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弟は姉に助けられる


毎日ほぼ一緒の時間に起床し、身支度を整え

姉様と朝食に食休め紅茶を済ませ、まだ日が

登らない中での登校となる。


冬の間は日の出が遅く、日の入りは早い。


闇夜に覆われる時間が長いこの季節は

気鬱になる者が多く現れると知識では知っていた。


「フレディ」


姉様が自室へと帰ると扉を閉めたのを確認した後、

従者として時に兄として隣にいてくれるフレディに

声をかけると


「ルイへ注意する様に促します」


伝えたい事を分かっていた様で説明をする前に望んだ言葉が

返され、


「ああ。それとボーイックの交友関係を中心に調べて欲しい」


「かしこまりました。屋敷の者を手配いたします」


しっかりと頷き、主語を告げない中でも学園外での交友関係

だと理解し答えをくれたフレディに


「早々に調べて欲しいが、焦って間違った情報にならない様にと

伝えてくれ」


「かしこまりました」


胸に手を当て一礼をし、従者としての立場で返事を返してくれた

のを見届けた後、


「それにしても、黒色のモヤに甘い香りとは」


伸ばしていた背筋を緩めソファに背中を預けながら溢せば


「抽象的でとても判断に困りますね」


困った顔で微笑むディランの言葉に、


「それを見た者がマリー嬢と言うのまた」


ため息を共に言葉も落とせば


「王家が動く事は間違い無いでしょう」


自分と同じ様にため息と共に落としたフレディに


「淑女マナーを教えているアメリア嬢のいない所で聞いた

と言っていたが、この後はどう動けば良いのかが分からない」


悩み事の1つを伝えると


「マリー嬢の事、王家御用達の商会の息子と言え平民クラスでの

出来事なので、まずは自分達でと思ったのかも知れませんね」


悩みを解決する助言をくれたものの


「すでにアメリア嬢にはこの情報が届いているはず。

親友の様に接しているアメリア嬢が傷つかなければ良いのだが」


つい眉間に皺を寄せアレコレ考え込んでしまうと


「ディラン様。エスメ様が日頃仰っているでは無いですか。

心配事なんてほぼ起こらないのだから、アレコレ考えては

時間が勿体無いと」


フレディの声のはずなのに、なぜか姉様の声で言われた様な

気がしフレディの顔を見ると


「事が起こってから考えて行動しても合う。とも、言って

おられましたよね?」


姉様の動きを真似た様に腰に手を当てながら言うフレディに

先程まで囚われていた思考が止まり

「そうだな。アレコレ考えても感情や捉え方は本人のみしか

分からないモノだったな」


姉様からの教えを声に出すと、雁字搦めになっていた思考が

綺麗に消え去った。


姉様は一体どうしたらこの様な考えに行き着いたのだろう。


自分やアメリア嬢の様に幼い心から感情の制御方を学んだ訳ではない。

数年早く生まれたからと言ってこの様な考えに行き着くもの

なのだろうか?


フッと浮かんだ疑問に


「フレディ。姉様は」


浮かんだ疑問の答えを貰おうとしたが、


人はそれぞれ違いがある。

それで良いのではないか。


自分で答えを見つけ質問の途中で言葉を切り、何でも無いと

続けようとしたが


「時に達観したお考えをする事もありますが、エスメ様の性格

かと思います」


自分の言葉を先読みしたフレディは答えを返してくれ更に


「エスメ様は書物などを読み覚えるんではなく、見て聞いて体験して

覚えるのを得意としておりますので、いつ、どこで学んだかは分かりません」


自分より数年長く姉様と一緒に居るフレディの言葉に頷き


「そうだったな」


姉様の行動を思い返せば書物を読んでいる時間よりも、会話をし、

体を動かし、時に思い付きでとんでも無い物を発案し作ってしまう。


いつも笑顔で楽しそうに笑い、時に淑女らしからぬ大きな声で笑う姿を

思い出し、


「姉様は姉様だな」


あれでもないこの世界に唯一の存在だと改めて実感し言葉にすると


「エスメ様もですがディラン様も、この世で唯一の存在ですからね」


いつになく真剣に真面目な顔をして伝えてくるフレディに、

嬉しくもあり恥ずかしくもありつつも


「ああ、分かっている。フレディだって唯一の存在だと言う事に」


同じ様に気持ちが伝わる様に真剣に伝えると、


「ありがとうございます」


嬉しそうに微笑んでくれる姿に嬉しく思いつつもこれ以上はと思い


「そろそろ、寝る準備を頼む」


話題を終わらせると、微笑ましいとばかりに見つめられた後


「かしこまりました」


一礼し部屋から出て行った。


少し先の事も分からないのだ。

これから先の事を想像しても想像通りに事は無い。


改めて姉様の凄さを実感しつつ、熱った体を冷やす為に

冷め切った紅茶を飲み干した。



第422話


一気に冬になりましたね。体調管理にお気をつけください。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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