姉、友人の問題を解決する
ぽろぽろと真珠の様な涙を溢すマリーを見て、心の中で少し驚いたものの
ふつりと湧いた感情を表に出さない様に注意し、ディランへ
お姉ちゃん、女の子を泣かす様な子に育てた覚えはありません。
そんな意味も込めて視線を向ければ
小さく体を揺らし視線を逸らしたのを見て、
ディランは悪い事をしたと言う自覚はあるのね。
現状をディランがどう思っているのかを理解し、
「マリーとお話をさせていただくとはできますか?」
下手に置かれた1人掛けのソファに座る人物に声をかけると、
「大丈夫だよ」
眉を下げ申し訳なさそうに微笑まれながらの言葉に御礼を伝え、
マリーの座っているソファに近ずき、膝をつき見上げると眉を下げ目に涙を溜め
何かを言いたくてもいえず唇を震わせている姿に、
「マリー」
ハンカチを制服のポケットから取りだし、こぼれ落ちる涙を抑えながら拭き
「何があったか教えてくれる?」
出来るだけ柔らかく聞こえる様に声を意識し尋ねれば、顔をくしゃりと歪め
「く、クラスの編入をするようにと」
震えながら紡がれた言葉に小さく頷くと
「光、魔法が、あるから、だめだと」
編入は嫌だと言いたいが身分上言えなくて、でも本当に編入は嫌なのだと
音な聞こえが痛いほどに伝えており、周りもマリーの気持ちと意見が分かっているが
聞き入れる事はできず、だがらと言って言葉や身分の強制はしたく無い。
両者の意見が分かれたまま説得の手も尽き困っていた。
マリーの言葉と生徒会役員全員の雰囲気から察っし、ルイに視線を向ければ
少し離れた場所で背筋を伸ばし待機しており、表情と目からは
好きにすればいい。
そう伝えられている様に感じ、マリーへと視線を戻し
「マリーは編入することが嫌なのね?」
視線を合わせ尋ねると何度も頷きで返事を返してくれた、
「光の魔術があると、なぜクラスを変えなければならないのですか?」
マリーの左側に座りハンカチを手に持っている女性役員に顔を向け尋ねれば、
視線を1人掛けソファに座る男性役員へと向けたので釣られ顔を向ければ、
「授業で習ったと思うが、光の魔術を使用できる者は王家の庇護に入る事になっている」
凛とした声で返ってきた言葉に、今日受けた試験の内容を思い出し1問目に出題された
答えを告げられ
「はい。見つけ次第、魔術省へ届けるよう習いました」
理解していることを告げると微笑みと共に頷かれ、
「離れていると何か起こった時に警護が遅れてしまう不測の事態を避ける為でもある」
伝えられた理由は納得できる言葉ではあった。
そう思いマリーを見れば最初に見た時より苦しそうに泣いており、思わず両手を伸ばし
抱き締め
「マリー。内緒話をしましょう」
マリー以外に聞こえない程、小さな声で伝えると震えながら小さく頷いてくれたので
「クラスを変えるのは嫌なのね?」
耳元で尋ねれば頷いてくれ、
「どうして?」
嫌だと言う理由を知りたくて尋ねれば
「エスメさん達と離れたくないです」
震えた声で聞こえた言葉に短な返事と共に
「分かったわ。お姉ちゃんに任せて」
そう告げマリーを少し力を込め抱き締めた後、腕を解きマリーの顔を見れば
驚いた表情をしており、その表情がとても愛くるしくもあり微笑ましくこれから
行う事へ勇気を貰え、体を半回転し先程の1人掛けに座る男性役員と向き合い
「マリーを編入させると言う事は、平民クラスから貴族クラスへ
変わるということでお間違いありませんか?」
マリーの時とは違い、ミランダに習った微笑みを作り尋ねれば、
「ええ、そうなります」
返事を返してくれたのは後ろに控えていた男性役員で視線を向ければ
真剣な表情で返してくれた。
「平民の私たちがいきなり貴族クラスに編入してもマナーなど分からず
仲を深める事ができるとは思えません」
思っている言葉をそのまま、疑問の返事を返してくれた男性役員へ問いかけると
「勿論、手助けをする体制を整え向かい入れる準備を進めております」
澱みなく返ってきたが
「それは勉強面でという事ですか?」
更に尋ねると
「ええ。勿論、彼女をクラスに馴染める様に親友も手配します」
返ってきた言葉に内心驚き
「友人と言う立場を手配しなければできないクラスに親友を送るのは不安しかありません」
思わず溢れてしまった本音に眉間に皺を寄せられてしまい、
「何も学ぶ前に貴族クラス編入することは酷だと思います。
ある水準までできるようになってから編入でも良いかと思います」
マリーは教会で過ごしている。
寄付などで訪れるので対応はできるかもしれないがそれは教会内だから許されるマナーであり
基本のマナーも何も知らずに入ればどう思われどの様に扱われるか、想像容易く
「提案がございます」
その場で思いついた案告げるために言葉に出し相手を伺うと無言で促されたので
「放課後、貴族クラスに所属するどなたかにマナーなど
必要な知識をマリーに教えていただける様に手配をしていただけませんか?」
その場で思いついた事なので見切り発車ではあるが、マナーも学べ、
友達もできればマリーが貴族クラスに編入しやすくなるのではないかと
訴えると、考える価値はあった様で顎に手を当てたまま
無言になってしまい、考えが纏まるの待つ中、
「でしたら、わたくしがマリーさんへ必要な知識をお教えいたしますわ」
マリーを挟んで反対側に座る女性役員の言葉に顔を向けると微笑まれ
「貴女の言う通りだわ。何も知らずマナー違反をし叱られるなんて理不尽以外無いもの」
ツンと上がった目尻が少し下り、可愛らしくどこか自信ありげに微笑み
「わたくし貴女の意見に賛成いたします」
賛同の声を上げてくれた事で、一気に風向きが変わり
「そうだねアメリアが良いのならそうしよう」
1人掛けのソファに座る男性役員の一言で決定したようで、
呆然とし現状把握ができずにいるマリーには、クラス編入を見送りになった事を
伝えると嬉しそうに笑ってくれ、
「ありがとうございます」
この場にいる全員にお礼を伝えるマリーの声を聞き、
「明日の放課後から学びましょうね」
アメリアと呼ばれた女性役員の言葉にマリーが笑いながら頷き終えると
「エスメさん。ありがとうございます」
あたらめてお礼を伝えてくれたので
「お姉ちゃんに任せて良かったでしょ」
茶化す様に返事を返すと満面な笑顔で頷いてくれた。
第354話
天候が不安定で大雨の所もある様でこれ以上大きな被害が出ませんように。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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