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姉、告白される


毎日、同じ時間に起きて同じ行動を行なっていても、

早朝の部屋の温度が違ったり、あまり喉が乾いてなかったり

授業の予習復習をしたり工房の仕事をしたり、


ディランの部屋で朝食を食べていると


「姉様、昨日アメリア嬢が姉様と友達になりたいと

申し出をいただきました」


いつの朝食の感想ではない話しに首を傾げると


「淑女マナーの時間で姉様と話をして仲を深めたいと

思っていただけたようです」


表情を固くしながのディランの言葉に手に持っていた

塩パンを皿に置き


「とても嬉しい申し出だわ」


ディランの心中は想像する事しかできないけれど、

アメリアは気品と自信に溢れ優しく、話を聞いていても

話題が豊富で聞いていても楽しく、時折恥ずかしがり屋のようで

言葉作りに棘が出る時もあるが相手を気遣える優しい人なのだと

一緒に過ごす中で知った。


何より猫目のアメリアが嬉しそうに笑うととても可愛くて

できたらもっと笑って欲しいと思っていたので、嬉しい申し出に

返事をすると、ディランは安堵の息を落とし、


「ありがとうございます。僕からアメリア嬢にお伝えしておきますね」


止めていた手を動かし食事を再開した。



どこか違う毎日を過ごしている。


学園でも毎日違う事が起き、


授業が全て終わりマリーとルイとでアメリアの元へ行こうと

廊下を歩いていれば


「エスメさん。少し時間をいただきたのです」


情報としては知っているが初めて見るブレザーの制服を

着た貴族クラスの男性に話しかけられどう返事を返そうかと

思案する中、ルイが肩が当たる程に近くに来てくれ


「何か御用ですか?」


代わりに尋ねてくれたが


「気の利かないな。君には用事はないんだ」


どこか上からの言い方に心がざわついたものの

自分が頷きついて行けば良いだけなのでルイの腕を

軽く叩き大丈夫だと伝え


「少しでしたら」


名も知らぬ相手に了承の返事を返すと、廊下では話ができないとの

事でマリーとルイには先に行くように伝え、後を着いて行くと

以前、貴族クラスの女子生徒に呼ばれ着いていった場所と同じ場所で

まだ数ヶ月しか経っていない出来事を懐かしく思い出していると


「実はエスメさんに一目惚れをしまして」


突然の言葉に曖昧な返事を返す訳にはいかず淑女らしく微笑み

言葉を促すと


「よろしけれ僕と付き合って欲しい」


前の人生。告白されるという実体験は無かったものの

学生の頃から漫画やアニメにライトノベルと嗜み、子供と恋や

恋愛の話をしたり、付き合っている人や結婚相手を紹介されたりと

様々な経験もあるので


何となく話したい事は予想できていた。


まさか自分が。

と、言う気持ちはあったのが正直な感想でもある。


でも、今は


「嬉しいのですが、お断りをさせてください」


頭を下げ正直に自分の気持ちを言葉にし伝えると

その瞬間、相手の穏やかっだった表情が一変し

目を釣り上げ


「自分の立場を分かって言ってんだろうな」


大きな声と威圧的な態度に急変し、どう対処をするべきか

考えこれ以上興奮させないように黙ったままいると、

このまま進めれば思う通りになると思ったようで、

さらに言葉を捲し立て、貴族である事を自分が平民である事を

何度も繰り返し告げられた。


相手が疲れ落ち着くのを待つしかなく、表情を崩さず聞いている

フリをしていると、金糸雀色が視界に入り


アメリア?


会うはずのアメリアがルイを連れこちらに向かって来るのが見え

内心首を傾げていると、


「エスメさん」


男子生徒越しに名前を呼ばれ、返事を返すと


「あまりにも遅いので迎えに来ましたわ」


男子生徒など視界には入っていないとばかりに話しかけられ、

そうするべきかと迷いつつも


「お心使いありがとうございます」


申し訳無いと言うべきがいつもの癖で無意識に出てしまった言葉を

誤魔化す為に申し訳無いと表情で語ると


「かまいませんわ。わたくしとエスメさんの仲ですもの」


親しげな雰囲気で自分達の仲なのだと話してくれるアメリアに

朝のディランの話を思い出し頷けば、


「アメリア嬢」


相手の男子生徒も声の主が誰か分かったようで、居心地悪そうにし

視線を左右に彷徨わせるが


「わたくし、貴方に名前を呼ぶ許しをした記憶はありませんわ」


反論は許され無い程に強い言葉と態度で告げられ、男性生徒は

肩を振るわせると


「僕は用事を思い出しましたので、これで失礼致します」


アメリアに向かって深々と礼をし小走りに去っていく姿に

言葉にできない感情が産まれ誤魔化すように愛想笑いをすると


「全く。情けない事」


貴方の好意はわたくしが来ただけでなくなるのですか?


あとに続くであろう言葉に、言葉ではなく微笑みで返せば


「マリーさんがお待ちしてますわ」


移動する事を促され、先に歩き出したアメリアを追いかけ

斜め後ろにつくが、


「エスメさん。その位置では話しにくいわ」


横に立つように告げられ戸惑うも、早く来るようにと視線で

促され恐る恐る横に立つと、


「本日は少し遅くなりましたから予定を変更し、他国の

マナーを学ぶ事へ致しますわ」


「分かりました」


いつもよりほんの少し早い足取りと心配したと言葉にできない

恥ずかしがり屋のアメリアの言葉に頷き、マリーが1人で待っている

であろう部屋へ向かった。


第396話


すっかり秋めいてきましたね。秋の夜長のご予定はお決まりですか?


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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