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姉、友達のお願いを聞く


何かあるごとに試験がある事を言い教室の雰囲気とクラスメイトの意識を

逸らしてきた。


事実、学園から配布され試験終了後には教科書を返さなければならない特殊な

授業で、習うのも1年の最初の時期だけ。


貴族クラスは全学年をとうして学ぶらしいが、平民クラスはこの数日のみ。


なんでも、王家や領民を守る貴族と生活魔法ができれば良い平民の用途の違いらしく、

納得のできる理由ではあった。


本日の授業の最後に魔術の試験が行われ、ようやく解放されたクラスメイトは

開放感から思い思いに会話に花を咲かせ鞄を持ち、マリーに気遣いの一言を掛けてから

帰っていく。


賑やかだった教室も落ち着きをとり戻り、そろそろ良いだろうとマリーと話をしようと

体を向けると、眉をさげ困った表情をするマリーに


「どうしたの?」


声をかければ


「この後、お時間を貰えますか?」


帰ってきた言葉にすぐさま頷き返せば


「着いてきて欲しいのです」


胸の前で握った手は震えており、顔色もさらに悪くなっており無理して笑っている姿に


「大丈夫よ。一緒に行くわ」


安心できる様に力強く頷き返すと、嬉しそうに微笑んでくれたもののそれでも顔色は悪く

マリーと自分の鞄を手に持ち、マリーと共に教室から出ようとするも


「エスメ待て」


ルイの言葉に振り返れば呆れた表情と共に


「マリーと、どこに行くつもりなんだよ」


告げられて言葉に、そういえばと思いマリーを見ると


「あの、生徒会室へ」


震え今にも消えそうな声で告げられた場所に首を傾げれば


「理由はわかりませんが、授業が終わり次第来るようにと言われまして」


マリーの言葉にルイが軽く眉を上げたが、


「そうなのね。ならば今から行きましょう」


ルイが何かを言う前にマリーの手を取り、


「ボーイック、また明日」


一緒に残っていたボーイックに別れの挨拶をすれば頷きと一緒に手を

軽く振り返事を返してくれ、呆れ顔のルイと3人で教室を出た。


が、生徒会室がどこにあるのか分からず動かしていた足を止めると


「エスメ、マリー、こっちだ」


ルイの案内され廊下を歩き階段を登ると、自分達のいる教室とは雰囲気が変わり

華やかな雰囲気に内心驚きつつ、先に歩くルイに着いて歩くと一つの扉の前で立ち止まり

視線をマリーに向けた後、扉を2回ノックした。


焦茶の扉がゆっくりと開き、


「マリーと付き添い2名できました」


対応してくれた人に私達の到着と入室許可をとっている声に


「付き添いは帰っていただきたい」


返ってきた言葉にマリーが体を揺らし強張らせるが、生徒会は高位貴族がいる以上

従う他は無く、


「マリー、教室で待っているから終わったら来てね」


少しでも心が軽くなればと声をかけると無言で頷いてくれ、生徒会役員に対応してくれた

ルイは扉の前から離れ、中に入るマリーを見送った。


ゆっくりと閉められた扉を見つめるも自分に出来ることは無く、マリーに伝えた様に

教室に戻りルイとお喋りをしながら待ったものの、1時間だっても2時間経っても戻らず

そろそろ学園の門が閉まる時間が迫っており、


「ルイ」


そう声をかけると言いたい言葉が分かった様で重い息を落とした後、再び生徒会室へ足を運び

再びルイが焦茶色の扉を2回ノックをすると、


「ルイ?」


扉の隙間から聞こえてきたディランの言葉に元気そうだと安心したのち


「親友を迎えにきました」


ルイ越しではあるものの声をかければディランが困った様に視線を彷徨わせた後、

中の人に伺い立てる様に声をかけると


「構わないよ。入ってもらって」


優しげな声と入室許可にディランが扉を開けてくれ、ルイが入りやすい様に

横にずれてくれたのでミランダやお祖母様から習った事を思い出し姿勢を正し

足先から頭の先まで神経を尖らせ生徒会室に入り、


「マリーの親友でエスメと申します」


習った様に礼をとると、


「同じくルイと申します」


斜め後ろから聞こえたルイの言葉にも顔を上げずに相手の許可を待つ。


「話は聞いているよ」


頭を上げて。


許可を貰えたのでゆっくりと顔を上げると、数人の男性とマリーの横に

1人の女性が座っており、


「エスメさん」


聞こえてきた報告に顔を向ければ、大粒の涙をこぼしてるマリーの姿があった。


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