姉、何気ない日常
いつもの時間に目が覚め、冷え切っている自分の部屋と
ディランの部屋を温まった頃、ベットから出て
届けられている手紙や書類を読み片付けてゆく。
紙刺繍工房では祭りの準備と王都での販売路線の安定を
同時に進行している為に書類の変更などが日々行われるのを
確認し、魔法道具の工房では掃除機の試作が出来上がり、
試し運転と改良箇所を探す期間も終わり近々お披露目だと
報告書も受け取っている。
毎日同じ様で、全く違う出来事が起きる。
ボーイックの変化
マリーの見たと言う黒い靄
色々あるけれど、今持っている知識と想像力で色々考えたけれど
わからない事がありすぎるので、
その時、その場で対応策を決める事に決めたので、
この事は学園で行ってから決めれば良い。
頭の片隅でそんな事を考えながら生活魔法工房からの
手紙を読み続けていると、以前以来した魔法石を使った
アクセサリーができたとのことも書かれており、
いつ頃、取りに行こうかしら?
頻繁に領へ飛んでも良いだろうけれど、
ディランとフレディに心配をかけたく無い。
だからと言って領に行かないと言う選択肢は無い。
祭りが終わった頃ならば、親方さんも余裕ができるかしら?
数ヶ月先の事をぼんやり考え、その事を伝える為に羽ペンに
インクをつけお礼の返事を書き上げてゆく。
親方さんへの手紙に紙刺繍工房への応援メッセージを
書いた手紙ミランダとミラへの手紙も書き上げた頃、
ディランの身支度が整った様で、フレディが朝食の
準備が整ったと部屋に呼びにきてくれ、
「おはよう、ディラン」
「姉様、おはようございます」
互いに朝の挨拶をし、準備された朝食を食べ食後の紅茶を
楽しみまた真っ暗な中、馬車乗り学園へと向かった。
日に日に太陽が顔を出す日が早くなっているようで、
学園に着く頃には空を朝焼けで綺麗に染め上げており
「おはよう、ルイ」
先に馬車から降りたディランがルイと挨拶を交わし
何やら話しているのを終わるのを待ちながら、
「フレディ、寒くない?」
寒さ避けで発動している火と風の魔術を発動させてはいるが、
心配になり尋ねると、
「ご配慮ありがとうございます。とても暖かく過ごせております」
従者の顔で微笑むフレディに良かったと頷き返し、
ディランもルイも真剣な表情で話をしている姿を微笑ましく
見つめていれば、話は終わった様で
「姉様、大変お待たせしました」
品良く歩きながらこちらへ向かってくる姿に、
ディラン、身長が伸びたのかしら?
少しだけ大きく見えた姿に首を傾げるも
「エスメ、そろそろ行こうぜ」
ルイの言葉に意識を切り替え
「ディラン、フレディ。行ってくるわね」
別れの挨拶を伝えると
「お気をつけて」
ディランから返事が貰え、その後ろでフレディが小さく手を
降って見送ってくれ、足早に建物の中へと入って行った。
廊下を歩きすれ違いに挨拶をルイと共に返し、
教室へ入ればマリーとボーイックが笑い合い話している姿に
内心ほっと安堵の息を落としつつ、
「マリー、ボーイック。おはよう」
2人に挨拶の声をかけると、
「おはようございます」
2人同時に挨拶を返してくれ、
「楽しそうに笑い合っていたけれど、何を話していたの?」
楽しい雰囲気に好奇心が赴くまま尋ねると
「大した話はしていないのだけれども、春になったら
何をしたいかと話していました」
マリーからの返事に、
「日が長くなったらってことね? 何がしたいかしら?」
改めて考えてみたが中々答えは見つからず、
「そうね。みんなでピクニックがしたいわ」
暖かな陽気の中で、大きな木の下にシートを引き食事をしたり
お喋りを楽しんだりと想像をするだけれ楽しくなり
「皆で行きたいわね」
誘う様に声をかけるとマリーもボーイックも嬉しそうに
微笑んでくれたので、
まだまだ先の話だけれども、今から計画をしてもいいかもしれない。
浮き足だった心で簡単な計画を立てる事を決め、マリーとボーイック
の春なったらやりたい事を聞いていたら、時間が来てしまい
後からルイの春になったらやりたい事も聞かないと。
教師の話を聞きながら、頭の片隅でそんな事を考えつつ
書かれた文字を書き写した。




