表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

437/752

姉は申し訳なく思った


クラスメイトから様々なルイの話を聞き、

最後のボーイックの話に不安になったものの


「アイツの話は気にするな。これと言って困った事は起きてない」


淑女マナーが終わり、途中マリーと別れルイと共に馬車まで

歩いているとそう言われたものの


「訓練なら良いのだけど、そうでは無い目的なのよね?」


不の感情だけで挑まれるのはどうかと言葉にすれば


「始まりはどうであれ最終的には俺の訓練になっているから

気にする事は無いし、手紙に書かなくても良い」


キッパリと言われて終えば書く訳にはいかず、

思い息を溢すと


「ほら、フレディさんが来たぞ」


指さされた方向を見ると、こちらに向かってくるフレディが

視界に入りつつ、ルイの手を取り小走りで駆け寄り


「フレディ、ただいま!」


少し息を切らせながら挨拶を告げると


「お帰りなさいませ」


従者らしく微笑みと共に挨拶を返してくれ、


「中でお待ちしますか?」


身も切る様な寒さに馬車で待つ様にと気遣いの言葉を貰うも


「お心使いありがとう。でも、ここで待っているわ」


どうしてもディランに聞きたい事があり、外で待つ事を

伝えるとフレディの視線は自分を通り越しルイへと向けられ、

その視線に返事をする様にルイはゆるりと首を振った後、

ため息を落とした。


その姿にフレディは何かあったのだと察した様で、眉を下げ

困った様に微笑み、


「では、こちらでお待ちください」


風が当たらない様にと場所を変えてくれた。


優しい心使いにお礼を伝え、待っている間にディランに聞きたい

事を挙げてゆく。


時をり指を折り他に聞きたい事がないか確かめて居ると、


「ディラン様ですね」


フレディの囁く様な小さな声に考え事から意識を外し顔を

向ければ数人の男子生徒と共に馬車に向かって歩いてくる

ディランを見つけにっこり笑うと、


何故かディランの足が止まり、一緒に歩いていた男子生徒が

不思議そうな顔をディランに向けている姿と戸惑っている

ディランの表情に微笑ましく思いつつ眺めていると


周りの男子生徒に何か告げた後、足早にこちらに向かい

やってきたと思ったら


「姉様、この寒空にどうして外にいるのですか」


ディランに手を取られ馬車の中に入る様に促され、


「ルイ、すまなかった。間に合うか?」


「走れば余裕で間に合うぜ」


閉められた扉越しに聞こえる会話に口を挟みたいが

淑女としてどうしてもできず、ディランが乗り込んでくるのを

待っていると、


「姉様」


馬車に乗り込んできたと同時に怒った表情と呼びかけに、

理由が分からず、唇を尖らせれば


「姉様」


今度は呆れた声で呼ばれ、


「寒いので必ず馬車の中でお待ちくださいと、

お願いしていたはずですよ」


続け告げられた言葉に、


「そうだけど、私だって外で待ってたい時もあるわ」


分かってはいるけれど納得はできず、言葉を返すと


「そのお気持ちは嬉しいのですが、この寒さで姉様が

体調を崩す方が僕は嫌です」


自分の事を心配する言葉に


「ごめんなさい。早く聞きたい事があって」


我儘を言うことはできず謝ると、


「これは僕の自分勝手な我儘なのです。謝らないでください」


ディランの気遣いが嬉しくて心が苦しくなりつつ入れば、

さりげなく手を繋いでくれ


「こんなに冷えてしまって」


悲しそうに少し眉を下げ溢した言葉に罪悪感が湧き起こり


「そんなに寒く感じなかったから」


繋いでくれた手を離さそうとするが、ぎゅっと握られ、


「明日からは必ず中に居てくださいね」


自分の体温を分け与える様に握り込んでくる優しさに

嬉しく思いつつ


「ええ。そうするわ」


返事を返すと、ディランは安堵の息を落とした後


「僕に聞きたい事とは一体なんでしょうか?」


先ほど伝えた言葉を忘れずに聞き返してくれたので


「ルイの事なんだけど」


聞きたかった事と共に今日、教室で話題になった事を話すと


「ええ。ルイから聞いております」


頷きと共に返ってきた言葉に


「どうして教えてくれなかったの?」


そう返すと、ディランは真剣な表情のまま


「何と言いましょうか。これはルイ本人が対応するべきと判断し

お伝えしませんでした」


目を合わせしっかりとした口調で伝えてくれたけれど、

どうしても納得ができずに居ると


「ルイも意地とプライドがありますので、エスメ様から

ミランダへと伝わるのが恥ずかしかったのですよ」


今まで身も待ってくれていたフレディの言葉に、


「書かないでって言ってくれたら手紙には書かないのに」


再び唇を尖らせ伝えると、


「エスメ様にも心配をかけたくなかったのですよ」


年頃の複雑な感情と言うものですね。

自分にもそんな時期が昔ありました。


そう教えてくれたフレディに、


前の人生で子供達にもあったわねぇ。


あの時は何でも話してくれる子供達だったから

どうしようかと思い悩んだんだったわ。


思い当たる事を思い出し、頷き理解した事を伝えると


「我が家の後ろ盾があるので、目に余るような行為をしてくる者は

居ないとは思いますが、酷いようなら隠さず伝える様にルイに伝えます」


心配を消してくれるようなディランの言葉に頷き


「お願いね」


ディランの手を握り返して伝えると頷き返してくれ、

ルイの現状を改めて教えてくれ


「ルイの後見人としてお父様がおります。有難い事に

アメリア嬢にも気にかけていただいておりますので、

余程の事は起こらないと思います」


我が家はお父様の代までは伯爵の地位にいる。

アメリアの言えも伯爵でも王家との繋がりは密な位置で

アメリアは殿下の婚約者の立場。


平民ではあるけれども後ろ盾が強いので下位貴族は

ルイに下手な事はできないし、しよう者なら逆に家が

危なくなる。


その事があるので下手にルイには手を出してこない。


そう言うフレディの言葉に安心はできないが、不安は

少し和らいだ。


「ならば1度、ルイを呼び寄せ騎士団長と手合わせを

させるのはどうでしょうか?」


これなら実力も分かりますし、ディラン様も久しぶりに

ルイと手合わせできますし。


自分の心情を理解しているとにっこり笑い提案してくれた

フレディに頷きたくなったが、ディランの都合あっての

事なので、ディランに視線を向ければ


「そうしよう」


即答とも言える速さの返事に心配すれば


「かしこまりました。では今週末に来る様に伝えます」


あっさりとフレディが頷き日時まで決めてしまったので

本当に良いのか確かめる事ができず、ディランを見つめれば


「エスメ様。騎士団長と練習をする時間がありますので、

その時間にルイを呼びますのでご心配には及びません」


ディランのスケジュールを管理しているフレディの言葉に

頷き、


「なら良いのだけど。ルイに予定が入っているのならば

無理事はしないでね」


急に決まった事なので、ルイの予定を優先する様に伝げると


「かしこまりました」


従者の返事が返り、本当に良いのかとディランを見れば

何処となく楽しみにしている雰囲気もあり、これ以上

言葉は反対の言えず口を閉ざした。


第437話


週替わりの温度差に体調管理が難しいですね。どうぞごご自愛ください。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