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弟は思考に囚われる


ころころと笑うアメリア嬢の提案はとても魅力的であるものの、

いずれ最高位に立つ立場の力は一言で白でも黒に変えられる。


現に学園内では淑女の中ではアメリア嬢の上の位を持つものはおらず

姉様やルイを守るにはこれ以上ない立場と格式ではある。


が、薬も取り過ぎれば毒になる。


今は良くても、学園を卒業した後はルイは守られる立場に居られるが

姉様は違う。


王家や上位貴族と親密になろうなら隣国の王家が黙っていないだろう。


身に覚えも無い事を理由に拳を挙げられるとも限らない。


姉様を気に入っていただき心を配っていただけた事は本当に嬉しいが


断りを告げようと唇を動かすが、


「光も魔術を持つマリー嬢の親友に何かあり心を掻き乱されるのは困るな」


上座に座っているルーク殿下からの言葉に開けかけら口を閉じ、顔を向けると


「まだ未熟で心身が穏やかであるのは必要な時でもありますので、

アメリア嬢の提案に乗るべきかと」


ローテーブルを挟んで正面に座る魔術師として名を馳せているアーロの

言葉は最もではあるとわかっているものの頷く訳にはいかず下を向いてしまうと


「逆に考えると分かりやすいかと」


右隣に座るルカのの言葉にゆるゆると顔を上げ目を合わせると


「ルイ少年やエスメ様に取り入り、アメリア様に害をなす者を排除する。

そう、考えるてはいかがですか?」


主体を姉様ではなくアメリア嬢に変え考えるとルカの言う通り貴族社会を知らない

姉様やルイと仲良くなる振りをし、索を張り巡らせアメリア様の立場を危うくする。


そうなれば、姉様もルイも領へ謹慎では済まず最悪の場合は平民が貴族を

陥れたとされれば、2人は生きることは許されなくなる。


それだけでは無く我が家一族は貴族籍を無くすだけではなく、ルイの家族や

領民を不幸にしてしまう。


血の気が引き体が冷えていくのを感じ、自分の考えの至らなさにたまらなく

苛立ちつ中、


「ディラン、もしもの話だ。そうなるのを未然に防げば良いだけのこと」


左隣に座っているザッカリーに肩を軽く叩かれ、感情の波に飲まれていた

思考が落ち着き冷静に判断ができる様になると、


アメリア嬢の優しさ聡明さに気が付かなかった自分が情けない。


体の中に重い息を落とした後、改めてアメリア嬢と向き合い


「お心使いありがとうございます。2人をよろしくお願いいたします」


提案に乗り許可を出す事を告げると、時期王妃として微笑み


「ええ、わたくしの大事な親友ですもの。お任せください」


芯のあり有無を言わせない迫力を感じる声に、思わず膝を着きそうになったが


「そう言えばマリー嬢と4人でお茶会をなさったそうですので、見習って

我が家のご招待させていただければと思いますわ」


先程の微笑みとは違う幼子の悪戯を楽しそうに話すような笑みでの言葉に

言葉の理解が遅れ、数度瞬きをしたのち、


「あ、いえ。大変光栄ですがマナーなどの問題もありますので」


驚きと戸惑いの言葉の後、お断り入れたが


「ご謙遜を。毎日わたくしと4人でお茶を楽しんでおりますのよ?マナーが

できていないなど」


小さく笑うアメリア嬢の言葉に咄嗟に出した言葉はなんの意味も効力も無く

それでも高位貴族の招待はそれなりの格式も理由も必要で、どうにか回避

できないかと頭を回転させた。


「アメリア嬢が茶会に誘うならルイを剣術の腕試しの為に俺の家に呼ぶ事も

できるな」


先程まで口を開けなかったレジーの言葉に断る為に更に頭を動かすが、

全く言葉が浮かなばず、各々が好きかって楽しそうに案を出し合っているのを

慌て断りの言葉のみで断り続けていると


「それにしてもエスメ嬢を恋人にしようとは、無理な事を考えるものだね」


断る事に必死になる中のルーク殿下の一言に全員が一斉に口を閉ざしたものの


「本当にそうですわ。目に入れても痛くないと溺愛している弟の存在があるのに

見知らぬ他人に心惹かれる訳ないでしょうに」


アメリア嬢がいち早く反応をし返事を返したものの、自分の事を出されどう反応を

すれば良いのか分からず口を閉ざすと


「調べもせず目先だけで動く者との証明でしょう」


ルークが篩にかける様な言葉に、視線で問いかけるものの答えは貰えず


「大丈夫。ディランはそのままで居ると良い」


アーロの言葉に理解できないものの頷き返すと


「ディランに夢中だから彼氏なんて要らないと言うやつだ」


よかったな。


レジーの言葉に頷くのもどうかと反応に困っていれば授業開始の時間が

迫っておりこの話はその場で終わった。


その日、授業と生徒会を終え姉様と屋敷に帰りいつもの通りい共に

過ごすのだと思っていれば、


「私、やらなければならない事があるから部屋に戻るわ。

いつ寝るか分からないから自分の部屋で寝るわね」


晩餐を終えての姉様の言葉に内心戸惑い動揺をしたものの


「分かりました。あまり無理をしないでください」


そう言い部屋を出ていく姉様の背中を見送った。


その後は本当に姉様が部屋に来る事はなく就寝の時間を迎えベットに

入ったものの、朝の生徒会でのやりとりを思い出し


まさか姉様に好きな人ができた?


だから部屋に戻った?


そんな事はない。

自分も男である事を姉様は理解してくれて、気持ちが落ち着いたから

部屋に戻っただけだ。


姉様の性格は僕が1番理解しているはず。


目を閉じ、振り払っても戻ってくる思考を追いやることができす

寝不足のまま朝を迎えた。


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