姉、謝罪する
ソファで寝てしまった体の痛みをお風呂で温める事と
マルチダのマッサージで和らげて貰い、身なりを整えた後
マルチダと共に隣であるディランの部屋を訪れた。
良い時に来た様で、扉を開けを開けてくれたフレディの
エスコートのまま席に座り、
「いただきます」
ディランと声を合わせ食事の挨拶をした後、スプーンを手に取り
青豆のスープからいただく。
塩味と野菜の味を引き立てたスープはとても美味しいが
寒くなってきたのでそろそろポタージュが恋しくもなりつつも
焼きたての白パンに手を伸ば一口程の大きさにちぎり食べると
小麦の甘い味と香りが口いっぱいに広がった。
毎日食べているメニューなのに飽きる事の無く、
今日のメインは川魚の香草焼きで残す事無く美味しくいただく。
ただ、いつもは食事も会話も楽しみながらの時間だけど
今日は言葉少なく、ディランの様子を伺うと少し怒っている様な
拗ねている様な表情をしており、食事の手を止め
「昨日は、黙って出かけてしまいごめんなさい」
まずは、浮かれ過ぎていて出かける事を告げ忘れた事を謝ると
「できれば数日前が好ましいですが、無理でしたら直前でも良いので
どこへ行くのかは教えて欲しいです」
眉間に皺を寄せどこか泣きだしそうな表情と言葉に
「ええ。必ず言うと約束するわ」
深く頷き返事を返すとディランは小さく息を吐き出した後、
「領の屋敷はいかがでしたか?」
違う話だしを始めたので
「お祖父様もお祖母様も働く皆も元気だったわ」
止めていた手を動かし食事を再開しつつ
「屋敷の外へは出ていないけれど、王都より寒くて後1ヶ月すると
雪が降るのではないかとお祖父様がおっしゃっていたわ」
領での事を思い出し話しだすと、
「そうですか。もうそんなに寒いのですね」
ディランも領での生活を思い出したのか懐かしむ姿に
「また、雪合戦したいわね」
すっごく楽しかった思い出を言葉にすると
「そうですね。王都では無理ですが領へ帰った時にでも」
困った様に眉を下げつつ、それでも楽しかった思い出の様で
機会があればと返事をくれ
「次やる時はルイとミランダとミラも一緒にしようね」
いつになるか分からないその日を思い描き計画を立てて
話を進めるつつ食事を終え、紅茶が置かれ
「ディランはミランダに会った事は無かったかしら?」
ふっと気づいた事を尋ねると
「ええ。お会いしたことは無いかと記憶しております」
小さく頷き返してくれた言葉に
「そういえばミランダもそう言ってたわね」
つい、もう会っているのだ思っていたわ。
自分の記憶違いを苦笑しつつ返事を返すと
「昨日、ミランダ嬢にお会いしたのですか?」
興味を引いたのかディランが聞き返してくれたので
「ええ。お茶の時間から晩餐の終わりまで沢山話したわ」
聞いてくれることが嬉しくて話しだすが、
「エスメ様、そろそろ学園に行く準備を」
マルチダの言葉に、
「もうそんな時間なのね」
これからだと言う時に話を折られたが馬車の中で話せばいいと
気持ちを切り替え、ディランに断りの言葉を入れ自室へ戻った。




