姉、同じ行動を事をする
2022/01/31 フレンチキスと、はディープキスと同じ意味だと教えていただき「フレンチキス」から「軽く唇を当て」に変更いたしました。
教えていただきありがとうございます。
食後のティータイムに入りゆっくりとした時間が流れる。
美味しい紅茶と少しの茶菓子
この領地では飴を舐めながら紅茶を飲むのは流行り初めていると街で聞いたと言うフレディの言葉に興味を示した結果、
砕かれ様々な大きさと様々な色の飴を口に入れ少し溶かしてから紅茶を飲むとほのかに甘い紅茶を味わい呑み込む。
「美味しい」
今まで飲んだことの無い甘みと紅茶の香りに声を溢すと
「飴の味によって果実の味と紅茶の味が味わえるのも面白いですね」
気に入ったようでディランの関心した感想に、首を傾げ
「ディランが食べた味は何だったの?」
聞くと
「黄色の飴を選びました」
こちらです。
そう言いながら差し出してくれた飴を口に入れ少し溶かすと甘酸っぱい味に慌て紅茶を飲むと
あ!薄いレモンティーの味
閃いた感想にどこか懐かしくでもいまいちの味に残念に思うも
「柑橘の味と紅茶は合うのね。とても美味しいわ」
出会えた懐かしく感じる味に嬉しく思い同じ色の飴を手に取りもう一度紅茶を楽しむ。
他にも苺の味やミルクの味がする飴を楽しみ、先程は魔法道具の話で中断してしまった街の雰囲気や商店が取り扱う品々にそれを買う平民の人達の話を聞き、頷いたり、笑ったり、驚いたりと感情が忙しく動く。
ディランの事前に調べた知識と冷静な判断に加えフレディが少し戯けながら進めてくれる話に気が付けば就寝の時間が迫り、
「もう、そんな時間なのね」
ため息混じりにもっと聞きたいと不満をのせ言えば、
「明日からまた馬車での移動です。沢山話す時間はありますよ」
仕方ない姉様だと少し呆れながらも解決策を告げるディランに
「そうだったわ!」
すっかり忘れていた事を言われ数度頷くと
「この街だけではなく領地の事も覚えてもらいますのでそのつもりで来てくださいね」
家庭教師の様に告げてくるので、
「分かってます」
楽しみではずんでいた心が一気に萎み、拗ねるように口を尖らせれば、
「では、僕はこれで失礼します。何かあればサイドテーブルにあるベルを鳴らしてください」
そう告げ騎士団長を残しフレディと共に部屋を出て行った。
入れ替わりに入って来たメイドに連れられお風呂に入りナイトドレスに着替えドレッサーで髪を櫛で漉いてもらう。
ふんわりと匂う香りに微笑んでいると
「お気に召していただけましたか?こちらはラベンダーの精油でございます」
丁寧に何度も髪を漉いきながら夜用に少し音を落とした声に
「とても気に入りました」
鏡越しに目を合わせ伝えると
「落ち着く匂いですので今宵はゆっくりお休みいただき明日からの旅にお役に立てれば光栄です」
表情は変わる事はなかったが声が少し嬉しそうな色を含んでいるのが分かり、
「お気遣いありがとう。この精油が欲しいのだけど」
鏡越しに買いたいと伝えれば
「畏まりました」
目礼され会話を終わりを告げ、髪の手入れも整いベットへ入る。
「では、明日に参ります」
騎士団長の挨拶が終わるとメイドと一緒に部屋を出て行ってしまった。
先程まで、ディランやフレディに騎士団長と楽しく過ごしていた部屋なのにどこか冷たく寂しい雰囲気に慌て布団を頭までかぶり目を閉じる。
明日からまた馬車に乗る。
だいじょうぶ。大丈夫。
もうあんな事は起きない。
絶対起きない。
目を瞑ると浮かび上がる光景に体を丸める。
大丈夫。だいじょうぶ。
ディランもフレディも騎士団長も居る。
だから、だいじょうぶ。
ゆっくり息を吐き、こわばっている体をゆっくり動かすと、ふんわりと優しい香りが匂い深呼吸をすると
