姉、出迎えをする
落ち着かずソワソワした気持ちでディランと並び座り、
マリーとルイを迎えに行った馬車の到着を待っていると
「姉様、楽しみですね」
小さく笑い告げられた言葉に
「ええ。マリーが喜んでくれると良いのだけれども」
正式なお茶会と言えど各家に特徴を出してもてなすのも作法の1つで
我が家はじゃが芋の料理をティーフードとして出している。
ルイはミランダ達と誰よりも早くじゃが芋の料理を食べてきている。
ディランはこっちに来た時に口にしている。
果たして初めて食べるマリーは気に入ってくれるのか。
「口に合えば良いなぁ」
無意識に溢してしまった言葉に気づき慌て口を閉じるが
「気に入っていただけると思います。が、
もしもの時は違う料理を出せば良いのです」
落ちついたいつのも口調で返ってきたディランの言葉に
「そうね。食べて貰わないと良し悪しは分からないものね」
ざわめた心が落ち着き、気持ちの切り替えができた。
それでもソワソワと落ち着かなず何度も扉へと視線を向ける姿に
フレディが苦笑しマルチダが少し眉間に皺を寄せた頃、
聞こえてきたノック音にフレディが対応する為に扉を開ければ
「マリー嬢とルイが間も無く到着いたします」
報告に来てくれた言葉に勢い良く立ち上がりディランに手を差し出すと、
困った様に微笑みながら手を取ってくれ、階段を早足で降り
引っ張るように玄関ホールをぬけ外へ到着すると
「姉様、僕とフレディはお茶会のテーブルでマリー嬢をお待ちします」
突然の言葉に慌て振り向きディランを見ると、
「マリー嬢も初めての事で緊張している事でしょう。まずは姉様の
出迎えで落ち着いていただき、その後会場入りが緊張を少なくできるかと」
普段と変わらないディランの表情と気遣う言葉に頷き
「お気遣いありがとう。そう、させて貰うわ」
握っていたディランの手を離すとディランはフレディを連れ庭へと歩いて行く
背中を見送り、1人になると
「マルチダ。私、大丈夫かしら?」
急に自分の格好が気になり出し、控えてくれているマルチダに尋ねると
「乱れ1つございません」
普段の淡々とした落ち着いた口調の返事に頷き、深呼吸をし
「友達を招待するってこんなに緊張するのね」
嬉しい気持ちと楽しい気持ちに不安になる気持ちが混じり合い
沢山のどうしようが思い浮かび緊張してくるが、先程ディランが
言ってくれた通り、やって見なければ良いも悪いも分からない。
マリー同様、私も初めてのお茶会。
いっぱい失敗して、答えを知りと経験をしていこう。
身体中に新鮮な空気を行き渡るように深呼吸するものの
きつく絞められたコルセットで思い様にできなかったものの
これも経験と思い直し、馬車が次第に大きく見え
「馬車が到着いたしました」
御者からの言葉に
「ありがとう」
お礼をの言葉を伝えると、踏み台の準備を終え扉を開けてくれると
まずはルイが馬車より降り、振り返り手を差し出すと
ルイの手を借りてマリーが降りてきた。
「ようこそ我が家へ。歓迎するわ」
客人をもてなす挨拶を言葉に出すと、先程まで私の顔を見て安堵し
嬉しそう笑ってくれたマリーの表情が一変し
「あ、ご招待ありがとうございます」
戸惑からの緊張で表情をこわばらせながら微笑みぎこちなくも挨拶を
返してくれたので
「マリー、ルイ。会場へ案内するわ」
微笑み、大丈夫だと小さく頷き移動するように告げ、4人で庭へ歩くと
ディランがテーブルの前で出迎え、
「マリー嬢、ようこそ我が屋敷へ。心より歓迎いたします」
形式通りのディランの挨拶に、
「ご招待いただき光栄でございます」
緊張で声が細くなってしまったものの返事を返したマリーに微笑んでいると
いきなりディランがマリーの前で膝をつき、
「姉であるエスメを助けていただき、ありがとうございます」
貴方に感謝と敬意を。
突然の事でマリーと共の驚いていると
「また、良かれと思い行動したことでマリー嬢を困らせてしまいました。
こちらの配慮が足らず悲しい思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」
頭を下げるディランに手を差し出すこともできずマリーを見ていると
ディランの言葉の意味が理解できたようで
「あ、あの。立ってください。私、当たり前の事をしただけです。
保護とか編入の事は今は納得もしてますし、もう終わっているので
大丈夫です」
慌て早口であるもののディランの謝罪を受け取ってくれ、
安心し嬉しい気持ちと、ディランがずっと心に留めていた事に
気づかなかった自分が情けなく思うも、
「ありがとう。そう言ってくれるとこちらもありがたい」
みた事の無い大人びた微笑みと声にディランをまじまじと見てしまうと
ゆっくり立ち上がり、
「自己紹介がまだでしたね。僕はディラン・ルーズヴェルト。
マリー嬢と同級生であるエスメの弟です」
「マリーと申します。エスメさんとルイさんとは同じクラスで
仲良くしていただいております」
互いに自己紹介を終えると、自然と椅子に座るように流れ
メイドさん達に暖かな紅茶を淹れて貰うと同時期に
火の魔術と風の魔術を発動させ、暖を取れるように調整ができれば
お茶会の開始の合図となった。
第380話
残暑お見舞い申し上げます。間も無く8月が終わろうとしておりますが皆様如何でごいましょうか?
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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