姉、来週の予定を決めた
次の日からディランの様子を注意深く見ていると、今まで
見えていなかった事が見えてくる。
少し大きくなった手
ディランは頑張っても筋肉が付きにくい体と言っていたが、
体付きも少しだけ筋肉がついたいのか、記憶にいある細い
体つきでは無くなっていた。
お祖父様は大きな体だったけれどお父様は細身だからお父様に
にたのかも知れないわね。
最近は私に付き合っていたから武術の練習も満足にできなかった
のか、寒空の下で我が屋敷の騎士団長と手合わせをしたり素振り
をしたりもし、さらに忙しく過ごしている。
無理をしている様に見えるけれど大丈夫なのかしら?
日に日に気温が下がり冬に近づいている中での武術の練習を
暖炉に火が入った部屋の窓越しから見学しつつ心配で外に
駆け出したくなってくるのを耐える。
ディランは王都で過ごし、自分は辺境の領で過ごしそれぞれの
生活の流れができていたが学園入学と共に崩れ、それが負担に
なっていたのかも知れない。
1人でぼんやりとしていると良いことは浮かばず正反対な事ばかり
浮かんでは消えるので、窓から離れディランを見習い軽く体を動か
してみる。
あ、これ子供の頃の夏休みにやった体操だ。
腕を大きく振り回したり屈伸などをし最後は腕を多く上げ下ろし
しながら深呼吸をしたらとても満足感とやりきった気持ちに、
清々しさを感じ机に向かう為に椅子に座った。
先程まで動かなかった頭がスッキリ読んでいた書類も頭に入りやすく
体を動かす事も大事ね。
しみじみ思い集中力が切れた体操をしても良いわね。
体を動かした事で血流も良くなったのか温かくなった体に満足し
2つの工房の書類を見終わり、楽しみにとっておいたミランダ
から届いた手紙の封を切り読んでゆく。
領では粉雪が舞ったらしく、冬支度に勤しんでいるらしく
じゃが芋のグラタンを早速作りコナーさんとミラと3人で食べたが
貰ったレシピで正確に作ったはずなのに同じ味にならなかった事が
書かれ、料理の腕前の未熟さを知った事。
ミラの淑女教育はそろそろ終わりに近づいており、後は学力と経験
を積ませれば出自で無理ではあるが公爵家は勿論、王家でも働ける
程だとも書かれており、
機会があればミラとマリーを会って貰うの良いかも知れない。
そう思い浮かんだものの、ミラがこちらに来て貰うにしても
マリーが領に行くにしても距離が遠すぎる。
何か機会があればと言うところね。
いずれあるかも知れない機会に想いを馳せ細く柔らかな文字で
書かれている文字を読みつつ、ミランダから見た街の様子や人々の
様子が詳細に書かれており、
時に、最新版のファションプレートの感想や次に流行りがくる
刺繍の図案などの話も書かれており、先程片付けた紙刺繍工房の
書類と照らし居合わせ読み込んでゆく。
手紙と書類を合わせ見てると1つの図案と中心になる花が読み取れ
なんだか謎解きをしているみたい。
書類だけ、手紙だけでは気づかなかったが、確認した事で分かった
図案は隠す為の意図的なのか偶然なのか分からないけれど、
気づけた嬉しさと答えを見つけた高揚感に胸が高まり自分もと思うが
隠す為の行動ならは気づかないふりをしなければならない。
残念な様な、でもミランダと2人だけの秘密が嬉しい様な。
複雑な気持ちで書類を片付け、手紙の続きを読むとよくお邪魔をしていた
クックのお友達の店のじゃが芋の新作料理のことが書かれており、
「食べたい」
思わずこぼしてしまった声に我慢ができなくなり、
「いいな。絶対美味しいよね。食べたいなぁ」
大きな独り言を溢す。
楽しかった領での生活は学園を卒業する3年の時間が経てば
帰るが、3年も食べられないのは耐えられない。
行こう。
領から屋敷に移動したみたいに屋敷から領に移動すればいい。
決めた。
来週、領に行こう。
来週の予定を決めミランダからの手紙を封筒にしまい、今度は
ミラの手紙の封を切った。
第392話
首を垂れていた稲が全て買い終わり新米の知らせを今かと待っています。塩おにぎりで食べたいです。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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