硬くなっていた体を強張っていた気持ちが解れていき、漣のようにくる眠りに意識を任せた。
「お嬢様」
体を揺すられる感覚に瞼を開けるも、目の前は真っ暗で先程の感覚と声は夢だと考え直し瞼を閉じるも
「姉様。二度寝は許しませんよ」
少し怒ったディラン声に瞼を開け、起き上がろうと体を動かすも右腕の痛みにバランスを崩しベットに倒れ込む。
「姉様、どうされたのです?どこか痛みがあるのですか?」
慌てるディランの声に
「大丈夫よ。寝惚けてバランスを崩しただけよ」
布団越しから伝えれと、布団が取り払われ眩しさに瞼を閉じるも、医者をと大きな声で指示を出すディランの声に慌て
「大丈夫だから!本当に寝ぼけてただけなの!ごめんなさい恥ずかしいから呼ばないで」
起き上がり大きな声で告げれば駆け出しそうな騎士団長を止めることができた。
「本当に大丈夫なのですか?」
疑いながらのディランの言葉に
「本当に大丈夫だから」
頷き返すと、一呼吸しフレディへ視線を投げたディランとフレディを眺めていればディランとフレディが場所を入れ替わり、
「失礼します」
膝を着いたと思えば断りの言葉の後に左手に手袋を取り、伸ばされたと手を眺めていれば額に当てられる。
何をされているのか分からずのいたが、
熱を測っているのね。
遠い記憶で同じ様な事をしてもらった体験を思い出しフレディの行動に納得がいった。
前世では良くお母さんにして貰ったなぁ
懐かしく、記憶より大きな手に擦り付けるも、ゆっくりと離され
「熱はない様です」
ディランに向かって報告をされ、再び立ち位置戻りディランが直ぐ側まで来てくれる。
「心配かけてごめんなさい」
改めて謝りを入れると、
「いえ、僕も事を大きくしてしまい申し訳ありません」
同じくディランも謝ってくるので、じっと目を合わせお互い笑うと
「姉様、朝の準備をお願いします」
何もなかった様に告げるディランに
「急いでするから待っててね」
いつの通りに返事を返し、メイドを連れ着替えが終わるとドレッサーに腰掛けた。
髪結いの指示はマルチダが教えてくれた結び方でお願いすればメイドも手慣れたものであっと言う間に終わり、礼と伝えると一礼し部屋を出ていくと、準備されているテーブルに向かいディランのエスコートを受け着席しディランが椅子に座ると朝食が始まった。
白いふわふわなパンにお肉と魚の料理が並び少しだけだけ食べて後は残す。
勿体無いと頭の中で叫ぶも、今の私がこれが食事マナーなのだと言い聞かす。
王都では皿の数は多いが量は少なく数口で終わる食事が支流になりつつあるがこの領地ではこちらが食事のマナーだとディランが教えてくれた。
領地が違えばその領地だけのマナーが存在する。
郷に入れば郷に従え。
貴族同士の関係が悪化すれば領民にしわ寄せが来る潤滑に済ませる基本の行動なのだと教えられている。
だから前の記憶でどんなに訴えてきても受け入れない。
食事が終わり、紅茶を飲んでいるとフッと思い出し
「フレディ、申し訳ないのだけど昨日渡した箱を持って来て欲しいの」
遠慮がちにお願いをすると、すぐさま持って来てくれ箱を開け改めて眺めるれば赤いラズベリーが飴に包まれか輝いていた。
いつまでも眺めていたい気持ちと取っておきたい気持ちに目を逸らし1粒摘み口の中に入れ噛み締めると、飴甘みとパリパリとした食感にラズベリーの甘酸っぱい果汁が混ざり合い、
「とても美味しいわ」
思わず出てしまった大きな声に、
「喜んでただき嬉しいです」
微笑み返された。
残りは3つ。
いつ食べよう。
今全部食べるようか、それとも馬車の中で1粒づつ食べようか。
悩み眺めていたが思い付き、1粒持ちディランに向かって差し出してみる。
「姉様」
戸惑いの声と困惑する表情に
「ディラン」
