姉、1人でご飯を食べる
学園を終え、屋敷に帰宅しそれぞれが身支度を解いて
ゆっくりした後の晩餐の時間。
「姉様、明日の夜ですが出かける
予定となっております」
突然の言葉にはつりと瞬きしディランの
言葉の意味を頭の中で繰り返した後、ようやく
理解でき
「夜にどこに出かけるの?」
食事の手を止め尋ねると、同じ様に
ディランも手を止め
「社交界デビューをしてまいります」
何でもない様に告げられた言葉に
「デビュー?」
聞き返すと頷きが返り
「はい。なるべく早く帰ってくるつもりですが
時間的にどうしても晩餐はご一緒が出来ず」
告げられた言葉に、
「そうなのね。分かったわ」
了承の意味を込め頷き、そう言えばと
「アメリアも社交界デビューの話をしていたけれど
ディランのお友達全員デビューするの?」
淑女教育のお茶会でデビューの話が出た事を思い出し
尋ねてみると
「はい。そうです」
短い返事ながらも頷きと共に帰って来たので、学園の
帰りによく見かける子達も一緒だと知ると、
「それは心強いね」
ディランが1人ではないと分かり安堵の息を体の中に
落とし伝えれば
「大変有難いと思っております」
どこか緊張しながら返ってきた返事に、
初めてならば友達が居ても緊張するもんね。
1人納得し、食事の手を動かすとディランも同じ様に
食事を再開し出した。
その後は他愛の無い話をしつつ、食事を終えソファにて
食後の紅茶をいただいていると、
フッと気になり
「デビューて、何をする所なの?」
尋ねると
「王宮にて同年代の顔合わせです」
さらりと返ってきた言葉に首を傾げ
「学園で顔を合わせているのに?」
疑問に思って事を伝えると
「学園は子供達だけですがデビューは
大人達に向けての顔合わせです」
「確かに。学園では大人と顔を合わせるなんて
無いもの、この機会に子供の関係を知ろうと言う
意味も含まれているのね」
前の人生でも幼稚園や小学校までは友達の
ご両親を知る機会はあったが、中学、高校となると
知る機会は一気に無くなり、話で出てくる名前と
会話の一部からどんな子か想像する事しかできず
友達と夜遅くになる時は心配した事を思い出し
とても良い事だと思い返事を返し、次の話題に
なり、就寝時間になりディランとフレディに
「おやすみなさい」
挨拶をし自室に戻りそのままベットに入り
眠りについた。
次の日、今日は淑女教育はアメリアが不在の為、
違う場所にて行われるらしく、マリーについて
行く事ができない為、授業終了後にルイと
フレディの待つ馬車に向かって歩く中、
貴族クラスの人達の出席が少なかった様で、
昨日まで浮き足立っていた学園の雰囲気は
ガラリと変わり、静まりかえっており
なんとも不思議な気持ちになった。
そんな事を話していると視線の先にフレディ
だけでは無くディランがおり、駆け足で
馬車に向かえば
「エスメ様」
到着する直前に馬車の名前を呼ばれたと同時に
扉が開けられ、止まる事なく差し出してくれた
ディランの手をかり馬車に乗り込むと続いて
ディランとフレディも乗り込みあっという間に
扉が閉まり出発してしまった。
ルイと別れの挨拶とお礼を言えないまま屋敷に
戻るとディランはデビューの準備に入ると別れ
そのまま会う事は無く、
自室にて晩餐を1人で食べ、
どこか寂しい気持ちがあるものの
大切な日なのだからと自分に言い聞かせ
早めにベットに入り気持ちを誤魔化した。
第474話
2/29は4年に1度の閏年ですね。平日ですが皆様はいかが過ごす予定ですか?
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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