姉、反省し静かに過ごす
お世話になった宿を出る時、主人や働く者たちの挨拶と見送りを受け返事を返すディランの横で貴族らしく微笑み、世話になったメイドに改めて礼を告げ馬車に乗り込んだ。
ガタガタと揺れる音に馬の蹄と時折り聞こえてく鳥たちの鳴き声の聞きながらディランから次に泊まる領地の説明と
「次の領ですがワインが有名で陛下がお気に召し御用達としております」
特産物の話を聞いている。
この話に何度も助けられてきた。
作法の違い食事マナーの違い。
戸惑いながらも失礼の無い行動ができたのはディランが事前に教えてくれたから。
分かっているのだけど、
時折、ディランの声が子守唄のように聞こえてしまい気が付くと寝ており慌て飛び起きるを繰り返すが嫌な顔1つせず理解するまで付き合ってくれる時と
「お疲れでしょうからそのままで」
と寝かせてくれる時もあり、時折ディランが弟だと言う事を忘れそうになり、
「これではどっちが年上か分からないわね」
ぽつりと零した言葉に
「そんな事はありませんよ。教えられた事を言葉にしているだけです」
困った様に笑いながら言われてしまった。
道中の責任者は跡取りのディランとなっている。
貴族として公爵家の者としてディランより年の離れた大人を相手に責任者として挨拶を行い、付き合いや晩餐に呼ばれたりもしている。
まだ子供の年のディランの任せ私がしていることは部屋で大人しく本を読んだり、1人でティータイムをしたりと自由気ままに過ごさせて貰い申し訳なさを感じる。
「貴族として公爵家の跡取りとして立派に勤め上げているとフレディと騎士団長から聞いたわ」
謙遜するディランに改めて言えば
「お父様の真似をしているに過ぎません。僕はまだまだなのですか周りの方々が子供だからと見逃してくれているだけですよ」
首を左右に振り否定をするので
「誰が何を言おうと立派に勤め上げてます。お姉ちゃんである私が言うんだもの間違いないわ」
力強くハッキリと自分の気持ちを伝えると、微笑み
「ありがとうございます」
お礼を貰ったので
「どういたしまして」
笑いながら返事を返した。
それからは、色々な話をし時折休憩にと馬車から降り気分転換や凝り固まった体を軽く伸ばしティータイムを行う。
最初の宿を出て最初の休憩は皆が警戒と緊張で気分転換ではなかったが、少しづつ気持ちが解れようやく楽しめるティータイムが取れる様になった。
ディランから付かず離れず、はしゃぐ事もせず大人しく楽しむ中
「さすがお母様」
無意識に零した言葉にどうしたのかと聞けば
「以前、お母様に助言を頂きまして実行したところ効果的面でしたので感謝をしているのです」
口端を上げ小さく嬉しそうに笑う姿に
「良かったわね」
嬉しくなり頷き言えば
「もう1ついただい助言はここぞと言う時に実行しようと決めました」
決心をし覚悟を決めた表情の言葉に
「必殺技でも習ったの?」
あまりの表情で言うので不思議に思い首を傾げながら聞けば
「必ず殺る技ですか?確かにそうかも知れませんね」
私の言葉に納得できたのかどこか悪そうに微笑んだディランに、
「なるべく使わない方向でいてね」
怖くなり、使わないように釘を刺しその時のティータイムは終わった。
夕暮れ前に宿に入り、医者の診察を受け1人で晩餐し騎士団長から薬を渡され我慢して飲み干しディランの帰りを待つ。
次の日は起きて直ぐにフレディに素手で額に手を当てら安堵の息を貰い、朝食後薬を飲まされディランとフレディを見送り、本を読んだり昼寝をしたりし過ごすとお土産の物と話を持って帰って来た2人を加え就寝時間まで話をしつつ過ごす。
領は違えど繰り返される事は同じで外に出たい気持ちもあるけれど、右腕の骨折を早く治す事に重点を置いて過ごせば、
「明日の夕刻前に自領へ到着する予定です」
領主との晩餐から帰ってきたディランの言葉に驚き
「本当に!?」
つい疑う様な言葉を出してしまうも
「何事もなければですが」
用心する言葉に頷くも
「お祖父様とお婆様にお会いできるの楽しみね」
嬉しさが勝ってしまい浮かれてしもうも
「僕も楽しみです」
頬を赤くし同意してくれたディランの頭を撫ぜ就寝時間を迎えた。
第43話
旅は間も無く終わります。
秋ですね。食欲の秋と読書の秋が止まりません。秋は過ごしやすくて好きな季節です。
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嬉しく思います。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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