表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

385/751

母は娘の元へゆく



1人、また1人と来客が集まり、全員が集まったのを確認し


「ようこそおいで下さいました」


改めて挨拶をすると、皆様穏やかに微笑み


「新しいティーフードをいただけるとお聞きし来てしまいましたわ」


宰相様の奥様の言葉に


「わたくしもですわ。是非いただきたいと思いましたの」


氣志團長の奥様が頷き

少女の様にはしゃぐお2人に微笑み返しつつ


「今回もじゃが芋を使った甘塩っぱい焼き菓子ですのよ」


エスメがお茶会の直前に思い付きで作った菓子の事は目からの報告で

各家に報告済みなので驚く事はないものの、


そんなに楽しみにしていただいているとは思わなかったわ。


心の中で驚きと戸惑いつつ、


「皆様のお口に合うとよろしいのですが」


少しだけ眉を下げ遠慮気味に伝えると、皆様はにっこりと笑い


「甘塩っぱいお味なのでしょ?」


魔術師長の奥様の少し首を傾げながらの言葉に


「ミルクティーとどの様に合うか楽しみですわ」


外交官長の奥様がメイド達が淹れた紅茶に視線を向け告げた言葉に


「是非、お試しくださいませ」


紅茶が皆様の前に置かれたのを確認し、主催者である自分が開始の声を

かければ皆様まずは紅茶を飲みフードへと手を伸ばした。


ティーフードはエスメ達と同じ内容にしており、まずはサンドイッチ。


ナイフとフォークを使い、まずは一口分切り分けると


「まぁ」


騎士団長の奥様から驚きの声が聞こえた後


「これは切り分けしやすくて良いわね」


外交官長の奥様の言葉に微笑みと窓の外へ視線を流し


「領から来た者にも食べやすい様にと細かく切ってありますの」


本当はマリー嬢への気遣いなのだがルイの出生を理由に伝えると


「そうでしたわね。ご活躍は聞いておりますわ」


騎士団長の奥様の言葉に苦笑し返すと


「なんでも火球を枝で打ち返したとか」


意味ありげに微笑み返してくださったので


「その様に報告を息子から聞いております」


微笑みを崩さず返せば、


「それにしても魔術の発動練習とはいえねぇ」


「操作方法が未熟な生徒はおりますが、ここまでとは思いませんでしたわ」


外交官長の奥様の言葉に、眉を上げ返事を返した魔術師長の奥様


「事故とはいえ本人達も反省をしている様ですので、あまり責めるものではないわ」


宰相様の奥様の言葉にこの話題は終了となり、サンドイッチを食べ終え

スコーンをいただきつつ甘めのミルクティーを楽しむ。


スコーンを上下に割りつつ、


皆様、事を起こした家とのお付き合いは今後はご遠慮する事になる様で、

卒業後に爵位返上にならなければ良いけれど。


社交界から相手にされなければ貴族相手に商売はできない。

そうなると収入が落ち、領の維持が難しくなってくる。


瞬間の嫉妬と妬みが一生涯の生き方を変えてしまう。


エスメもディランもルイも大丈夫だと信じているが、改めて注意だけは行おう。


心に決め、ミルクティーの甘さに気づかれない様にホッと息をこぼし、

壁に控えているメイドに視線を送れば、心得たと小さく頷いてくれ


「ご歓談中に申し訳ございません」


理の言葉の後、


「奥様」


耳打ちし告げられた言葉は勿論予定通りの言葉で


「申し訳ございませんが」


言葉と濁し中座する事を告げつつ


「よろしければ、花が咲いておりますの。窓からご覧いただけると思いますわ」


自分がいない間に是非と進めると皆様頷いてくれ、安心して庭へ向かった。


ゆっくりと歩き、奥様方がマリー嬢の姿を視界に入れているであろう事を予想し

楽しく談笑しているエスメ達に気付かせる様に姿を見せると、全員で立ち上がり

出迎えてくれ、


近くでエスメの恩人であるマリー嬢を見れば、薄いピンク色の髪がさらりと動き

どこか緊張した表情と震えた声での自己紹介を貰い、一応聞かなければならない

光の魔法と現在の住まいなどを尋ねれば、エスメから聞いた通りの返事の返事を

告げられ、貴族らしく頷き


「そう。娘がお世話になっているようで、これからも仲良くしてくれると嬉しいわ」


本音を交えつつ、自分の口からお礼を言えない立場にもどかしさを感じつつ、


「風が出て来たわ」


風の魔術で囲まれているので吹くはずのない空間であるものの、奥様達に

マリー嬢とルイの姿を見て頂くために視線で窓を見る様に誘導した。


素直に全員が窓を見てくれた事を確認し1つの大仕事を終えた事に安堵の息を落とす。


これ以上居ては邪魔になってしまうわね。


素直な子供達に詫びを入れその場を離れ、奥様方が待っている部屋へと向かった。



第385話


9月が始まり夜には虫の声が聞こえ出しております。間も無く秋ですね。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