姉、友への心配が尽きない
涙で瞼を晴らしたマリーと一緒に生徒会室から出て、教室へ移動し帰る準備を整える。
「マリー、少し座ってくれる」
帰る準備を整えるマリーに椅子に座る様に手を引き座らせ
「目を瞑って」
腫れて痛々しさを感じる瞼に触れない様に近くに持っていき水の魔術を発動し腫れた瞼を
冷やす様に持っていく。
何をされるかわからず強張っていたが気持ち良さそうに表情を緩めており、
少しでも瞼の腫れが取れれば良いのだけど
心の中で重い息を吐き出し、閉門時間も気につつマリーの瞼の熱を取っていると
先程までいた生徒会での会話を思い出す。
平民クラスから貴族クラスへの編入は理由として理解はできるものの、
マリーが馴染めるとはとても思えなかった。
クラスが違えば習う授業も違う。
ディランから聞く話と自分が学んでいる授業は明らかに差があり、
領地の経営や社交界の渡り方のマナーを学ぶ貴族クラスと、
その補佐をする平民クラスとでは授業内容は比較できないほどに違う。
ディランが幼い頃から習った事を私達は授業として教師から学んでいる。
マリーが成績優秀で教会で貴族夫人と接する事があれど、嫌な思いをするのは
想像に容易く。
この1年は平民クラスで過ごせるだろうけれど来年はどうかしら?
頑張って2年間でマナーなど学び、最終学年の3年は貴族クラスに所属する事になる。
マリーと教育係にと手を上げてくれたアメリア嬢と上手く関係ができれば良いけれど。
様々な事を考えると心配事は尽きない。
今一度体の中に重い息を落とし、時間の関係で手を離せば瞼の腫れは少し引いており
「目は痛くない?」
瞼を閉じていたマリーに目を開ける様に促すと恐る恐る開いた瞼には涙は無く、
「大丈夫です。ありがとうございます」
笑い返してくれた事に安心し、
「そろそろ時間が無いぞ」
一緒に居てくれたルイの言葉に頷き返し、マリーに手を差し伸べ立つ様に促すと
少し驚いた表情をしたものの、嬉しそうに笑いながら手を取ってくれたので、
そのまま手を繋ぎ教室を出て教室を出て誰もいない廊下を歩き校舎を出てゆく。
3人で魔術のテストの出来具合など話しながら歩けば、遠くからフレディが
こちらに向かって歩いてくる姿が見え
「エスメ。また明日な」
ルイが分かれの挨拶をするので、
「ええ。また明日ね」
同じ様に挨拶を返すと
「マリー。教会まで送ってくよ」
手を繋いだままだったマリーにルイが声をかけると
「ありがとうございます」
繋いだ手を話、ルイの横へ立ち
「エスメさん、今日はありがとうございました」
頭を下げお礼を伝えてくれたが、
「そんなに他愛した事はしていないわ」
ディランがごめんなさいね。
そう続けられたら良かったのだが、お茶会の時に紹介と説明をする事になっているので
今は話す事ができずに返事を返すと、笑顔を返事として返してくれ
「また、明日」
マリーの分かれの挨拶に
「ええ。また、明日ね」
同じ様に返事を返しルイとマリーの背中を見送ると
「エスメ様」
少し離れた場所で待ってくれていたフレディがすぐ後ろから声をかけてくれ
「遅くなってごめんね」
謝りの言葉を伝えると
「ディラン様がら話は伺っております」
微笑みながら返してくれた言葉に
「ディランはもう生徒会の仕事を終えているの?」
先ほど別れたばかりのディランが自分より先に馬車にいる事に首を傾げれば
「少し慌てた感じに戻られました」
ディランから話を聞いているのか眉を下げながらどこか心配げに微笑むフレディに
「そうなのね。お姉ちゃん、ディランに少し話したいことがるから丁度良かったわ」
にっこり微笑み、あえて姉の言葉を使い自分の感情を伝えると
「程々にお願いいたします」
困った表情と言葉に、頷き返しディランの待つ馬車へとフレディと共に歩き、
数台並んだ馬車から、自分の家の馬車を見つけフレディの手を借り馬車に乗り込み
「ディラン。遅くなってごめんなさい」
座って待ってくれたディランに謝りを入れた後、すぐさま
「さ、お姉ちゃんと話し合いをしましょうか」
言葉を告げた。




