姉、試作を作り続ける
イルさんからスパイスを貰ってから
早1週間。
シナモンはお菓子や紅茶に使い、更に
ナツメグとグローブとシナモンを合わせれば
オールスパイスとしてチャイも作れるが、
それぞれの分量と合わせが必要の為、完成の道は
遠く、チャイや美味しく仕上がる唐揚げは外の国から
購入したスパイスで事を決めつつ、
いつかは自分好みの配合を。
そう心に決め、中々使用用途が少ないサフランの
使い方を思い出そうと頭を悩ませた。
1番に浮かんだのはパエリア。
でもお米が無いので、代用は無いかと探して貰い中
なので作る事ができず、
次に浮かんだのがスープ。
サフランを入れる事でスープの色が黄色くなり
見た目鮮やかになるので
「お茶としてお出ししても良いかも知れませんね」
フレディの言葉に重い頭を上げ顔を向けると、
サフランを水に入れたコップを手に持ち、
「色味で慣れない内は抵抗があるかと思いますし、
先程いただきましたら味は薄く、かと言って沢山
入れれば苦味が強く出て飲めません」
気が付かない間に飲んだ様で、味の感想を交えての
言葉にフレディの顔をまじまじと見つめていれば、
「紅茶の様に砂糖を入れ甘くすれば飲めなくはありません」
真剣な表情をしながらの言葉に、味を想像しつつ
「確かに、薄い味ならば砂糖で甘みを強くすれば
飲めなくは無いと思うけれど」
色のついた甘い飲み物となってしまう事に引っ掛かりを
覚え返事を返すと
「では、紅茶では出せない色味を目で見て楽しむお茶は
いかがでしょうか?」
ディランの言葉に、首を傾げつつ
「それならば、受け入れやすいかも」
引っ掛かった部分も少し受け入れやすくなったので
頷き返すと、
「もしかするとハーブの様に体に及ぼす効果があるかも
知れません」
3人の中で1番ハーブティーを美味しく淹れられる
フレディの言葉に
「ならば資料が必要だな」
ディランが頷き返すと
「手配いたします」
すぐさまフレディに返事が返り、
「私も本屋の店主さんに手紙で聞いてみるわね」
自分が始めてた事なのに後手になってしまい慌て
フレディに声をかけると、
「よろしくお願いいたします」
合間を見てスパイスの事で考え込み、
思いついた方法でお菓子を作ったり紅茶に入れたり
クック長と話し合い料理に使ったりと、使用の幅を
広げ、使用した分を領から送って貰えるように手配し
続けていると、
ディランもフレディもお母様もお父様も屋敷に居る
皆がスパイスの味にと匂い慣れ、お母様からは
「今日はシナモンのクッキーが食べたいわ」
注文を貰える様になり、お父様からは
「ワインに入れて飲むと普段と違い目新しく
美味しかった」
と言って貰え、更にスパイスを購入する事を
許してもらえ日々キッチンに入り、料理と
お菓子作りも行えるようになった。
そんな日々を過ごしていると、気が付けば1ヶ月の
休みは終わっており、今日も試作として作った
パウンドケーキは生姜の辛味を少し強くなってしまい
甘めのミルクティーでマルチダと食べていると、
ノック音が聞こえ
「どうぞ」
入室の許可を出し一緒に食べていたマルチダがソファ
から立ち上がり対応に出ると、
「エスメ様、ディラン様がお見えです」
突然の事に首を傾げつつも部屋に入って貰う様に
マルチダに視線を向けつつソファから立ち上がり、
扉を大きく開けディランとフレディを招き入れると
「突然の事で申し訳ありません」
ディランの詫びの言葉に
「ディランならいつでも大歓迎よ」
笑顔で出迎えソファに座る様に促し、
マルチダが食べていたパウンドケーキと紅茶を
自分の元へ寄せていると
「休憩中でしたか?」
動かしていたパウンドケーキを視線で追っていた
ディランの言葉に、
「ええ。でも、配合を上手くできてないの」
遠回しに失敗だと伝えたが
「いただく事はできますか?」
ディランのお願いに
「配合を間違えて辛味の強いケーキだから
気をつけて食べてね」
本当は断りたかったが、中々貰えないお願いの為に
一言添えてから切り分けると
「フレディも一緒にどうだ?」
「お言葉に甘えさせていただきます」
ディランの背に控えていたフレディもソファに
座ったのを見て、フレディの分も切り分け
前に置くとマルチダが甘めに淹れてた
ミルクティーを置いた。
ディランもフレディも黙々と食べる姿を複雑な
気持ちで見守っていると
「甘いケーキも良いのですがこちらも美味しいですね」
ディランの感想に苦笑いで返事を返すと
「ええ。甘い物が苦手な男性でも食べれますね」
フレディの言葉に、
ケークサレだったかしら?
確か塩味を効かせて野菜にチーズやお肉が入った
パウンドケーキがあったはず。
前の人生で一時期話題になっていた事を思い出し
作り方は分からないけれど1度作っても良いかも。
思考を横に反らせつつ、
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいわ」
感想を伝えてくれrたディランとフレディにお礼を
伝えると、
「エスメ様、こちらのケーキをいただく事はできますか?」
フレディの意外な言葉に
「勿論、それは構わないけれど」
戸惑いつつも返事を返すと
「ありがとうございます」
にっこり笑いお礼を伝えくれ、理由を聞を尋ねようと
口を開きかけたが
「姉様」
ディランの呼び掛けに、開けた口は
「なあに?」
違う言葉を紡ぎ意識をディランに向けると
「今週末、我が家で夜会を開催いたします」
聞こえてきた言葉にはつりと瞬きをし返した。
いきなりの春到来に戸惑いつつ咲き始めた桜の満開が待ちどうしいです。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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