姉、幸せな気分に浸る
貴族クラスの制服を着た男子生徒達と同じテーブルにつき
冷静な表情を作っているものの、心の中で首を傾げ
何故ここに男子生徒達が居るのか疑問に思っていると
ディランが手慣れてた手付きで淹れてくれた紅茶が
前に置かれ、飲むのが勿体無い気がしつつも飲まなければ
マナー違反になる現状に心の中で悔しく思いつつ、
失礼にならない様に少しずつ口に含み香りを楽しみ飲み込んでゆく。
ここ最近の見慣れた茶葉の味なのに、ディランが淹れてくれた紅茶は
今まで飲んだどの紅茶より色も良く香りも高く、特有の渋みもあり
1番美味しいと感じた。
ゆっくりと味わいながら飲み、勧められるままにショートブレットも
いただきつつ、未だ席に付かず男子生徒達の世話をしているディランを
手伝う為に椅子から立ち上がろうとするも
「ディラン。僕達のことはもういいから」
アメリアの隣に座る男子生徒の言葉にディランが返事を返し、素早く
隣に座ったので、屋敷に居る時のように話しかけようとしてしまうが
アメリアと親しげに話す姿に高位貴族のクラスの生徒だと判断し、黙って
様子を伺う事にすれば、
「流石だね。アメリアのおすすめするカフェの焼き菓子だけはある」
「生徒会長に気に入っていただけ光栄ですわ」
親しげに話す2人の会話を聞きつつ、
「マリー嬢。魔術の方はいかがですか?」
「まだ思う様に発動ができず、練習を続けております」
何処か緊張したマリーの正面に座った男子生徒との会話も耳に入れながら
「ディラン。以前質問をいただいが件のですが」
気の置けない雰囲気でディランと話す男子生徒を横目で観察しつつ
「なぁ、剣術が得意て噂は本当なのか?」
遠慮なくルイに話かけている誰よりも体の大きな男子生徒にも
注意を払っている、自分に向けられた視線に気づき顔を動かし
視線を合わせるとすぐさま逸らされてしまい、何もなかった様に
振る舞い、紅茶で唇を潤した。
それぞれがお茶の時間を楽しんでいる様子は見ていてとても
楽しく、時にディランの嬉しそうに微笑む姿に癒され満喫していると
「ディラン。そろそろ僕達の紹介をしてもらえないかな」
アメリアの隣に座る男子生徒の言葉にディランが表情を引き締め
何処か緊張した雰囲気に、緩んでいた心を引き締め何があっても
受け止める心つもりしディランを見つめれば、
「アメリア嬢のお隣に座られている方は生徒会長です」
私とルイに向けて話ているのは分かるものの、名前ではない紹介に
不思議に思いつつも
ディランの考えあっての事なのでしょうね。
次々に生徒会の役割である名称で紹介された後、
「入学式で方々を拝見しているのでお分かりかと思いますが改めて
紹介させていただきました」
その言葉でディランは自己紹介を締めたが、入学式の思い出は
壇上のディランがとても可愛らしくカッコ良かった事と、教師陣の
横で式を見守っていた凛々しい姿しか思い出せず、申し訳ないと思いつつ
微笑みで誤魔化すと、
「まぁ、エスメさんたら。どなたかに夢中でわたくし達の事は
覚えていないみたいですわね」
面白そうに微笑むアメリアの言葉に、視線で謝罪をすると
「仕方ないと言え、僕達もまだまだ存在感が足らないと言うことか」
アメリアと同じ様に微笑みつつの言葉に
「御2人方」
何処か揶揄う様な雰囲気があったが、ディランと親しげに話
副会長だと紹介を受けた男子生徒の一言に、アメリアも生徒会長も
申し訳んなさそうに申し訳なさそうに眉を下げ、言葉ではない謝罪を
貰ったので、気にしていないと小さく頷き返した。
貴族間の関係は中々に難しく少しも気が緩む事を許してくれない。
ミランダやコナーさんがとても五感に神経を張り巡らせ、言葉遊びも
加わるので真意を見抜くまで複雑なのだと言っていた事を体験し
ようやく言葉の意味を実感し
ミランダとコナーさんに尊敬の念が改めて生まれた。
ディランのおかげか平民クラスの私やルイにも親しげに話しかけてくれ、
ルイは書記だという体の大きな男子生徒と視線を逸らした同じく書記だと
言う彼と剣技談義で盛り上がっており、
マリーは会計だと紹介を受けた男子生徒と真剣な表情で光の魔術について
話し込んでおり、会話を聞きながら紅茶のいただくも飲み干してしまい
邪魔にならない様に立ち上がり、ティーポットに人数分の茶葉を入れ
新しいカップを温めている間に冷めてしまった紅茶を下げ、手早く淹れ
皆の前に置いてゆく。
1人置くごとにお礼を伝えてくれ、嬉しく思い微笑んで返し全員分
置き終え最後に自分のを淹れ、席に座り再び皆の話に耳を傾けると
「エスメさんの淹れる紅茶はいつも美味しいですね」
マリーの嬉しい言葉にお礼を伝えると、全員が紅茶の感想を
伝えてくれ、上手だと褒めて貰えあまりの嬉しさに顔が緩みそうに
なるのを頬に力を込める事で抑え下手くそな微笑みとお礼を伝え、
ルイから冷たい視線を送られる事となった。
フレディとイルさんにお礼を伝えなきゃ。
フレディには馬車でイルさんには手紙で伝える事を頭に刻みつつ
ディランの友達関係と会えた事で心配していた事が晴れ、
楽しくお茶の時間を過ごすことができた。
第398話
今年の秋は運動の秋にしようと意気込みだけ決めました。後は実行するのみです。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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