姉、母に友達を紹介する
「こちらはじゃが芋を潰してバターを少し甘みを加えて練り込み
焼いた物なの。是非、食べてみて」
この日の為に新しいお菓子を考案したどり着いたのは、
スイートポテトのさつまいもをじゃが芋に変えて作った。
難点はさつま芋の本来の甘みがじゃが芋に無い為に、
甘いお菓子ではなくほんのり甘く塩ぱい焼き菓子に変え、
何度も試作したお菓子で名前もまだ無い。
クック長もディランもフレディもマルチダも皆、美味しいと
これならお茶会に出しても大丈夫だと許可をくれた。
いざ出してマリーとルイに食べて貰うとなると言葉で勧めながらも
緊張してしまう。
まずは自分が率先し口に入れ、失礼の無い程度にマリーとルイの反応を伺うと
ルイは初めて見る料理に初めて見る食材など領で見せて作った為か
躊躇なく食べて、数回噛んだ後にミルクティーを飲んで楽しんでくれた。
マリーは戸惑いつつもナイフを入れ少しフォークに乗せ口に入れた後
恐る恐る数回噛んだのち、お口合ったのか今度は多めにフォークに乗せ
食べてくれた。
良かった。
その後、薄く切り揚げて塩味をつけたじゃが芋も気に入ってくれた様で
何度も手を伸ばしてくれ、
「じゃが芋はお菓子も作れ、パンも作れ万能な野菜なのよ」
他のじゃが芋料理を口頭で説明し
「帰りにじゃが芋パンとレシピを渡すから良かったら教会で作ってみてね」
お土産の事も話題にのせ伝えると、嬉しそうの笑い
「ありがとうございます。皆、喜びます」
頷きと共にお礼を貰え、更にじゃが芋料理やティーフードとして出している
ショートブレットにケーキなどの話で盛り上がっていると、
「お母様」
屋敷からこちらへ向かって歩いてくるお母様の姿が見え、ディランとルイと
席から立つとマリーも習う様に立ち上がり全員で出迎え
「お母様。こちら、実地の魔術の時間に私を助けてくださった、マリーさんです」
お母様が初めて会うマリーの紹介をすると、お母様は優雅に微笑み
「娘と息子からお話は伺っておりますわ。助けてくださりありがとうございます」
お茶会の趣旨を知っているお母様は貴族の母親をしての態度でマリーと接し、
マリーの返事を待つ様で、
「マリーと申します。エスメさんとは同じクラスに在籍しており、
仲良くさせていただいております」
突然のお母様の登場と挨拶に笑顔でいるものの内心慌てているのは声の震えで
分かり、助けを出そうと口を開きかけるもお母様の視線で制され、
「マリーさんは光の魔術をお持ちだとか。今はどちらに?」
お母様の追撃とも言える言葉にマリーを気遣うように見ると、戸惑いながらも
「はい。そのように魔術長様からお伺いしました。本来は王家の庇護を
受ける身ですが無理を言い、今まで過ごした教会で過ごさせてもらっています」
ハッキリと自分の言葉で伝えたマリーに安堵しお母様に視線を受けると
「そう。娘がお世話になっているようで、これからも仲良くしてくれると
嬉しいわ」
先程より雰囲気が柔らかくなったのを感じ、息を漏らすと
「風が出て来たわ」
呟く様にこぼしたお母様は首を動かし屋敷を見るように空へ視線を向けたので
全員で釣られ同じ場所へ視線を向けるも、見えるのは屋敷の窓と屋根に空のみで
「暖はとっておりますので、ご安心ください」
今も尚、火の魔術も風の魔術も発動させたままなので適温になっているはずと
返事を返せば、言葉の意図を汲み取ってくれたらしく
「そう。なら安心ね」
空から視線を戻し、目を合わせてくれたお母様の言葉に微笑み頷くと
「すっかりお邪魔してしまったわね。こめんなさいね」
「いえ、私もご挨拶ができ嬉しかったです」
お母様とマリーのやりとりの後、屋敷へ戻るお母様を全員で見送り
椅子に座ると、
「ビックリしました」
マリーのその言葉に
「お母様も直接お礼を言いたいけれど仕事があり顔見せが
できるか分からないと仰っていたので、黙っていたの」
驚かせてしまってごめんね。
説明と謝罪をすれば、
「いえ。貴族の皆様はとても忙しいと聞いております。その中でも
こうしてご挨拶ができて良かったです」
首を振り気にしていないと伝えてっくれたマリーにお礼を伝え、
お茶会を再開させた。




