表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

350/752

父は仕事を果たす


灯火が降り暗闇が広がり日中とは違い人の行き来のない廊下を1人で歩き、

目的の部屋に到着し、大きく息を吸い体の中のすべての空気を吐き出した後、

腹に力を入れノックを3回する。


内側から開かれた扉をくぐり数歩進んだのち立ち止まり


「遅くなり申し訳ございません」


集まっている方々に誤りを入れれば


「気にしておらぬよ」


正面に座る人物から柔和な声で返事が座るように促され、定位置となった場所に腰を下ろせば


「焦らせる様で申し訳ないが本題に入りたい」


テーブルを挟んだ上面に座る魔術師長の言葉に頷き返すと、数時間前に学園で起こった事が

淡々と報告され、生徒達の各家の爵位から社交界での立場なども聞き、

リリーから教えて貰った情報と擦り合わせつつ、耳を傾けていると


「ご息女は厳罰については何も申しておらず、判断に委ねるとの事でした」


同様、付き人からもそう告げられております。


救護室でエスメとルイの執務応答に心の中で息を落とした。


エスメの中では友達であるが、自分達大人やディランから見れは

ルイは付き人と呼ばれる位置になる。


世話をする使用人の立場で表されるが、本当の意味は護衛。


今日な事が起こった際に最小限になるよう処理しつつエスメの身を守る役目をこなしている。

本人と両院に了承を得て父が手ほどきをしたと報告を受けているが、

教えが良かったのか、覚えが良かったのか、それか双方か

正面に座る魔術師長はルイの事を気に入っている様で、高評価をいただいた。


問題は魔術を発動させた当人達への対応。


爵位は我が家が上だが、ディランの代で公爵から侯爵へと変わる微妙な時期でもある事に加え、

エスメは法に則り貴族籍を持っていない平民と言う立場。


対するは貴族籍のある生徒達。


家では勝るものの、個人では比較すらできない立場の娘。


歯痒く思いつつ、


今日の事は発動した魔術が制御不能になり起こった事故と処理をする事に決まり、

処罰は学園の教師陣に委ねることとなった。


おそらくは反省文と魔術の補習で治るだろう。


「当人が受けた傷はありませんので、良いかと思います」


心の中に燻るものはあるものの頷き、了承を伝えると


「傷が無いとは?」


隣に座る宰相の声に、


「受け止めたと聞いた右手を見ましたが傷も腫れもありませんでした」


視線を合わせ伝えると、さらに眉間に皺をよせ


「そうですか」


渋面な表情で頷いた。


ここからは、エスメを庇ったマリーと言う少女の対処の話し合いになる。


「やはり、光の魔術で間違いありませんね」


魔術師長の言葉に方々が息を吐き、


「保護の命を」


宰相から話を見守っていた王へ告げられれば深く頷き


「魔術師長、その生徒を法により王家にて保護をいたす。準備するように」


王の一言に魔術師長は深く頷いた。


本人の意向にそいつつ、王家からの保護に入るので今まで通りには生活する事は

不可能となり、始終護衛が付き、今まで習わなかった王宮マナーをはじめ社交界への

デビューもある。


エスメと仲が良いと聞いていた分、悲しませてしまう事に心が痛む。

が、立場上層も言っていられず、

何より、光を扱えるエスメと一緒にいる事で互いにどのような影響が出るかも分からない。


未知数に起こる事はできるだけ最小限に留めらければ。


揺れる心に言い聞かせ、冷静な判断を下せるように意識を切り替え、


今後もエスメの状況は変わらず過ごさせ、何か変化が無いかは注意深く見て行く事。

今回の事はマリーと言う少女の光の魔術が開花した事に話の重きをおき、情報開示をする事。

対象となった生徒達は注意人物として様子を見る事。


意見が纏まり、心の中で安堵の息を落とすとワインが振る舞われ方々からエスメへの

見舞いの言葉をいただき恐縮していると


「それにしてもルイという少年。騎士団へ欲しいのだが」


騎士団長からの申し出に眉を下げ、


「父が大変気に入っており、またルイの想い人も領におりますので本人は頷かないかと」


やんわりとお断りを入れると


「ああ。令嬢の思い人でしたね」


魔術師長から聞こえた言葉に首を傾げれば、


「なるほど。それは離す事はできないか」


騎士団長の納得したと言う言葉に、双方考えか捉え方が違う様な気がしつつも

諦めてもらえたようで良かったと息を溢し、美味しいワインを一口飲み味わった。



第350話


ふっと見ると去年まで紫の菖蒲が咲いていた所が黄色の菖蒲が咲いている事に気がつきました。

見ているようで見ていない物ですね。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