とても良い笑顔で名前を呼びながらも口を開けるように無言で圧をかけるもディランも無言の主張に気付いているのに、気付かないふりをするので負けるもんかと気合を入れ見つめ合えば、
渋々、口を開けたので転がすように飴を口の中に入れる。
ゆっくり噛む姿を満足し、次の飴を手に持ちフレディの元に向かうと今まで見たことの無い狼狽戸惑い、
ディランに助けを求める視線を送るも、無視され、膝を曲げ恐る恐る口を開けたので落とさないように転がし入れる。
パリパリと飴の噛む音を聞き、最後の1つを手に取るためテーブルに戻る途中
「騎士団長」
ディランの声に振り向くと視線を彷徨わせ
「自分は、その」
戸惑い何かを告げようとするも、
「騎士団長、こちらへ」
ディランの言葉に、グッと息を飲み込んだ後、ぎこちなく歩きテーブルまでくれば膝を折り何か壮大な覚悟を決めたかのように手を握り込み目に力を入れ口を開けるので、ころりと騎士団長の口の中に飴を入れると、ゆっくり噛み締めているのかバリバリと同じ飴とは思えない音がするので首を傾げるも、
「美味しゅうございます」
強張った声に
「どういたしまして?」
どうしたのか分からないが返事を返すとぎこちなく立ち上がり壁際まで戻って行った。
「さて、そろそろ馬車の準備もできている頃かと」
不思議な雰囲気になった空気を破るかのようなディランの一言にフレディと騎士団長が背筋を伸ばすので釣られ背筋を伸ばすも、
「姉様はご自身の体調を優先してください」
ディランの微笑ましそうな表情で告げられた言葉に
「今での骨折が治ったからもう大丈夫よ」
嬉しくなりいつもの様に返せば瞬間に呆れた表情に変わり
「治っておりませんし治りません」
すかさず返って来た言葉に
「そんなの分からないわ」
食い気味に返せば、
「医者に1ヶ月以上は治らないので安静にするように言われてましたよね」
まさか忘れたとは言わせませんよ?
見惚れてしまいそうな程の良い笑顔と圧力に
「覚えてるわ。ただ1ヶ月以上とは言われてないと思うのだけど」
尻つぼみになりながら答えるも
「姉様」
ため息と共に圧力がなくなると何故か悲しそうな表情をし
「僕はまた姉様の笑顔と元気な姿が見たいと思い口煩く言いましたが姉様は違うのですね」
先程とは真逆の悲しみ震える声に慌て
「違うの!ディランの気持ちはすっごく嬉しいよ。気づかなくてごめんね」
自由に動く左手でディランを抱きしめ、謝りを繰り返せば両手で抱きしめ返してくれ
「無理をすれば治りは遅くなり痛みがぶり返すと聞きました。僕は姉様には痛い思いをして欲しくないのです」
苦しそうに思いを告げてくるディランに申し訳なく思い
「ごめんね。きちんと治療するから」
左腕に力を入れ返し伝える。
こんなに悲しませてしまうだなんてディランの気持ちを軽く見ていた自分の失態だわ。
顳顬にフレンチキスをしディランの気持ちが落ちつくまで待つと
「すみませんでした」
ゆっくりと体から腕が外され離れ、ディランを目を合わす為に下を向くと恥ずかしそうにしながらもいつもの表情に戻っており、
「私の方こそごめんなさい」
最後に額に軽く唇を当て、自然と離れるとフレディの扉を開ける音に気付き視線を上げると
「姉様」
エスコートをしてくれるらしくディランが手を差し伸べてくれたので手を乗せ歩き出した。
第42話
39話から三色団子みたいな感じがあるお話になりってしまいました。
地域によっては冬並みな寒さや夏並みの暑さだったようで寒暖差にアレルギーもあるのだとか。
皆様、体調にお気を付けください。
ブックマークや評価に星を押していただきありがとうございます。
とても嬉しいです。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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