姉様が自ら行くと志願したのだろうか?」


「そればかりは報告を待たないと、

なにも言えませんね」


フレディと同時に思い息を吐き出し、


「ですが、ハーブティーを置いたらすぐに

退出したと言う事は、皆が忙しく手が

回らなかったのでエスメ様が持ってきたと

判断しても良いかも知れません」


あらゆる可能性の中から正解に近いものを

選び取り言葉にするフレディに頷き返しつつ

背もたれから体を起こし、


フレディにソファに座る様に示し、


「多分そうだと僕も思う、だからこそ

ザッカリーの話に殿下も乗りアメリア嬢も

乗り、それを止めようとルカ様がして

下さったが」


レジー様もアーロ様も乗り気で、


重々しい息を落としつつ言葉を濁すと


「新しい食事と言われれば、エスメ様に

頼る以外ありませんからね」


方々の従者から我が主が申し訳ないと

視線といただきました。


正面に座ったフレディの言葉に小さく頷き

返したが、


殿下が言うならば支える者として叶えるのは

当たり前の事。


「お喜びいただき良かった」


フレディは試食ができるものの自分は

できていない品を出すのは憚れたが、

有り難いことにお褒めの言葉をいただけ

大変気に入っていただけた様で、安堵の

息を落とした記憶が鮮明に思い出だれ

瞼を閉じた。


初めて食べたがオレンジの爽やかさに

バター塩味と甘さのバランスも良く、

とても美味しかった。


姉様ならお願いをしなくても作ってくれ

そうだが、


お願いをし喜ぶ顔を見るのも良いかもしれない。


そんな事を思っていたからか、2回のノックの音

の後、


「ディラン、起きてる?」


扉越しに姉様の声が聞こえ、慌て立ち上がり

自分より先に立ち上がったフレディが扉を

開け姉様を出迎えており、


何事もなかったかの様に振る舞い


「いかがなさいました、姉様」


申し訳なさそうにしながら部屋へ入ってきた

姉様を出迎えた。



第501話


雨で新緑がぐんぐん伸びて薔薇は蕾を綻ばせている姿を見ました。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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