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弟は心の中で姉に詫びる



社交界シーズンに各家々で行われる晩餐会は

基本親しい間柄の家や関係を深めていきたい

家を招待し、行われる。


我が家も社交界のルールに従い、

晩餐会を開いた。


偶然同じ歳を持つ子供と同じ爵位を持つ家々の

関係を深めるため。


だが裏にあるのは姉様の行動を探る為の晩餐会。


今日の様に大勢の客が屋敷にいる時に姉様は

どう思い、どの様に行動を起こすかを見る為に

宰相様ご一家を始め、騎士団長に魔術長に

外交官長各家のご夫婦と家の主の代理として


殿下とザッカリーが参加をしており、


穏やかな食事の後はそれぞれが分かれゲストルーム

に分かれ、ワインやハーブティーを楽しみながら

話に花を咲かせている頃、


自室に殿下達をお招きし食後の団欒をしていた

所にメイドでは無く、姉様がハーブティーを

乗せたワゴンと共に部屋に現れた時には驚き

思考を停止させていると


アメリア嬢の声に我に返り姉様を見ると、

困った様に自分を見つめていた為に、

いくら主催者側だと言っても爵位の高さは

アメリア嬢が上なので、願いを叶える様に

と告げると、腰を折り一礼をしフレディと

何か話をしながら退出して行った。


まさか姉様がメイド服を着て現れるとは

予想もしておらず、未だ乱れる心音だが

なんでも無い表情とふりをするものの


「本当に彼女は、ああして働いていたんだね」


領での姉様の生活は報告書として殿下も

知っていたが、自分の目で見るまで実感が

沸かなかった様で、視線だけで周りを伺うと

アメリア嬢とザッカリー以外が殿下と同様な

雰囲気を出しており、


「あの方の淹れた紅茶はとても美味しいのです」


皆様、是非お飲みくださいな。


自分だけが知っていた優越感か楽しそうに

微笑み、優雅にカップに手を伸ばし一口

飲むと殿下も同様に手を伸ばし口元に

カップを近づけ


「ハーブティーかな? 優しい香りがするね」


微笑み感想を下さった後、一口飲み、


「美味しいね」


気に入ってくださった様で体の中に安堵の息を

落とし、自分もカップに口をつけ飲む。


ラベンダーの香りが鼻を抜けた後、レモングラス

の爽やかな香りは重かった心身を軽くしてくれる

気がし


姉様の気遣いに嬉しく思ってい、鼻に残る香りの

余韻を楽しんでいると


「そう言えば、さっき何を話していただんだ?」


ザッカリーの言葉に全員の視線がフレディへと

向けられ、


「いえ、何やら不安そうでしたので大丈夫かと

声をかけましたら」


従者の表情でザッカリーの質問に答える

フレディは一度言葉を止めた後、


「目分量で淹れたのでお土産のハーブティーが

同じ味でお渡しできないかも知れない。と、

返事が返ってまいりました」


目分量。


姉様らしいといえはそうだが、殿下方に

お出しするには如何のものかと思い、

血の気が引く音が聞こえるも


「あらあら。あの方らしいですわね」


ころころと楽しそうに笑うアメリア様を

愛おしそうに殿下が見つめており、


「適当に淹れても美味しいならいいんじゃないか」


ザッカリーは再びカップに口をつけてくれ、


「ええ。クック長ともなれば目分量や瓶の重さから

判断し味をつけると言われております」


彼女もその域にいるのでしょう。


ルカ様のお言葉に


「そうですね。商人達も重さなどは持ったら分かる

と言いますしね」


アーロ様の言葉に


「ハーブの苦味も雑味も無いしなぁ」


ルカ様の言葉に全員が良い方にとって貰えた事に

安堵しカップに口をつけ重くなった心を軽くし


「今日の料理は美味しかったね。僕は前菜に

乗っていたじゃが芋を薄く切って揚げた物が

美味しかったけど皆はどれが気に入った?」


殿下が気を利かせてくださり会話が始まる。


「私は、じゃが芋を潰し揚げた物が美味しかったです」


ルカ様はコロッケがお気に召した様で頬を

緩ませながら教えてくださり


「ああ、分かります。僕もルカ様と同じです」


アーロ様も同じ様に返してくれ


それぞれがお気に召したじゃが芋料理の感想を

くださり、気を緩めていた所に


「なあ、ディラン。最近は新しいデザートとか

作ってないのか?」


ザッカリーの言葉にどう返事を返そうかと迷ったのが

行けなかったのか、殿下をはじめ全員から期待の

眼差しを貰ってしまい、


「フレディ」


引く事はできず、心の中で姉様に詫びを入れながら

フレディを呼べば


「かしこまりした。準備をしてまいります」


胸に手を当て綺麗に一礼をし部屋から出ていく

背中を見送ることしかできなかった。



第500話


黄砂が多い様で喉がイガイガしております。皆様もお気をつけください。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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