姉、助けを求める
ディランの部屋から出た後、早足でキッチンに
戻り
「クック長!」
クックに指示を出しているクック長に大きな声で
呼びかけると、
大きな体を揺らし駆け寄ってきてくれたので、
申し訳ないと思いつつ、ディランの部屋での
やり取りを説明すると、
「なるほど。なんとかなると思います」
その言葉に首を傾げつつ、クック長に促され
ハーブの管理室へと入り、
「エスメ様。先程ハーブティーを作る時に、
どんな思いで作られたのですか?」
クック長の質問に
「夜会が続いておりディランやお友達も疲れて
いるだろうから、心落ち着けるお茶にしようと
思って作りました」
「ならばもう1度その気持ちで作ってみては
いかがでしょうか?」
返事を返した後のクック長の助言に頷き、
深呼吸をし、ハーブの匂いの力を借り心を
落ち着かせる。
まずはカモミールにレモンバームとラベンダーは
必須と考えて淹れた。
レモンバームにレモングラスも入れ爽やかさ
を足しで
晩餐を食べた後がから、消化を助ける成分が助けに
なればとルイボスも入れた。
作った時の気持ちを思い出し1つ1つハーブに
手を伸ばし木をくり抜き作ったボールに入れ
葉や花を崩さない様に気をつけながら出て掻き混ぜ
少量だけとり、
ポットに入れお湯を注ぎ、クック長と共に試飲を
すると、
「似てる、かも?」
「ええ。似ているかと」
クック長と同じ答えだったが、
「どれか足したら同じ味になると思いますか?」
アメリアは同じ味が欲しいと言った。
似ている味を渡すのは気が引けるので尋ねると
ゆるりと首を横に揺られ
「このままでよろしいかと」
貰った返事に直ぐに頷く事ができずにいれば
「エスメ様、フレディの淹れるハーブティーは
お好きですか?」
突然の質問ではあったが、
「大好きよ」
フレディの優しい気持ちが入っているハーブティー
は大好きだし、自分たちのことを考え想い作って
くれるのを嫌いになるはずなど無い。
即答で返事を返すとクック長も答えが分かっていた
らしく、微笑みを深くし
「では、少し味が違うお茶を出したらエスメ様は
お怒りになりますか?」
「ならないわ」
同じ様に即答で返事を返すと、
「これは自分の考えなのですが、エスメ様が
ディラン様やご友人の方々の為に作ったのを
お求めになっているのでは無いかと思います」
クック長から意外な言葉に驚くと
「ですから、自信を持ってお持ちしてください」
優しげな微笑みと共に告げられた言葉に
戸惑いつつも頷き返し、持ち帰る様に
紙に包み、アメリアとその場にいたディランの
友達の分も包み、帰りに渡す様にお願いをし、
「忙しい中、ありがとうございました」
クック長へお礼を告げ、別れた後は
先程までいた洗い場の手伝いに戻り、
使い終わった鍋や皿を気をつけながら洗い
始めたが、
「エスメ様」
聞きなれた声で名前を呼ばれたので、まさかと
思いつつも顔を上げ向けると眉を下げ、
困った表情のフレディが立っており
「どうしたの?」
動かしていた手を止めフレディと向き合うと
「実は、食べた事の無いお菓子が食べでみたいと
お話が出まして」
フレディの言葉に、
「話のノリでその流れになったのね?」
若者達が集まり盛り上がれば話の意味も脈絡など
関係なく楽しい方向へと話は進むもの。
「おっしゃる通りです」
フレディがこの困り様ならはディランばもっと困って
頭を悩ませてるはず。
「なんでも良いの?」
作る事は何も思わない。
けれど材料の制限があれば別になるので尋ねれば
「はい。食材の指定はありません」
返ってきた返事に頷き
「分かったわ。全員分を作れば良いのね」
濡れた手と腕を拭き、キッチンメイドさんに
一言と詫びを入れて材料を探しにフレディを連れ
クック長の元へ向かった。
新芽がすくすくと育っているのを見ると雨も悪く無いなと思います。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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