姉、好奇心に絡み取られる
授業前のルイの話に興味が尽きず、昼食時に隣に
座った女子生徒にルイの印象を尋ねると、
反対側に座っているルイにチラリと視線を送った後、
「そうですね。寡黙な方ので怖い印象はありましたが、
エスメさんとのやり取りや、私達の紳士な対応を見て
すぐに間違いだと気づきました」
少し言いづらそうにしつつも教えてくれた言葉に少し首を傾げると
「私達とも勿論お話はしてくださいますが、やはりエスメさんと
お話をしていると表情豊かなんですよ」
正面に座るマリーの言葉に、ルイの顔をまじまじと見ると
「余計な事を考えてないで、さっさと食え」
呆れながらもミランダから習った食事マナーで所作良く
食事を進めていく姿に、視線を向けると
「ルイさんの仰ることも間違ってはおりません。
少し急いだ方がよろしいかと」
マリーの隣に座っている女子生徒からの言葉に頷き、
できるだけ早く食事を進めたお陰で教室へ戻る時間も
余裕が持て、食休めに自分の席に座っていると
「エスメさんは、どうしてそんなにルイの事が聞きたいの?」
聞こえてきた声に顔を向けるとボーイックが頬杖をつきながら
自分の事を見ており、
「寮生活はどうなのかルイから聞いた事が無かった事に
気がついたからよ」
素直に返事を返すと
「友達だからと言って、そこまで知る必要は無いと思うんだけど」
揶揄っているのか、本心でそう思っているのか判断がつかず、
どう返事を返そうかと瞬間考えたものの、
「領に居るルイのご両親や友達にルイの事を心配いらないと
思って貰うため。と、言えばボーイックを納得させられるかしら?」
揶揄うつもりは無い事を伝えたつもりだが
「まぁ、そう言う事にしておこうか」
上部だけの微笑みと言葉の後
「僕、ルイとは同室だから」
そう、話し始めだした。
「ルイはね、皆の言う通り休みになると裏庭に行って剣を振り続け
時折、それを揶揄いにきた貴族クラスの将来騎士となる人達と
手合わせてしてるんだ」
ま、揶揄いにきたなんて実力が知れた者だけだよね。
クツクツと笑うボーイックの言葉に黙っていると、
「ああ、心配は要らないよ。今の所は全勝してるからね」
本人も気にしてないし、いい鍛錬になると言ってるから
その所を書いてあげると良いよ。
どこか面白げに話つづけるボーイックの言葉に、チラリと
ルイに視線を送れば、
心配いらない。
良い練習相手になって貰っている。
そう視線で返され、再びボーイックに視線を向ければ
「そうやって、視線で会話するのも良いけれど
ルイはあれ以来モテ期継続中だから気をつけた方が良いよ」
にんまりと笑いながらの言葉に、以前より呼び出しや
机の中から手紙が出てくる。と、言うことは無くなったので
落ち着いたのだと思っていたが、どうやら違うようで
「虎視眈々と狙われているんだよ」
下位貴族の淑女の方々にね。
まるで肉食獣の様に例えたボーイックに眉を寄せる事で
返事として伝えると
「社交界の時期最上位のアメリア様と良好な関係を持ち
王族の庇護の下にいるマリーさんとは親友関係で、
ルイの出身領は2つの特産品で豊かな土地。喉から手が出る程に
良い位置に居るんだ。誰だって狙うだろう」
それこそ婚約者がいる淑女だってね。
付け加えられた言葉に信じられず驚いていれば、
「その恨みで、決闘を申し込まれそうになってけれど
自分にも領に思い人が居るから興味が無い。と言ってたね」
どんな人だろうね?
そこまで思われている女性は。
「そうそう。時折、愛おしそうに刺繍入りのハンカチを
見ている姿も寮に居る人は全員知っているから、
婚約破棄や横槍云々の揉め事は少なくはなった。かな」
水が流れるかの様に、言葉が止まらないボーイックに
感心しつつも、聞こえてくる内容は不安を煽る様な事ばかりで
ルイに視線を送るが、綺麗に無視をされてしまい
ディランは知っているのかしら?
帰ったら問い詰めてる事を心に決め、ボーイックの言葉に
耳を傾ける。
「まぁ、見た事もなけれは名前も知らない人物だと言い切り、
思い人を裏切る行為はしない。と公言しているからね」
これで安心だろう。
心の感情と表情が合っていない様なズレた微笑みで締めくくった
ボーイックに、なんとも言えない感情が揺れたものの
「色々教えてくれてありがとう」
ミランダから教わった淑女の微笑みと共にお礼を伝え、
聞き耳を立てていたであろうクラスメイトの反応に心の中で
苦笑いをし話を切ろうとしたが
「そうだ。時折どこかに出掛けていて、どこに行ったのか
尋ねても教えて貰えないんだよ」
目の奥は探る様に鋭くも人良さそうに笑うボーイックに
「そう。ルイにとって大事な予定なのだと思うわ」
興味は無いと言葉を変え伝えた後、この話題を強制的に
終わらせる為にボーイックから視線を外し、授業の準備に
取り掛かた。
第436話
今年の冬はこのまま温暖で終わるのでしょうか?
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誤字脱字を教えていただきありがとうございます。修正が大幅に遅れており申し訳ございません。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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