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姉、叶えたいが返事ができない


ハーブの種類は沢山ある。


全ての種類であって販売されている物を買い

揃えている訳ではない。


が、


「いつの間に」


壁一面と言える程に並べられてハーブ入りの缶や

逆さ釣りにし干されているハーブなど、所狭しと

並べられてる部屋を唖然としながら見渡していると、


「自分もですが奥様がご興味を強く持たれまして、

それを聞きつけた商人が持ち込み、買い続けましたら

気が付けばこの量になっており」


大きな体をさらに縮こませ話すクック長に、


「私が言うのも説得力はありませんが、

そろそろ厳選した方が良いかも知れませんね」


「おっしゃる通りです」


数度頷きながらの返事を貰いつつ、ディランや学友に

出すハーブを選んでゆく。


社交シーズンも半分が過ぎた頃。


夜会や晩餐会に出た次の日のディランはいつも通りに

過ごしているけれどそろそろ疲れも溜まる頃。


それは学友の子達も一緒のはず。


元気になるハーブではなく、心が落ち着くハーブが良い

かも。


そうなるとカモミールにレモンバームとラベンダーは

必須でレモンバームにレモングラスも入れ爽やかさを足し


晩餐を食べた後がから、消化を助ける成分も入れるとなると

ルイボスも入れたい。


後、種類目分量であれこれとポットに入れ沸かしたお湯を入れ

抽出に数分置き、


試飲の一口分を自分用とクック長の分を取り分け

味見をしてみると


「美味しい」


「ええ本当に。

苦味もエグ味もなく良いバランスですね」


目分量で淹れた割に美味しく淹れれたので、来客用の

ポットに入れ替え、数分分のティーセットを準備し


受け取る為に誰か居るものだと思い辺りを見渡すと

皆が仕事を持っているのか慌ただしく動いており、


手を開く誰かを持っては遅いわね。


自分の中で出した判断に頷き、準備したティーセット

をワゴンに乗せ、


「行ってきます」


誰も聞いていないかもしれないけれど、持って行く

事を告げワゴンを押しディランの部屋を目指した。


私室のある廊下はあまり人がいない様で、誰にも

会う事なく部屋まで進み、扉の前で足を止め


3回ノックをした。


暫くし、扉を開けてくれたフレディと目が合うと

目が落ちんばかりに見開き驚いた表情のフレディに

思わず思わず吹き出しそうになったものの、


「言付かりました物をお持ちいたしました」


フレディだけに聞こえる様に小さな声で告げると


「ありがとうございます」


驚きから冷静さを取り戻した様で、従者としての

フレディの表情と態度に戻っており、


後はお願いね。


そう伝えようとしたが、


「あら。とても良い香りね」


部屋の中から聞こえきたミランダの声と


「本当だね」


どこか聞き覚えのある声が聞こえ、フレディに

慌て託そうとするが


「楽しみだわ」


嬉しそうな声に、心配そうに見ているフレディに

力強く頷き、


「失礼いたします」


少しでも品よく落ち着いたように聞こえる様に

声の高さを落とし大きさを控え目にし告げた後、

ワゴンと共にフレディが開けてくれた扉を開け

部屋に入った。


視線を下に向けつつ、少し離れた程よい距離で

ワゴンを止め、手早くポットからカップに注ぎ

フレディや壁側に控えていた従者さん達が

それぞれの主人の元へ届けるのを見守り、


退出をする為に手早くワゴンの上を片付け、

ワゴンに手をかけたその時、


「お待ちになって」


引き止める声にどうするべきかフレディに

視線で問うものの、指示のままにと視線で返り

小さく頷き、ワゴンから手を離しミランダへと

顔を向けると、


「こちらへ来てくださる?」


尋ねてくれて入るが言葉の力は、はい以外の

答え以外を認めてくれない力があり、


ディラン、ごめんなさい。


心の中で謝りつつミランダに言われてまま

近ずきつつ、後数歩という所で立ち止まり

ミランダを見ると、


とても楽しそうに微笑んでおり、


「このハーブティー気に入ったわ。

どこ商会で商品か教えてくださる?」


問われた言葉に、


「ありがとうございます。こちらの

ハーブティーは私が調合いたしました」


お礼と共に返事を返すと、


「まぁ」


少し驚いた表情と声を上げた後、


「わたくし、大変気に入りましたの。

ぜひ、両親にも飲んでいただきたいと思い

ましたのが、いただくことはできますかしら?」


申し訳なさそうな表情のミランダのお願いに

叶えてあげたいけれど、目分量で作ってしまい

同じ味が作れるが分からず、頷く事ができずに

いると、


「ディラン、ミランダの願いを叶えてやりたい。

ダメだろうか?」


ミランダの横で親しげに座っている男性の

言葉にディランが頷いた姿を視界に入れれば


「準備をするように」


ディランの言葉に了承の意味を込め一礼をし

部屋を出るためにワゴンを押すと、フレディが

横についてくれ、


大丈夫ですか?


心配そうに視線で尋ねてくれたので、


「適当に淹れたから同じ味ができないかも」


小さな、本当に小さな声で返事を返すと、

なんとも言えない表情をしたのち、


「大丈夫。エスメ様ならできます」


応援を貰い、扉を開けてくれた。




毎年の事ですが、日中と朝晩の気温差で服装選びが難しいですね。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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