姉、週末の準備を行う
数日前から学園から帰ると自室で黙々と魔法石のかけらに
魔術を込め量産してゆく。
火の魔法石
水の魔法石
風の魔法石
土の魔法石
木の魔法石
それぞれを気分で作り上げつつも使用頻度の高い火の魔法石と
風の魔法石はどれだけあっても足りないぐらいだろうと思い
他の魔法石より数倍多めに作った。
1カラット程の大きの魔法石のかけらから3ミリ程の大きさの
かけらまで多種多様の魔法石のかけらがあり、その中でも純度が
高いものは別に避ける。
身分相応
誰の目に止まっても大丈夫な魔法石のかけらなので、何かの拍子に
誰かの目に触れても安心できるカケラを屋敷で働く使用人さんと
領の屋敷で働く使用人さん全員に行き渡る様に作り、
最後は取り分けておりた純度の高い魔法石のかけらはディランや
両親に領にいる祖父母へ渡す。
1番純度の高い魔法石のかけらに火魔法を入れおえ体から力を抜くと
「お疲れさまでした」
マルチダの言葉に少し疲れつつも微笑み返しながら机の上を片付けて
終えた頃
「こちらをどうぞ」
前に置かれたティーセットにお礼を伝え手に取り一口飲むと紅茶の香りと
ミルクの甘さに重かった体が軽くなると
同時に暖かくなり
「ウイスキーも2滴ほど入れてありますので体が温まると思います」
意外な隠し味に、気をつけつつ一口飲むと口の中でほんのりと
ウイスキーの燻された香りがあっただけで味の変化には気が付かなかった。
どこかの領の特産物だと思うのだけど、初めてのウイスキーでは領の生産地
まで分からず、助けを求めるようにマルチダに視線を向けると、
「旦那様のご友人が隣国で購入されたのを贈られた物になります」
自分の考えの中に無い答えに、まだまだ勉強不足なのだと痛感し、
学園の勉強と工房の仕事だけでは知識不足という事なのね。
自然と勉強方面へと持っていくマルチダだが素直に勉強して行くと、
ふっとした所で話題に乗れたり知識を披露したりとできるので、
今回も国内の領の特産物に隣国の特産物も勉強する事に決めた。
ゆっくりと飲んでゆくと体が温まると同時に眠気もやってきて
「そろそろ寝ようかしら」
落ちてくる瞼を必死で開けつつ、何度かベットまでた取り付き
布団に潜ると
「おやすみなさいませ」
遠くからマルチダの声が聞こえ、明かりとして発動させていた
火の魔法石を止めればあっという間に眠りの世界へ入っていく。
夜明け前のいつもの時間に目を覚まし、ひんやりとした室内を
火の魔術と風の魔術を発動させまずは身の回りだけを暖かくし
ベットから出て身なりを整えると部屋全体を温める。
今日は、領へ行く日
昨日までの魔法石に手一杯だったけれど今日は出来上がった
魔法石と届けるという名目でお祖母様とお祖父様に会いにく。
時間があったらミランダとミラとコナーさんにも会いたいな。
待ちに待った日は楽しみで想像すると心が弾みだす。
それなりの数の魔法石のかけらを準備したので大丈夫だと思うが
全員に行き渡るか心配もありつつも、
皆さんにお会いできるの楽しみだな。
お祖母様とお祖父様からの手紙で使用人として働く皆の様子は
知っているものの会いたい気持ちが募り落ち着きがなくなり出して
しまう。
今すぐ行ってしまおうか？
行っても朝の準備に忙しい時間だもの迷惑になるわ。
流行る気持ちをなんとか抑え、落ち着く為に本棚に近ずき
領の情報が書かれている本を手に取り、ソファに座り目を通して行く。
気も漫ろの為に文字を読んでも頭に入らず、ただ時間潰しの為に
目を通し太陽が昇るのを待ち、ようやく聞こえたノック音に被せる様に
返事を返すと
「エスメ様。おはようございます」
マルチダが入室した事でディランも起る時間だと分かり、フレディが
朝食の準備ができたと呼びに来てくれ、ディランとご飯を食べ食後のお茶を
楽しんだら領へ出発する。
ディランの部屋から戻り忘れ物が無いかを確かめ、いざと言う時に聞こえた
ノック音に返事をしてしまったものの、領へ行く動いをしていたため
「姉様。本日ですが」
扉を開けながらのディランの声と姿を見つつ、止めることはできずに
領へと飛んだ。
第400話
風に乗って運動会のアナウンスの声や音楽が聞こえ懐かしい気持ちになりました。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です？婚約者のお義姉様はどうなさったの？大変！廃嫡とざまぁを回避しなければ！
https://ncode.syosetu.com/n9341hw/
