姉、仲を深める
予想外で突然な告白のような出来事が起き、さらに
殿下の婚約者でありこの学園の社交界の1番上に立つ
アメリアと並び校内を歩いている。
友達関係になりたいとディランを通して話してくれたが
隣に並び楽しく会話をしながら歩いくだなんて想像も
しておらず、緊張するものの私の心情はお見通しの様で
緊張をほぐしてくれようと楽しく面白い話をしてくれ、
時に我慢ができず微笑みから笑いへと表情を変えると
アメリアも楽しそうに品良く笑ってくれた。
「わたくし、エスメさんと沢山お話をしてみたかったのです」
同学年ではあるものの年上である私に気配りを見せてくれ
敬語で返してくれるアメリアに
「同じ学年なので言葉を崩していただけると嬉しいです」
アメリアとすぐ後ろに居るルイだけに聞こえる様に伝えると
1度瞬きをした後、
「ありがとうございます。それはいずれさせていただきますわ」
ミランダの様に微笑んだアメリアに、仲良くなれる確信がし
少しずつお互いの好きな事などを知りあえればと、
「図々しいお願いなのですが」
先程まで居た生徒が居なくなったのを見計らい声をかけると
「わたくしにできる事でしたら」
微笑んだ表情のままだが瞳の奥は何かを探る様な鋭さに、
少し驚いたものの仲を深めるには必要な事なので、
「私に貴女の名前を呼ぶ許しをいただきたいです」
愛称は無理でも名前を呼ぶ許可を貰えれば距離も少しは
近づくのではと思いお願いを言葉にし伝えると
「勿論です。そうだわ。2人きりの時でしたら愛称のリアと
呼んでいただいてもかまいませんわ」
猫の目を細めて嬉しそうに笑う姿は年相応というより
少し幼く見え、庇護力がむくりと産まれてきたが
「では、マリー達の前ではアメリアで、2人の時は
リアと呼ばせていただきますね」
ディランと同じ様に接する訳にはいかず、庇護力は
そっとお帰りいただき次に何を話そうかと話題の選別を
行っていると、気がつけばマリーの待つ部屋の扉前におり
ルイがノックをすると、聞き慣れた声に驚き思わず
ルイと目を合わせるが、
「お待たせいたしました」
対応に出てきてくれたのはディランで、
どうしてここに居るのかを尋ねかけるも
「まずは中へお入りください」
室内へ入るように告げられアメリアを先頭に入り次に
部屋に入るとマリーの周りに男子生徒数名がおり、
想像もしていなかった光景に内心お届きつつも
いつもの定位置である壁側に行こうとすると
「エスメさん」
慌て椅子から立ち上がり小走りにこちらに向かってきたと
思うと左手を握られ
「大丈夫でしたか？ 何もされていませんか？」
心配で早口で問われる言葉に微笑みながら
「心配してくれてありがとう。この通り何もされていないわ」
マリーの心使いにお礼をと質問の答えを返した。
が、
「しつこくエスメさんは平民で自分は貴族なのだと言って
おりましたわね」
アメリアの苛立ちと軽蔑の色の含んだ言葉に、頷く訳にも
返事を返す訳にもいかず、曖昧に微笑んでいると
「一目惚れとおっしゃいましたが、とても信じられませんわ」
いつの間にか席に座りティーカップを手に持っているアメリアの言葉に
全員の視線が集まり、
「一瞬で恋に落ちれば、ふっとした瞬間に恋から冷める事もありますから」
文字という情報だけで知っている先程の男子生徒の事を伝えると
皆様々な感情をのせ微笑み返してくれ、
ディラン、そんな怒ったよな悔し様な表情で微笑まなくても。
お姉ちゃん、全く気にして無いから大丈夫よ。
1番複雑な微笑みきれていない微笑みをしたディランに視線を送ると
視線に気がついたようで、無理やりの微笑みを消し
いつもの微笑みに戻った。
良かった。
屋敷に帰ったらきちんと話をしないと。
安堵の息を体の中に落とし、マリーに手を引かれるまま
ついて行けば、いつ間にか用意された席に座るように促され、
ディランに視線を向ければ、ティーポットを手に紅茶を入れており
ルイに視線を向ければアメリアから席に座るように促されていた。
第230話
一気に秋めいてきましたね。１日の寒暖差に着ていく服が迷い困っております。
誤字脱字修正報告をいただきありがとうございます。修正が大変遅れており申し訳ございません。
今暫くお時間をください。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です？婚約者のお義姉様はどうなさったの？大変！廃嫡とざまぁを回避しなければ！
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