姉、空の散歩をする
学園が休みに入っている為ディランの夜会への
参加が多く、学園に行っていた時の様に毎日
ディランの部屋へ行き共に朝食を食べると言う
事が無くなり、
今日も自室にて1人で朝食である野菜たっぷりの
スープと焼きたての白パンを食べ終え、食後の
紅茶を飲みつつ、
今日は何をしようかな。
休みの初日は魔法石に魔力を込めた。
次の日は読書に多くの時間を使った。
時間もあるからと屋敷にあるファッションプレート
と全て読み、自分が赤子の頃の刺繍に興味を惹かれ
紙刺繍に取り入れられないか、ディランに話した所
「僕達には新鮮であり、お母様達のご婦人には
懐かしく感じる親しみを感じるかも知れませんね」
好感だったのですぐさまミランダとお祖母様に
手紙を書き送ったりもした。
やりたい事を夢中になれる事をで毎日過ごして
いるとあっという間に1日が終わりっていく。
2ヶ月あった休みも1週間が去り、本日の予定を
考える。
紅茶を飲みつつ何気に窓へ視線を向ければ、
薄雲で快晴とは言い難いものの日差しもあり
暖かな雰囲気。
箒で空を飛ぶのも良いかも。
思い出せば領から王都へ来て、空を飛んだ記憶は
あるのかも知れないが、思い出せず
記憶にないと言う事は気が済むまで飛べなかった
のかも、そう考え、ならばと
「マルチダ」
側に控えてくれいるマルチダに声をかけ
「昼から箒に乗るわ」
決めた予定を伝えると
「かしこまりました。騎士団長へと話を
通しておきます」
その言葉の後、騎士団長の元へ向かったマルチダを
見送り置き本の中から1冊手に取り表紙を開いた。
本屋の店主さんが旅で行った国に出会った人々との
交流と起こった出来事が綴られ、文字を目で追い
想像を膨らませてゆくと夢中になり自分も店主さんの
冒険を共にしている感覚に心が弾み、自然とページを
捲るのが早くなる。
1つの国を出ようとした所でマルチダに声をかけられ、
準備された昼食を自室にて食べ終え、食休みを終えた
のち本棚の横に立てかけている箒を手に持ち、
騎士団長が居る練習場へと向かえば、
「ディラン。フレディ」
騎士団長と何やら話しているディランとフレディを
見つけ声をかけ小走りに向かうと、
「姉様、おはようございます」
お昼ではあるもののディランから朝の挨拶を
貰らったので、
「おはよう。ディラン」
同じ様に朝の挨拶を返し、フレディ騎士団長にも
朝の挨拶を交わし、何かあった時の為にと練習を
中断し見守りに来てくれた騎士の人達にも挨拶と
「今日はよろしくお願いします」
一言添えた後、
「ディラン、久しぶりに空の散歩はどうかしら?」
誘いをかけると、
「ありがとうございます。ご一緒させてください」
微笑みと共に頷いてくれたので、いつもの様に
ディランを後ろ乗せ箒に跨り風の魔術を発動させ
ゆっくりと空へと上がった。
本当に久しぶりなのでゆっくりと浮上し、屋敷の
屋根と同じ高さまで来た所で浮上を止め、下を見れば
こちらを見上げているフレディと騎士団長にマルチダ
と騎士の方々の姿があるのを確認した後、
「ディラン、行くわよ」
お腹に手を回しているディランへ声をかけると
「はい。お願いします」
耳元から是の声が届いたので、ゆっくりと前進し
庭を一回りした後、屋敷に近ずき見慣れた窓の前で
止まり、2回ノックをするとお母様の専用メイドが
窓を開けてくれ、
「エスメ、ディラン。いらっしゃい」
微笑みと共にお母様の姿を見せてくれた。
子供の頃、今の様に箒に乗り仕事をしているお母様も
元へ尋ねる事は良くやっていた。
懐かしく思い、尋ねるとお母様も同じく懐かしみ
ながら出迎えてくれ、
「今日は、とても薔薇の香りが良いのです」
子供の頃と同じ様にその日感じた事を伝えると、
「まぁ、素敵ね。部屋に飾るのも良いわね」
お母様も同様に返事を返してくれ、
「お風呂に薔薇の花びらを浮かせるのも良いかも
知れませんね」
思いついた事を付け加え伝えると
「良いわね。そうしましょう」
お母様も頷き、後ろで待機をしている専属
メイドさんの1人に視線を向けたので、
早速、薔薇の風呂を用意することにしたらしく
視線で指示を出していた。
「姉様、そろそろ」
ディランの言葉に頷き
「お仕事中に邪魔をしごめんなさい」
急な来訪と仕事の手を止めさせてしまった事へ
謝罪をすると、
「構わないわ。来てくれてありがとう」
また、いらっしゃい。
謝罪を受け取って貰え、また来ても良いとの
言葉も貰えディランと共に頷き返し、手を振るお
母様から離れ訓練所まで戻り、地面へと降りた。
久しぶりの空の散歩はとても楽しくもあり
懐かしくも感じ満足感に浸りつつも、
「ディラン、どうだった?」
感想を尋ねると
「久しぶりでしたが、気持ち良く楽しかったです」
頬を緩め小さく笑う姿に、
次はディランを前に乗せて飛ぶのも良いかも
知れないわ。
ふっと思い付いた事を必ず実行するために
「休みの間に、また散歩に行こうね」
約束と告げると
「はい。楽しみにしております」
頷きと共に言葉でも返事を返してくれたので、
早々に実行する様に心に止め、
「騎士団長、皆さん。ありがとうございます」
「皆、ありがとう」
見守りをしてくれた騎士団長と騎士の皆さんに
ディランと共にお礼を伝え
この後ディランが用意してくれたお茶会へと
足を進めた。




