姉、思う。
お茶会を終えいつもならばそのままディランの
部屋へ行き晩餐を済ませ就寝時間までお邪魔を
するのだが、
「では、行ってまいります」
普段とは違い、少しだけ前髪を上げ白い手袋を
手に持ち、燕尾服。
学園の制服でも屋敷で過ごしている姿でも無い
正装を身に纏っているディランは、
どこに出しても恥ずかしくない程に格好良く、
「格好良いわ。本当に格好良い」
もっと例えてディランの良さを表現できる言葉
があるのに、口からは1つの言葉しかでなくて
爪先から頭の先までじっくりを見て
「本当に格好良い」
同じ言葉で感想を伝えると、はにかみで笑い
「ありがとうございます」
お礼を伝えてくれた。
何時間でも見ていても飽きない程の格好良く
脳に焼き付けるように見ていると、
玄関の扉前で微笑み見守ってくれたお母様が
「エスメ、そろそろ勘弁してあげなさいな」
困った様に微笑みながらの言葉に、
「お母様、もう少しだけお時間ください」
縋る様にお願いを伝えるも
「何度もそのお願いは叶えたはずよ。
ディラン、そろそろ行きますよ」
呆れの色を含んだお母様の言葉に頷きたくは
無いがディランを遅刻させたい訳で無いので
残念に思いながら
「我儘に付き合ってくれてありがとう」
何度もお願いを叶えてくれたディランにお礼を
伝えると、ゆるりと首を動かした後
「褒めていただき、喜んでいただけて
嬉しいです」
そう返された言葉とは良く言って貰える
言葉だが微笑み始めてみる大人びた様で
何か言葉にできない好意の色も含まれている
様な表情に驚きつつも、
口を開き次の言葉を伝えようとするも
「エスメ、ディラン。そろそろ出ないと
間に合わないぞ」
お母様と共に玄関の扉前で待ってくれたお父様の
言葉に、ディランの手を握り両親の所へ行くと
そのまま外で待機している馬車まで歩き、
「留守を頼むわね」
お母様の言葉にはいと返事をしながら頷き返し
お父様の手を借り馬車へ乗り込むお母様を見守り
「姉様、行ってまいります」
「気をつけてね」
互いに握っていた手を離し、馬車へ乗り込む
ディランを見守り
「エスメ、1人になるが何かあったらすぐに
マルチダに伝えるんだよ」
心配そうに眉を下げるお父様に
「わかりました」
力強く頷き返事を返すと
「皆も何かあったら直ぐに知らせる様に」
見送りに出ていた使用人さん達に伝え頷く姿を
確認した後、馬車に乗り込みゆっくりと動き出し
夜の色へと混じり姿が見えなくなるまで見送る。
「エスメ様、お部屋へ戻りましょう」
馬車の入った方向を見つめていたがマルチダに
促され、玄関の扉をくるったが歩いていた足を
止め立ち止まると
後ろを歩いていたマルチダを始め後ろを歩いてい
いた使用人さん達も足を止め自分の様子を伺って
いるのは分かったものの、
「ディランが本当に格好良かったわ」
溢れ出た言葉は堰を切り
「ディランの前髪を少し上げた髪型を整えた人、
本当に最高ね、ディランの事をよく分かってるわ」
普段より早く口で捲し立てる様に言葉をこぼせば
「フレディが整えておりました」
マルチダからの返事に
「流石、フレディ」
頷き返しつつも
「始めてディランの正装を見たけれど、普段とは違い
大人びた雰囲気も良かったわ」
「本当にそうですね」
自分の言葉に一緒に見送りをしたお母様のメイドさん
が同意してくれ
「それに、手に白手袋を持っていただけなのに、
すごく紳士だった」
「最近は身長も伸び大人の体付きになられましたからね」
お父様専属の従者さんからの言葉に何度も頷き
「そうなの! もう私と一緒の身長なのよ。
あんなに格好良いんだもの淑女の皆さんがディランを
放って置かないわよね」
勢いだけで飛び出した言葉にはたりと気づき
「どうしましょう。
ディランのモテ期がやってきてしまうわ」
真剣な表情で後ろにいた使用人の皆さんに伝えると
全員が少し驚いた表情をした後、微笑み
「左様でございますね。ディラン様は紳士で
ございます。いつ婚約者ができてもおかしくないかと」
代表としてのマルチダの言葉に
「そうよね。あんなに格好良くて優しくて、気遣いも
でき、手伝いも嫌らす積極的にしてくれる。
そんなディランがモテない訳ないわよね」
自分の出した言葉に真剣に考え込む。
ディランの代で爵位が公爵から侯爵へと変わる。
そんな変化がある時にお嫁に来てくれる人だもの
仲良くしたい。
ディランの素敵な所を共に語り合いたい。
「素敵な方だと良いな」
楽しい未来に想いを馳せ言葉を溢すと、皆が
微笑ましげな表情をしてくれ、
「左様でございますね。さ、エスメ様そろそろ
お部屋へ参りましょう」
マルチダに背中を押され、ディランの婚約者に
思い描きながら部屋へと入り、就寝の準備をし
入浴しベットに入りマルチダから夜の挨拶を
もらってもディランの婚約者への考えが止まら
ない中、
ディランが結婚するのは当たり前で嬉しい事
だけど、
少し寂しいなぁ。
3月の雪も情景は素敵ですが、そろそろ春になって欲しくもあります。
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誤字脱字を教えていただきありがとうございます。修正が遅れており申し訳ございません。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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