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姉、初めて見る弟の表情に心乱れる


ベット横に置いてある椅子に腰掛け


「王都から少し距離もありますが、旅人が多く集まりますので宿場も多く様々な商店もありこの街に遊ぶ為に来る貴族も居ると言うのは本当だと思います」


真面目の顔で出発前に自分で学んだ知識とすり合わせながら話をしてくれるディランの顔を眺めながら相槌を打ちつつ、


「ディランはどんなお店に行ったの?」


想像するだけで心が躍りつい早口で尋ねると少し上に向けた視線を追いかければ思い出したと頷き


「まずは名物となっている飴屋へ足を運びました。様々な色や形をした飴が並ぶ一角には白鳥や花の形をした美術品の様に綺麗な飴細工がありましたよ」


「白鳥や花の型をした飴なんて素敵ね」


初めて聞いた物に想像し感想を告げると


「実演をする職人が居たので見学をさせていただきましたが、飴が熱い内に練り上げあっという間に作り上げていましたよ」


職人の手技を思い出し関心と少し興奮をしているディランの姿に微笑み、


「そんなに素敵な物ならお父様とお母様に贈りたいね」


数日前にどこか心配そうに見送ってくれた両親を思い告げると


「姉様がそうおっしゃると思い見学をした職人へお願いして来ました。数日後には屋敷に届くはずです」


どこか誇らしげに言うディランに


「さすがディランね。ありがとう」


礼を告げるも


「他にはどんなお店があったの?魔法道具を扱うお店もあった?」


好奇心が止まらず質問を続けると


「ええ。勿論、足を運びました。ざっと見た感じですが姉様の作り上げた商品は全部販売してました」


先程の表情が消え、真剣な表情で帰って来た言葉に


「全種類置いてあったの!?凄いわ。凄く嬉しい」


胸の前で手を叩こうと腕を動かすと痛みを感じ、少し顔を顰めると


「嬉しいのは分かりましたので落ち着いてください」


慌て手を伸ばしてくれ心配してくれるディランに申し訳なり


「ごめんね。つい嬉しくて」


眉を下げ謝ると


「いえ。謝りは要りませんからこれから気を付けてください」


同じく眉を上げている表情と言葉に空笑いを返し、


「全部揃えて売ってるなんて凄いお店ね」


先程まで話していた話題を振り直せば


「領主が言うのは街1番の魔法道具を扱う店で貴族御用達だそうです」


何事も無かった様にディランも話題に乗り話を続けた。


「御用達のお店かぁ。やっぱり平民のお店には置いてないのかな?」


以前、魔法省の役人さんの言葉を思い出し溢せば、


「扱いは無いとは言えません。時々店頭にディスプレイで置かれているのを見ましたし眺めている平民もいましたが購入には至っておりませんでした」


「買わないのは値段が高いからだよね」


「そうだと思います」


「御用達という事は魔法石だけではなく物も一流の職人が作るから高いと考えて間違いない?」


先程までの楽しい気持ちが消え去り、互いに真剣な表情になり雰囲気が固くなり始める。


「合っております」


質問に頷いてくれたディランを見つめ


「私、魔法石を小さくすれば安くなると思っていたけど付属する物を平民向けにしなければ安くならないよね」


頭の中にある様々な考えを纏め言えば


「ですが、魔法石を扱うにはそれ相応の技術が必要ですので価格を落とすにしてもそこまでは難しいかと」


「専門職なのね」


初めて知った事に驚くと


「魔力が著しく少ない者または魔力が無い者が行っております」


止まる事なく答えたディランの知識の量に驚くものの初めて魔力の無い人がいる事を知り


「魔力が無い人がいるの?」


聞き返えすと


「ごく稀ですがおります」


あっさり返事が返ってきた事にさらに驚き言葉が出ないでいると


「姉様の様に魔力が沢山ある人も居れば、全く無い人も居る。当たり前の事です」


ディランの言う言葉に確かにそうだと納得できたし、


「生活で魔法を使う事は滅多にありませんから魔力が無いからと言って迫害を受ける事もありません」


言われた言葉に村で出会った夫人やお兄いさん達を思い出し改に理解し納得をした。


それからも沢山の事を聞き、改めて自分の知識の無さを痛感すれば、


「お話はそこまでにしていただき間もなく晩餐の時間になります」


フレディの言葉に我に返れば、部屋の中に魔法道具のランプがつけられており、いつの間に窓にはカーテンが閉められていた。


「ごめんなさい。つい集中しちゃって気が付かなかったわ」


慌てフレディの詫びを告げると


「その為に従者の私が居るのです。どうぞお気になさらず」


本人の言う従者らしく微笑み、いつの間にか運ばれた食事が足付きの大きなトレーの上に準備された。


「ありがとう」


左手しか動かせ無いが不便の無いように並べてくる気遣いに気持ちを伝えると


「ご不便がありましたらお声がけください」


1礼し離れた場所へ待機をする姿からディランに視線を向ければ、こちらもいつの間にかテーブルが用意され数皿が乗せられている。


一緒に食べられるようにしてくれたのね。

もしかしたら騎士団長から朝の事を聞いたのかも。


1人で食べるのだと思っていたので嬉しくなりディランを見つめていると


「どういたしました?」


何も言わず笑いながら見つめる姿に首を傾げ尋ねてくるも、ディランの優しさと心遣いが更に嬉しくて無言で返事を返すと、何思ったのか少し驚き戸惑う表情の後照れた表情でスプーンを持ち、


トレーの上に載っている野菜スープを掬い


「姉様、口を開けてください」


差し出されたスプーンと言葉に従い口を開ければ、少し震えながら口の中に入れられた。


待って。

今のディランの表情すっごく可愛いんですけど!


ゆっくり咀嚼し飲み込み荒ぶ感情に翻弄されかけるも再びスプーンを差し出されるので口を開けた。


1回で終わるのかと思えば再びスプーンが差し出されるので品良くを心掛けながら口を開けスープを飲み込む。


食事マナーに厳しいディランの行動に驚きながらも頬を赤く染めながらも食事介助をしてくれるディランは何度見ても可愛くて、時折、フレディと騎士団長に視線を向けるもすぐさま手を動かしてくれる。


照れながら、大人達の暖かく見守る視線に恥しく感じながらも手伝ってくれる弟は


誰よりも可愛くて、誰よりも愛おしい存在を改めて思い知り可愛さを噛み締めるとスープがさらに美味しく感じ

あっという間に食べ終えてしまった。


まだ可愛い表情のディランを眺めて見たかったけど、


「ディラン、ありがとう」


ナプキンで口周りを拭き礼を告げると、


「いえ、お役に立てて良かったです」


消えそうな程小さな声の返事に最近のしっかりし大人に感じていた弟もまだまだ可愛子供だと改めて実感し

緩む頬をそのままに食事をするディランを眺めつつ


「野菜が甘くて美味しいかったわ」


先程食べたスープの感想を伝えれば、


「美味しそうに食べてましたね」


頷き返してくれるたので話題を振り食事の邪魔にならないように話を進めデザートを食べ終り食事の終了した。



第41話


もっと食事風景を濃密にしたかったです(文字数)


何故かとても暑い日が続いております。季節の分かりめの温度差にご自愛くださいませ。


ブックマークや評価に星を押していただきありがとうございます。

とても嬉しいです。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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