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姉、体験して理解する


トントンと何かの音が聞こえ真っ暗の意識が少し明るくなるも眩しく感じ体を動かすと右側に痛みが走り驚き目を開けるとディランと目があった。


「おはようございます」


ハッキリとした声と口調で挨拶を受け


「おはようございます」


起きたばかりのどこか鈍く間延びした声と口調で返事を返すと


「痛みを感じていた様でしたが」


横になっていて体を起こし座ったディランに習う様に聞かれた事を確かめる様に起き上がり体を動かすと

右腕に痛みがあり、


「痛いけど多分寝ている時に何かをしたのだと思う」


思い当たる記憶が無いため寝ている時だと告げれば


「そうですか。痛みが続く様なら遠慮なく仰ってください」


頷きそう告た後、机の下から出てフレディと騎士団長に挨拶をしている声を聞き同じ様に机から出ようと

床に両手をついた瞬間に右腕で激痛が走り慌て床から手を離す。


こんなに痛いだなんてどんな寝方してたのかしら?

ディランに迷惑をかけてないと良いな。


痛みを訴えてくる右腕にそっと左手を当てると普段より暖かく感じるのを不思議に思いほんの少しだけ光魔法発動させ右腕に当てるも痛みは無くならず、


なるほど。自分には魔法が効かないのね。


初めての実体験に納得し、机から出る為の立ち上がりかけるもディランのように身軽にとは行かず腰を曲げゆっくりと出ていく。


「おはようございます」


忙しなっくしてた騎士団長に挨拶をすると


「おはようございます。ご気分はいかがですか?」


挨拶の間だけ目が合っていたけどゆっくりと横に動かし寝起きの姿に見ない様に気を遣ってくれながらも

気配りをくれる言葉に


「ぐっすり寝れたみたいで元気です」


微笑み返事を返すと、


「それは良かったです。今、ディラン様はフレディと共に朝の身支度をしておりますのでしばらくこちらでお待ちください」


大きな手引かれた椅子に礼を告げ座ると差し出された木のコップを受け取り口を付ける。


毎朝飲んでいるハーブと果実が入っている水ではなく、味のない水に1口目は違和感を感じたものの昨日の出来事と今の状態を思い出し数回に分け飲み干した。


「姉様、お待たせしました」


背後から聞こえたディランの声に振り向き、


「そんな待ってないから大丈夫よ」


どこかさっぱりした感じのディランに微笑みながら首を振れば、


「エスメ様、大変お待たせしました。あちらに少量ですが湯を準備しております」


ディランの後ろからフレディが現れ移動を促され座っていた椅子から立ち上がり案内されるままついて行く。


コトコトと鍋に火かかかっておりスープのいい匂いがするキッチンの端に椅子が1脚置いてあり、


「簡易的で申し訳ありませんがこちらにお掛けください」


案内されるまま椅子の座るとフレディが暖かな布で顔を拭いてくれた。


これだけれも気持ちがスッキリしたが、


「エスメ様、大変申し上げにくいのですがここからはお一人でお願いしたいのです」


眉を下げ申し訳なさそうに告げてくる言葉に不思議に思えば、


「こちらの桶には湯が入っておりますので体を拭いてください」


視線を向けると桶と布が置いてあり、自分で全て行うのだと理解し


「分かったわ。準備してくれてありがとう」


頷きと共にフレディに改めて礼を告げれば


「困った事がありましたら遠慮無くお呼びください」


一礼をしキッチンから出て行ったのを確認し洋服に付いているリボンを解いた。

胸元の包みボタンを外す為に右手を動かすと痛みが走り、座り混んでしまうもディラン達を待たせる訳には行かず、服から出ている部分だけ拭く事にした。


「フレディ」


足と首、痛む右手と痛みを堪え左手を拭き終わり近くで待機しているはずのフレディの名を呼ぶと

少し早足で姿を現し、


「いかがなさいましたか?」


腰を少しだけ曲げてくれたフレディに申し訳なく思うも、


「ボタンとリボンが上手くできないくて手伝って欲しいの」


痛みに耐えて外した数個のボタンに手を当てお願いす告げると頷いた後、数個のボタンをリボンを綺麗に結んでくれ


「ありがとう」


改めて礼を告げれば微笑みと共に


「お役に立てて光栄です」


紳士の笑みを貰い案内されるままディラン達の待つテーブルに着くとすぐに朝食の準備が行われ昨日同様全員でテーブルを囲み食事を行った。


晩餐と同じライ麦パンに焼いたお肉が挟んであるサンドイッチとスープ。

焼いたお肉は塩をまぶし焼いてあるので朝からでも食べ切る事ができたがゆっくり食べている訳にもいかず

必死に噛み、スープを飲み、慌ただしく出かける為に片付けをするのを眺める。


「姉様、出かける準備が整いました」


ディランの言葉と差し出された手を取り一晩世話になった小屋を後にした。


馬車まではフレディに抱き上げられ進み現場となった場所に到着すると屋敷から乗ってきた馬車が待っていおり驚き騎士団長に聞けば、


「何か起こった時のそれぞれの動きと対応は話し合っておりましたので」


「そうだったのね」


関心をしていれば馬丁から馬車の扉が開けられ、フレディに抱かれたまま馬車の乗り込み、椅子に降ろされるとディランが入って来て扉が閉められると馬の鳴き声と共に動き出す。


