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姉、晩餐を美味しく食べる


ガサガサと何かを動かし時に麻の袋を開け中身を確認し口を閉め元の場所に戻す。


目の前で行われている行動に首を傾げつつも、何を探しているのかが気になり後を追う様に視線で動かすと


「姉様」


見過ぎだと意味を込め名前を呼ばれるが、


「だって。ディランはフレディと騎士団長が何を探しているのか気にならないの?」


口を尖らせ、注意を受けた事に不満そうに言えば、


「何か食べる物を探しているのですよ。姉様、お腹が空きましたよね?」


瞬間目を開いたけれど呆れる事なく2人の行動を教えてくれると、何故か空腹だった事を思い出し


「言われるとお腹空いてるかも」


明け方前の手発だったので馬車の中でサンドイッチを食べたのみだったのを思い出し、お腹に左手を当てると


「端ないですよ」


すかさず注意を受け慌ててお腹から左手を離し膝の上に置いき、机の上に置かれる皿を見つつも


「ディランは領地で何をするの?」


思い付いた話を振れば


「屋敷にいた時と基本は変わりませんがお祖父様が許可を出していただけたなら自衛団と共に見回りや魔獣の駆除などに参加したいと思っています」


想像していたよりしっかりとした答えにディランらしいと関心しかけるも


「害獣の駆除?」


疑問に思った事を言葉にすれば、


「姉様、領地の話はしたと思いますが?」


少し低くなった声に慌て


「覚えているよ!平野もあるけど山々があり隣国とは山頂で分かれているので空を飛ぶ時は山には近づかないでしょ」


焦った為、少し大きな声に早口で返すと、


「覚えていただけて良かったです」


声の高さは元に戻り満足そうに頷かれるも、


「ディランが覚えて欲しいって言うんだもん覚えてるよ」


頬を膨らまし拗ねた様に告げれば


「ありがとうございます。これからも道中に沢山覚えていただく事がありますので一緒に頑張りましょう」


どこか戸惑うような表情になるも瞬間に表情を戻し告げてくる言葉にまだ覚えるの事があるのかと思うも


「魔獣駆除は危ないのでしょ。どうしでディランが行くの?」


「僕は次期当主となる立場です。領民あっての我が一族であり貴族なのです。僕は領民の為に役に立ちたいと思っています」


一言一言噛み締めるように力強く告げらる言葉に、


「そっかぁ、そうだよね。私もディランみたいに何か役に立てる事を考えてみるよ」


両親や祖父母、家庭教師からも、領民あっての我が一族と教えられて来た。


ディランの様に頭が良いわけでもないし武術を習っている訳でもない。

自分の知恵と得意分野で何か役に立てれば良いな。


着々とテーブルの上に並べられる食事を眺めながら考え込むが、


「姉様は今でも役に立っていますよ」


ディランの言葉に首を傾げれば


「魔法道具を作っているのは姉様です。今ではなくてならない必要品です」


どこか誇らしげに教えてくれるも


「役に立っている実感が無いのよね」


ため息混じりに返事を返せば、


「確かに貴族や豪商のみの持ち物ですが今製作している品は平民皆が持てる様と作成していますよね?

 出来上がり、平民に行き渡れば実感が出てきますよ」


励ましの言葉をくれるもののいまいち納得がいかずにいれば、


「大丈夫です。領地に行けば実感できます」


確信があるのか自信を伺わせる言葉に首を捻りながらも頷き返した。


目の前には、湯気の出ているポタージュにソースのかかったお肉にライ麦のパンが並べられ


「お待たせ致しました」


フレディの言葉で晩餐の準備が整った事を知り改めてテーブルを見るも、2人分のみ並べられており


「私たちの分だけ?フレディと騎士団長はもう食べて終わったの?」


フレディに聞くと


「私達は後程いただきますので気にせずお召し上がり下さい」


従者らしく微笑み告げる言葉に


「不謹慎なのは分かっているけど、折角だもの皆で一緒に食べましょう。ディランも良いよね?」


街で泊まる事になれば食事はディランと2人で取ることになるけど、ここは街でもなければ宿でもない。


見栄やマナーなど気にする事な無いので4人で食事をすることに期待していたが、外れてしまいつい我儘を言ってしまうも、


「僕は構いませんよ。一緒に食べた方が何かと良いでしょうし」


ディランの言葉に、


「畏まりました」


一礼をしたのち、フレディと騎士団長は自分の食事をテーブルに並べ椅子に座り、


「今日は色々ありましたが明日に今日の分を取り返せば予定通りに進めるばすです。そのように心積りをして下さい」


ディランの言葉に皆で頷き、晩餐が始まった。


少し硬いはずのライ麦パンは柔らかくなっており、手でひと口ほどにちぎり口の中に入れ噛み締めると香ばしい味と匂いが広がり、スープは野菜の甘さが出ており、おかわりが欲しくなる程美味しく、お肉はワインの風味がするソースと相まっていくらでも食べれてしまう。


「スープもお肉も美味しいわ。誰が作ってくれたの?」


体が暖かくなり、緩む頬をそのままに前に座る騎士団長とフレディに尋ねれば、


「スープはフレディ殿が肉は自分が焼きました」


嬉しそうに少し頬を上げている騎士団長を見つめ


「2人共、料理上手なのね。領地に着いたら作り方を教えてね」


驚きながら告げると


「自分は料理という立派な事はしておりません。ただ肉を焼いただけです。お教えするような事は何もありません」


どこか気恥ずかしそうに言うが


「私は焼くこともした事はないわ。だから教えて欲しいの」


勿論、無理にとは言わないわ。


無理矢理や命令では無い事もきちんと伝えれば、


「お役に立てるのでしたか是非」


騎士団長の言葉の後フレディに視線を向ければ、頷きを貰った。


独り立ちをする。


料理だけではなく着替えも、洗濯も、何もかも1人でできる様に。


頑張らなきゃ。


残りの食事を美味しく食べ終われば、寝る為の準備をする事になったが、ベットは勿論のことソファも無い部屋にどう寝ようかと頭を悩ますが、


「床で寝るしか無いですね」


ディランの一言に頷き、騎士団長の指示で机の下で寝る事となった。


フレディから直接床で寝るよりかはましかとと上着を貸してくれたので着込み、ディランは騎士団長の上着を借り、ディランと共に机の下で横になり、ディランの右手を告げば物言いたげに見られるも笑って誤魔化し


「今日は色々な事があって心が忙しなかったわ」


クスクス笑いながら零せば


「僕はもう2度と味わいたく無いですね」


ため息混じりにに返せれるが、


「私もあんな嫌な思いはもう嫌だなぁ」


笑いを止め告げると


「今以上に気をつけて進みますので同じ失態は繰り返しません」


握っていた手に力を込められた言葉に、


「私も気をつけるから」


同じように握り返して目を閉じた。



第37話


まだまだ小屋の中。


空気が香る季節になりましたね。


ブックマークに評価や星を押していただき、また誤字脱字を教えていただき

ありがとうございます。嬉しく思っております。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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