姉、友人の異変に悔やむ
短い授業に短縮となった分、濃密になった
マナーの授業
身を切る様な寒さも教室に入れば少しだけ
暖かく感じ、無意識に入っていた力を抜き
自分の席に向かい、通りすがりにクラスメイトに
ルイと共に挨拶を交わしてゆく。
先に着席していたマリーに挨拶を交わし、
自分の席に座ると、
「ルイ、エスメさん。おはよう」
ボーイックから挨拶を貰い同じ様に挨拶を返すと
「2人はこのような物に興味はないかな?」
いきなりの言葉と共に差し出された物に視線を向けると
2つ共、同じ形をしたネックレスの様で
「恋人同士同じ形の物をと相手の色をつけると言うのは
とても素敵な事ではないかと思ってね」
僕が考案してみたんだ。
誇らしげに教えてくれたボーイックに怪訝な表情のルイと
興味深々のマリーの表情を横目で見ながら、
「とても素敵だと思うわ」
「魔法石に魔力を込め互いにアクセサリーに加工し送り合う
と言うのも素敵だけど、魔力の無い人達向けにどうかと
思ってね」
ボーイックの言葉に頷きつつ返事を返すと、
「エスメさんがそう言ってくれるなら商品として
出してもいいね」
少し首を傾げたくなる言葉の作りに、
「なんだよ、それ」
自分より先に反応したのはルイで
「自分が考えたのに売る自信が無いかからって
その言い方はないだろう」
怒りと呆れの混ざる声と言葉でボーイックに投げると
「エスメさんは先見の目を持っているんだ。
これから流行りを作る僕が助言を欲しいと思っても
仕方ない事だよ」
自信に満ち溢れているボーイックの言葉と態度に
違和感を感じマリーに視線で問いかけてみると
真剣な表情をし自分の視線に気づかない程
ボーイックを見つめており
「今、着ているエスメさんの制服の襟にある刺繍は
貴族クラスで注目され日々話題に上るほどなんだ。
エスメさんのお墨付きがあれば貴族の興味も引ける
そうなれば僕は認められ箔がつく」
どこか狂酔し歌う様に言うボーイックに驚きつつも
王国御用達である商会の跡取りという立場が、
ボーイックに焦りを生み出しているのかもしれないわね
半年程だが同じ部屋で勉強し沢山話をしてきた。
そのボーイックの変化に気づけなかった事に悔やみつつ
「ボーイックに褒めて貰えるのはとても嬉しいわ。
でも、この刺繍は私が考えたのではなく、領の工房で
働く人が考え刺してくれた刺繍なの」
ご期待に添えられずごめんなさい。
自分は一切関わっていない事を伝え誤解を解くべく
言葉にするも
「ご謙遜を」
信じてもらえず、どう伝えようかと考える中
教室の扉が開き授業が始まった。
誤解を解くべく何度も話題にすも、なぜか信じて貰えず
否定した事はボーイックには理解してもらえなかったが
クラスメイトには伝わった様で、ボーイックの言動に首を
傾げている雰囲気の中、授業は終わりそれぞれがカバンを
手に持ち教室を出てゆく中、
「ボーイックさん」
マリーがボーイックの腕を数度触れ呼び掛けたと思うと
「どうしたんだい?マリーさん」
朝とは違い穏やかな表情をしたボーイックの返事が聞こえ
「朝、見せていただいたアクセサリーを見せて欲しいの」
「アクセサリー? ああ、いいとも」
意志つよく見せてくれたアクセサリーの事を忘れていた
様で、疑問符を告げ事に内心驚きつつ見守ると、
どこか不思議そうな感情を隠しつつもマリーの対応を
している姿と
安心したように笑いながら話しているマリーの表情に、
「マリーが何かした様だな」
自分だけにしか聞こえない小さなルイの声に小さく頷き
「後で話てくれると思うわ」
同じ様な声の音量で返事を返し2人の会話を
聞き漏らさない様に集中した。
第419話
夏の様な暑さなのに夜は身を震わせる程に寒い。この寒暖差に着る服に困っています
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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