「街までは後少しありますのでゆっくりしましょう」


ディランの言葉に頷き背凭れにもたれるも振動で腕が痛み、逃げるように目を閉じる。


馬の蹄の音を耳を傾けているとウトウトと意識が微睡。


ゆらゆら揺れている意識が手放され真っ暗な世界に落ちていく。


どれくらい経ったのか肩を叩けれる感じと名前を呼ばれる声に意識を浮上させると、


「姉様、起きてください」


ディランの声に目を開けると心配そうに眉を下げた顔を見え、腕を伸ばし髪を漉くように撫ぜながら


「おはようディラン」


挨拶をすると、どこか安堵した表情の後


「街に着きましたが歩く事はできますか?」


労る音と心配する声に微笑み


「大丈夫よ」


ゆっくり体を起こし、差し出されている手を取り降り馬車から降り目の前の建物に入って行く。


宿主に挨拶をしたのち部屋へ案内して貰い、ソファーに座るとすぐさま紅茶とお菓子が置かれる。


宿の世話をしてくれるメイドに礼を告げると楚々と壁へと控えるもフレディから何か言われたのかワゴンを残し退出をしてしまった。


不思議に思いディランを見るも気づかないフリをされ、仕方なく紅茶と茶菓子のクッキーを食べているとノックの音と共にメイドが入室し、フレディと共に近づいてくると


「お嬢様、お着替えを」


いつの間にかトランクから出したのか寝室でナイトドレスに着替えさせられ、ディランにフレディと騎士団長に囲まれるようにベットに腰掛け、見知らぬグレーカラーの髪の男性に診察をされ、


「折れていますね」


痛みを感じる右手を持ち上げられ告げられた言葉に首を捻ると


「どこかで腕を強く打ちつけた記憶はありますか?」


どこか優しい音と言い方に記憶を探るも思い出せずにいると、腕を固定しつつ


「色々な事があったのですね。痛み止めを出しておきますので食後にお飲みください」


にっこり笑い差し出してくれた紙袋をフレディが受け取り、退出する先生に慌てお礼と告げると


「夜に熱が出るかもしれないので何かあれば声をかけてください」


ドア付近で言われた言葉に返事を返せずにいるとディランに横になる様言われ、ベットに入った。


ディランがベット近くに椅子を用意させそこでお喋りを楽しんだり、宿から用意された粥をいただいた後に薬の匂いに鼻を摘み飲む事を拒否するも、


「姉様」


3人からの圧に屈指、鼻を摘んだまま無理やり飲み込んだ。


あまりの味に涙目になりフレディから差し出されら果樹水を一気に飲み干し2杯目を貰いようやく舌の上から薬の味が消え、不貞腐れながらベットに体を沈めた。


窓からは月明かりが差し込み、街の喧騒が聞こえなくなった頃から体が熱くなり、息が乱れだす。


そういえばせんせいがねつがでるていってなぁ


ぼんやりし鈍い頭で思い出し、


これがねつなのね。くるしいしあつい


時折、額に冷たい物が乗せられているのが分かり目を挙げると、眉間に皺を寄せ何かを我慢しているディランの表情が目に入り、


「でぃらん」


思うように動かない舌を動かし名前を呼べば、


「姉様、すみません。起こしてしまいましたか?」


小さな声に微笑み首を振り、


「ディラン、もう寝よう。寝て起きたら元気になっているから。ね」


手を伸ばし頬を撫ぜ告げれば首を振られ、


「寝ないと元気にならないし身長も伸びなくちゃうよ」


悪戯心に笑いながら言えば、少し怒った表情をした後にため息をつき


「分かりました」


椅子から立ち上がる姿を見ながら、


「フレディも騎士団長も寝ましょう。ね」


周りに居る人物にも声をかけると人が動く気配を感じ、寝てくれるのだと安心ると瞼が下がり


意識が途切れた。



第38話


長かったフラグ回収です。ランナーズハイとそれどころじゃない心で痛みはそっちのけでした。


なんだか暑かったり寒かったり中々気温が安定しませんね。


ブックマークや評価に星を押していただきありがとうございます。

大変嬉しく思います。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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