姉、心の中で戦慄した
毎日の授業が終わりクラスメイトが帰るのを見送り、マリーとルイと3人で
アメリアから指定された場所へ行く。
始まったばかりなので基本とされていると立ち方、歩き方を中心に習っているが、
「マリーさん。足の指から手のつま先に頭まで綺麗に見える様に型を取ったら
数分停止してしてくださる」
教会で過ごし、平民として暮らしてきたマリーは立ち方や歩き方など気にせず過ごしていたが
立場上そういう事にはいかない様で、
「姿勢が崩れてきましたわ。しっかりお立ちになって」
昔、マルチダやお母様に同じ体制で注意された事を思い出し、アメリカから注意が入ると
表情をこわばらせているマリーの気持ちは良く分かった。
ただ、物心が付く前から習っていた自分とは違い、10年近く気にせず気に留める事なく
生活をしてきたマリーにとっては
そんな細かい事。
できなくても構わないでしょ。
そう反発心が出てくる気持ちも分かる。
でも、ドレスを着る様になればこの基本の立ち方を身につけて良かったと
心から思うことになる。
ウエストを作るためのコルセットにクリノリンを身につけ刺繍や宝石を縫われた
ドレスを見に纏いヒールのついた靴を履き、大粒の宝石を中心とした
アクセサリーを身につけ優雅に気品良く見えるように
表情を作り、会話を楽しみ、ダンスを踊る。
計略舌ドレスしか身に付けてこなかった私ですら、姿勢の基本を学んでいて良かったと
思っているのでマリーには頑張って欲しい。
後で、数ヶ月後に体験するであろう事を話して立ち方の大切さを理解してもらおう。
必死に理解し悪い所を直そうするマリーの姿はアメリアには高評価の様で、
時に褒め、時に注意し、時に論理で諭しと関係性は上手く作られている。
でも、そろそろ休憩を入れた方が良いかな。
疲れの色が見えてきたマリーに姿にアメリアも気が付いているようで
「疲れていては姿勢が保つ事はできないわ。休憩を入れましょう」
この一言でマリーは全身から力を抜き、少し丸くなった背筋にアメリアが
小さく息を落とすのを見つつ、お茶の準備を手早く行ってゆく。
マリーの付き添いをする様になり、初めて知る事が多い。
その1つにメイドや従者は学園の建物内に緊急時を除き立入は不可との事で
休憩時に飲む紅茶とティーフードは、学食に手配すれば届けて貰えるらしく、
毎日アメリアが準備してくれたフードと紅茶を準備して届けるのは、
自分の役目となった。
ルイがアメリアが座る椅子を引きエスコートを終えると申し訳なさそうにしている
マリーの椅子を引く中、マルチダやコナーさんの動きを思い出し見様見真似をし
アメリアとマリーの前に紅茶を置き、ルイと共に壁際に控える。
あくまでも付き添いの姿勢を崩さないように、ルイと共にいると
「貴方達の分もあるのよ」
アメリアの言葉にルイと共に腰を曲げ礼をしたのち、自分達で椅子を引き
丸型のテーブルではあるもののルイはマリーの横に私はアメリアの横に座り
「さ、召し上がってちょうだい」
先程とは違い嬉しそうに微笑み紅茶に口をつけたアメリアに従い、紅茶を飲んだ後
ほんのりと温かいスコーンを手に取り上下半分に割った後、クロッテッドクリームの
すこ多めにのせラズベリーのジャムも同じ量のせ、
口の開け方に気をつけ一口いただく。
ルイも慣れた手付きでスコーンを食べており、マリーは恐々と視線で動きが
合ってるのか確認がくるので小さく頷き、真似しやすい様に少し大きな動作をする様に
心掛けた。
緊張するマリーの心が解れるようにとアメリアが話しかけてくれるので、
その流れに乗るように受け、マリーに振り時にルイにも話を振れば、
お茶の時間が終わる頃には緊張が解けたようで、立ち姿の練習の時間となった。
心の中でマリーに応援を送り、先程食べたスコーンの美味しさに緩む頬を
引き締めつつ、アメリアの指導の言葉に従い自分の姿勢も直してゆくと、
あれ
もしかして筋肉が落ちた?
背中を力を入れた時に今まで無かった柔らかさに気づき、
領では毎日外に歩いて行ってたけど、王都に来てからほぼ馬車移動だもんね。
少し遠くに視線を向け、鍛え直す事を心に強く刻んだ。
第360話
この数日、雨や突風の被害をよく耳にします。危ないと思ったその時が逃げる時です。身の安全を1番に。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
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フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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