弟は自分の無力に気づく
「ごゆっくり」
自分を気にしつつも入浴に向かう姉様に言葉を送り
姿が見えなくなったのを確認したのち、ソファの
背もたれに背中を預け、左腕を目の上に置き視界を
切った。
「教室に入ってからエスメの様子がおかしかった」
ルイの言葉を思い出し、馬車の中での姉様の様子を
思い出せば
いつも楽しそうに笑いクラスであった出来事や授業の
内容を笑いながら話してくれが、今日はどこか戸惑い
と困惑が見え隠れしており普段しない自分の授業の話
や話せる範囲でのクラスの出来事を話、姉様の心を
和ませれたが
「フレディ。どうみる?」
自分の後ろに控えているであろうフレディに尋ねれば
「詳細は分かりませんが、ぼんやりとした雰囲気もあり
普段お話しいただいている話が無かった所を見ると」
ご記憶が無いのではと推測しております。
声を顰めて告げられた言葉に同じ考えだと頷き返し、
「ルイの話では教室に入ってから姉様は少しだけ
顔を顰めたと言う」
国は違えど元王族の婚約者で上位貴族のミランダ嬢が
教え直し合格だと判断された姉様が
少しでも顔を顰めたと言うのだ
「多分それが原因では無いかと思うのだが」
ルイに聞いてもまだ確信は無いが例の男子生徒と
話す前から変化があったと言う。
ルイも男子生徒に気付かれぬ様に姉様の袖を引き
自分に意識を向けようとしたものの一向に気づかず、
最終的に窓を開ける風を教室に入れた事で姉様の
意識がようやくルイに向いたと言う。
一体何があったのか。
考えれば考えるほどに口には出したく無い程の
悪い考えが思い浮かび、
捨て去る様に息を吐き、目の上から左腕を下ろし
「姉様自身に聞ければ良いのだが」
もし、姉様でも原因が分かっていなければ
対策ができない。
今日の姉様の動きを目はそのまま王族に報告をする。
国王陛下はどう判断を下すかは分からないが、
警戒されることに間違いは無い。
どうすれば良いのだろう。
ただ、姉様に笑って欲しくて一緒にいて欲しくて。
自分なりにできる事を増やし守っている筈だった。
自分の目や手が届かない範囲の出来事に対応
できる様にルイに領から来てもらったと言うのに、
一体何が起こっているのだ。
震える体に気づかぬふりをし天井を見つめた
ままでいると姉様とマルチダの声が耳に届き、
背もたれに預けていた体を起こし、
荒む心を落ち着かせ、入浴上がりの姉様を視界に
入れれば、
普段と変わらない姉様の笑顔があり
思わず抱きしめたくなったが、髪から滴る雫に
気づき、マルチダに視線で早々に乾かす様にと
指示を出し、
「フレディ」
姉様には聞こえない程の小さな声で呼び寄せ
「姉様に、お茶の用意を頼む」
入浴後ということで喉が渇いている筈と指示を出すと
頷き、姉様の部屋から出ていった。
楽しそうにマルチダと話している姉様の様子を
そっと伺い、観察するも先程のぼんやりした表情は無く
安堵の息を気づかれ無い様に吐き、
その後、フレディの入れた気分が落ち着く効果がある
ハーブティーを何杯か淹れるのを
フレディなりの対策を心配なのだと理解し
何も言わず何杯も飲み続け、領から勉強していた
ハーブの知識で姉様を喜ばせる姿を眺めて、姉様と
楽しげに話している事に耳を傾けつつ
姉様の行動を観察する。
晩餐の量もいつも通りで食べる速さも普段通り。
今日は疲れているだろうとベットに寝かせてから
姉様の部屋を出て自室に戻り、机に向かい1枚の紙を
引き出しから出す。
同時に出された羽根ペンを手に取り、
王族、高位貴族の方々への報告書の作成に取り掛かった。
原因を究明していく。
その事を書き羽根ペンを置いた。
第480話
まだまだ寒いくてまだダウンを着る事は許されるのか自問自答の日々を過ごしております。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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