姉、初期準備に入る
寒さが段々と体感しだし日が落ちるのも遅くなる。
からりと乾燥した風に落ち葉が舞い遊ばれる姿を馬車の中から視界に入れつつ
学園へと登校する。
ディランとフレディを交え話す話題は週末に行うお茶会の事。
場所はお母様の提案により庭に決まり、寒ければ私が火と風の魔術で暖を作れば
問題は無い。
フレディとマルチダがお菓子に合う茶葉を購入してくれると約束してくれ、
それに合う、ティーフードを何品が作るのも良い。
最近の王都では、雇っているクックが作るのと、街でお気に入りのフードを持ち寄り
食べ比べたりする事も密かに流行っているらしく、
「勿論、全て姉様がお作りになっても構いませんし
クックに作らせるのも良いと思います」
ディランの提案に迷いだす。
当初は私とクックが話し合い当日出すフードを決める予定だったけれど、
流行りに乗らないのは招待をするマリーに失礼な気がして、
「ディランはどこのお菓子が美味しいか知ってる?」
悩みながら、提案者でもあるディランに尋ねると
「ええ。いくつか候補の店があります」
準備させましょうか?
小さく頷き、味が確かめる為に購入する事を提案してくれた。
さて、どうするべきか。
マリーへのお礼なので当然マリーが喜び楽しんで貰う事が大前提で、
あまり気取らない様に基本のお茶会のサンドイッチやスコーンなどを
考えていたけれど
流行りがあるのならマリーの淑女教育に役立つお茶会にもしたい。
ディランとフレディから様々な案を貰い考えている最中に学園に到着し
馬車を降り、ディランとルイが挨拶を交わし雑談をしているのを見守っていると
「エスメ様、マリー嬢は教会にお住みと聞きました。
手土産の手配はいかがいたしましょう」
小さな声で尋ねられた事に思わず勢いよく顔を上げ
「すっかり忘れていたわ。日持ちがする焼き菓子が良いわよね」
同じ様に小さな声でフレディに返すと微笑まれ
「でしたら、エスメ様が焼かれたショートブレットやジャガイモパンなどは
いかがでしょう?」
「良いわね。ジャガイモパンはまだレシピはまだ王都に届いていないはず。
教会に役に立てるかも知れないわね」
フレディの提案に頷き、早速レシピの書き起こしと久しぶりなのれ練習をする為に
キッチンに入れる許可を貰える様に御者に伝言を託し、戻ってきた
ディランとフレディに
「行ってきます」
別れの挨拶をすると
「行ってらっしゃいませ」
ディランとフレディから返事か返りルイと合流し、見送ってくれる2人に手を振り
校舎へと歩いてゆく。
出会うクラスメイトや上の学年の生徒と挨拶を交わし、教室に入れば
マリーとボーイックが楽しげに話しており、邪魔にならない様にルイと共に
「おはよう」
挨拶をすると、
「おはようございます」
「おはよう」
マリーとボーイックが楽しげな雰囲気のまま挨拶を返してくれ、
「今、ボーイックさんから流行りの話題を聞いていたところなのです」
楽しげに話すマリーに
「俺でも商品を扱う家なんでね。最先端の流行りやこれから流行るであろう品の
話題は事欠かないよ」
楽しげに笑い中でもどこか冷静さを保っているボーイックの言葉に
「流石ね。少し興味があるわ」
丁度馬車の中で話題となった事もあり興味を示すと、ボーイックが意味ありげに笑い
「エスメさんの興味が引けるか僕の提案力にかかっていると思うと緊張するね」
そんな言葉と共に始まったボーイックの話は日常品から食品と幅広く、
気がつくとクラスの全員が興味を持ってボーイックの話を聞いており、
時に質問などにも自信を持って答えるので、紹介された品々に興味を惹き
何人か商品を直で見たいと購入の意思を示しており
「よければ休日に僕の家に来てくれれば商品を用意して君達にあったものを
提案するよ」
王家にも商品を卸している家に招待された事に皆が色めき立ち、
あっという間にボーイックはクラスメイトとの約束が出来上がっていた。
「お話し上手なので聞いてて楽しいですね」
クラスメイトに囲まれるボーイックを見ながらこっそりと告げてくるマリーに
「ええ。とても興味が惹かれる話かただったわね」
流石、商売人の家だけはあるとマリーと頷きつつもマリーの財布の硬さを知り
心の中で驚きながら、その日の授業が始まった。
第369話
7月最終日です。お祭りに花火が多く楽しい月に入りますね。自己管理をしっかりし楽しみたいと思います
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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