姉、失敗する機会を作る
この機会にたくさん失敗を体験していただきたいのです。
失敗と成功と間違いやすいマナーを知るだけで行動と対応のやり方を
しれ、臨機応変に対応する事ができます。
ディランの考えに確かにと納得もできた。
恥ずかしいし嫌な気持ちと記憶が残るけれど無知で相手を気持ちを不快に
させてしまうより、まだ私やルイの前ならその気持ちは少ないかもしれない。
クラスを編入すればマリーは週末や学園終わりに同じクラスの淑女達から
お茶会に誘われるだろう。
その時に嫌な気持ちになる事が少なく、もしくは躱せられるように。
その事を、放課後の淑女教育の帰り道にマリー本人に告げると
「お気遣いありがとうございます。よろしくおねがします」
美味しい紅茶とお菓子を摘み楽しい話に花を咲かせる予定だったお茶会の
変更を伝えると、緊張しこわばった表情になったが
「いずれアメリア様から教えられ覚えなければならないのなら、
エスメさんやルイさんから教えていただけた方が気が楽です」
日々の淑女教育に少し疲れが見え始めており、心身ともに疲労が
出ているのは見て取れるほどに明らかであったが、
アメリアもマリーに意地悪をしたくてしているのでは無い。
マナーやルールは自分と相手や周りに不快を少なくする為の
マリーの身を守る盾であり武器でもある。
対人関係にて潤化剤となり、極めれば魅了し尊敬を集める事もできる。
お祖母様から領にいた時に聞き、ミランダと知り合いその言葉の意味を知った。
少しでも言葉と意味がマリーに伝わると良いな。
そう思いつつ、疲れた様に笑うマリーに少しでも楽しんで貰えるように
美味しい紅茶やお菓子を用意しなくちゃね。
マナーばかりに気を取られ楽しむ事を忘れない様に自分に言い聞かせ
マリーと別れ、
「ルイ、多分なんだけどこれからもマリーを招待してお茶会を
開催すると思うの。よければルイも参加して欲しいな」
馬車に行くまでの短い道を歩く途中、ルイに声をかけると
「まぁ、そうなるよな」
放課後毎日マリーとアメリアの淑女教育を一緒に見ているので
考えている事はルイも同じらしく
「俺やミラの場合はミランダと一緒にいたから自然に覚えたが、
マリーは状況も違えば立場も違う」
強制的な学習程、心身を疲弊させるものは無いよな。
告げられた言葉に、心の中でため息を落とす。
ルイのいう事は最もだけれども、前の人生で親として子を育てた記憶が
大きなうねりとなって心に満たしてゆく。
できれば、強制で教える事なんてしなくないし
楽しく自然に覚えて貰えるならそれに越した事ない。
でも、言わねばならない時。
声と態度を強くし言わねばならない時もある。
溢れそうになる感情と言葉をため息に混ぜ込み外に吐き出し
「そうね、マリーにも楽しく覚えて貰える様に頑張るわ」
良い足りないと感情が暴れそうになるのを微笑みで誤魔化し
違う話題を振ることで感情を切り替え
待っているフレディの元へ向かった。




