弟は調査結果を聞く
冬空とは言え太陽の光は温かく姉様の手作りのサンドイッチを
食べ終わるのを見計らい
「以前、ご依頼がございました彼の報告が纏まりました」
フレディから告げられた言葉の続きを促すと
「ボーイックはディラン様もご存知の通り両親は大商会を
運営しており、目利きな上、交渉の手腕から他国の商品も
取り扱いが多く上位貴族から絶大な信頼もあり、推薦を得て
王族御用達の商会となりました」
貴族社会では知っていて当たり前の情報を改めて告げられ
頷き返せば
「その一人息子が調査の対象となったボーイックです」
言葉が切れたので、
「ああ。姉様と同じクラスになる人物は出自から全て調査を済ませ
白だと判断が下った。彼もその1人だ」
姉様が入学する数ヶ月前から陛下の密命を受け、我が家で調査をし
全ての報告書に目を通した。
勿論、彼の事も調べたし、元より生活魔法道具や魔法石で取引も
あったので当人の事は話した事は無いが知っており
「ボーイックが入学しエスメ様と交流を持とうとする事は予想済み
でしたし、その為にルイを同室へと手を回しました」
フレディが淡々と話す事は事前にルイに許可を取り、本人も承諾を
して実現をしているので改めてる事では無いのではと思いつつも
無言で固定し話を促す。
「ボーイックは入学式初日からこちらの予想通り行動を起こし
ましたが、今までエスメ様が上手にかわしてくださるお陰で
問題事は起こっておりません」
入学式の日、姉様からの話と目からの報告書を読み
ため息を落としたのは記憶に新しい。
次の日からも姉様を通して商売の拡大や我が家のお墨付きなど
欲しくて動いた様だが、全て姉様は彼の疑惑に気づかずに
今日まで友として関係を続けてる。
「エスメ様の危機管理能力と回避力に感謝と尊敬しかありませんね」
苦笑をしながら溢したボーイックの言葉は我が家全員が思う事で
特に生活魔法道具の工房の代表者となっているお父様は
「毎回エスメの勘の良さに助けられているな」
お腹をさすりながらの言葉にお母様が労りの手を差し出し
「勘と言うよりは、鈍感なだけだと思いますわ」
にっこりと微笑み告げたお母様の言葉に返事をする事は誰1人
できなかった。
けど、姉様に助けられているのは無違いはなが
「続きがあるのだろう?」
姉様の話ばかりでは先に進まず、強制的に話の軌道を戻すと
フレディは目を誤った後、
「エスメ様に話を振るも色の良い返事が貰え無い中、
1人の女子生徒に話しかけられ、急速に仲を深めて出しました」
大方予想通りの話にため息を落とすが
「その女子生徒は、入学式の日に殿下とぶつかった生徒です」
フレディから聞かされた言葉に軽く驚きつつフレディへ
顔を向ければ、
「その場にディラン様もおりましたので、私より女子生徒の事は
詳しいかと思います」
報告書の中に容姿も描かれているだろうが、言葉よりも
実際に見ている自分は説明も必要は無く、
「黒髪の新入生だったな」
印象に残っている外見の一部を言葉にすると、フレディは頷き
「平民から侯爵家へと養子に入った生徒です」
彼女とはクラスが違う為に会う事は勿論、挨拶をする事も無く
入学式のあの事以降すっかり忘れていたと言うのが本音で、
「どう言った目的かは分からないが、個人の自由だから
関係性を裂く事はしないが」
男女の関係ならば当人同士の問題だ。
こちらが口を挟む事は無い。
「ええ。ですが、ボーイックの方がかなり入れ込んでいる様で
店の金に手を出しているのでは無いかと思える程の貢ぎを
行っております」
何かあればエスメ様の御身が危うくなる可能性が高く。
囁く様な小さな声で付け加えられた言葉に瞼を閉じ
様々な事を考え予想してゆくが
「それは彼と彼の両親の問題だ。こちらは関係ない事だ」
実害が無い以上、これ以上の事はできない。
同じ様に小声で返事を返しつつも、内心苦々しく思いながらも
「後、少し様子を見てマリー嬢からの黒い靄や甘い匂いの報告が
慣れけば調査を打ち切る」
今後の事を決めフレディに告げた後、公園でクラスメイトと
楽しんでいる姉様を思い出しつつ
話に出た女子生徒に気にかけてみる事を決めた。
第433話
数日前の早朝、朝に照らされた彩雲を見ました。人生初の彩雲はとてもとても綺麗でした。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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