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姉、思い付きが大きな事になった


遅い日の出がゆっくりと早くなり

夕方から夜までの間が少しずつ長くなり始め


庭には水仙が咲き出しアーモンドの蕾や椿の蕾が

膨らみ


季節は冬から春へ移ろうとしていた。


領より暖かく感じた王都だったが、お父様から

許可を貰い配布した魔法石もあってか屋敷で働く皆、

風邪などなく健康で過ごせたと王都の屋敷で家令をしている

フレディのお父さんからお礼の言葉が貰えた。


「私の思い付きだったけれ喜んでもらえて良かったわ」


ディランの部屋で紅茶を飲みつつ休憩中の話題にすると


「皆、エスメ様のお心使いに感謝しておりました」


特に女性は皆、1日中離さず持っていたと聞いております。


フレディからの言葉にさらに嬉しく思い顔を緩ませていると


「では、僕からも」


隣で同じ様に紅茶を飲み休憩をとっていたディランの

言葉に体を向けると


「毎日、部屋を暖めていただきありがとうございます」


その言葉と共に差し出されたリボンのかかった箱を

つい受け取ってしまったものの


「それこそ私が勝手にしていることだもの、気にしないで」


慌て、箱とお礼の言葉を返そうとするも


「姉様はついでとおっしゃいますが、僕にとっては

とてもありがたく、お礼をの言葉だけでは気持ちが

足らないと思い用意した物です」


是非、受け取って受け取ってください。


普段見られない少し甘えた笑顔とは反対の大人の

言葉と対応に嬉しい気持ちと困った気持ちが混じり

ながら


「ありがとう」


ディランから手渡された箱を受け取り、

綺麗に結ばれている緑のリボンを解き、

中に入っていたのは押し花が入った

レターセットに驚きディランの顔を見れば、


「姉様が領にて制作していたのは手紙で教えて

いただいておりましたので、それを元にして

作らせてみました」


自分の反応が嬉しかったのか、子供の頃の様に

笑うディランに懐かしくもう嬉しく思い


「ありがとう。大切に使わせて貰うわね」


4セットあるレターセットをいつどんな時に

どの組み合わせて使うか、ゆっくり考えようと

開けた箱を閉じつつ


でも、もったいなくて使えないなぁ。


受け取る為に手を差し出した

フレディに手渡した。


「腕の良い職人も見つかりましたので、

無くなりましたらいつでもおっしゃってください」


まるで、自分の行動を読んで様に告げた

ディランに曖昧笑顔で返事を返しつつ、


「その職人の方は国外の方なの?」


気になる事を尋ねると、


「国外でしたが、まもなく領民となります」


先程までの笑顔は消え、大人びた微笑みと共に

返ってきた言葉に


「移住してくれたのね」


ありがたい事だと気持ちを込め返せば


「ええ。なんでも姉様の考案した押し花入りの紙に

大変興味があり、作成したいと申し出が合ったそうです」


返ってきた言葉に、


「ただの思い付きだったのにそんなに興味を持って

もらえるだなんて、なんだか申し訳ない気がするわ」


あの時の思い付きだけで作り、ただの日常報告の為に

ディランへの手紙に書いた事が大きな事になっている

のに不安な気持ちが出始める。


「興味を持つのは人それぞれです。

姉様が悩む事ではありません」


励ましてくれるディランの言葉と


「紅茶のおかわりはいかがですか?」


新しいカップに入れたてのミルクティーを差し

出してくれたフレディの気持ちに嬉しく思いつつ


「当面の生活の保証と成果に見合った報酬は

契約に織り込んでおりますので、エスメ様のご心配には

及びませんよ」


通過された言葉に完全に不安が消え


「なら大丈夫ね。関わった皆のお礼を伝えないとダメね」


礼文を送る為のリストを作成依頼を出すとフレディは

頷いてくれ


「明日、お届けできるようにいたします」


届けてくれる約束をしてくれたので明日の予定を

頭で組み立て直しつつ、ディランとのお茶の時間を

楽しむ。


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