父は子供達の無事に安堵した
肌寒さを感じつけた暖炉から薪が爆ぜる音と共に妻のリリーと娘のエスメのは
お茶会の計画の話に耳を傾けつつ、正面に座る息子のディランに視線を向ければ
入室をして来た時より顔色も良くなっており、
安堵の息を身体の中に落とすと、エスメからディランへと話を振られた事で、
少し顔の強張りが解けた様に微笑みと共にディランも安心したように息をつく姿に
重い息を吐き出した。
エスメは事の重大性を理解していない様で軽く考えているのは見て明らかだが、
ディランは第三者として家族として敬愛する姉がとなるとそう言う訳にはいかなかったらしいが
処理が終わるまで殿下から離れずに警護に回った。
が、顔色は悪く冷静とは言えない状態でもあった。
そう、報告を聞き子供ながらによくそこまで判断できたと褒めてたい気持ちはあるが、
殿下の側近という立場である以上は判断が甘いと評価されても仕方ない。
この後の処理と報告にギリギリと胃が痛む。
幸いな事に魔術師長からエスメは個人的な懲罰は望まないと言ったと報告を受けて入るが、
ルイの言葉にどう対応すれば納得させられるのか頭を悩ませる。
いや。ルイなら領主でありエスメとディランの父親が決めたならと表面上は納得するだろう。
エスメの手紙や父から報告として聞いていたルイと違うのは領を出た事で成長をした。
それとも、誰かた人と世の平民と貴族の違いを教えた人物が居たのか。
予想外の精神の急成長に驚いていれば魔術長からはその片鱗は会った時からあったと
告げられ自分が見落としていたのだと知った。
これから王城へ行き方々と細かな打ち合わせをしなければ。
その前にリリーと相手の各家の順位と繋がりなども打ち合わせをしなければ。
次々とため息と心が重くなる事が浮かび思わず額に手を当てると、
こちらの心情を察知したリリーが心配そうに眉を下げ心配げに見ている姿に
無理やり微笑み返すと、
「エスメ、ディラン。今回の事で疲れたでしょう。そろそろ休むと良いわ」
長々と引き留めてしまってごめんなさいね。
その言葉に
「いいえ。私の方こそご心配をおかけし申し訳ございません」
エスメの言葉に子供から大人へと成長をしてゆく過程に寂しく思いつつ
「また、落ち着いたら全員でゆっくりとお茶をしよう」
楽しそうに話していたのに無理に止めさせてしまったことへの詫びに提案すれば
「楽しみにしております」
笑顔で頷いてくれ、ディランの手を取り就寝の挨拶を告げた後、
フレディとマルチダを連れ部屋から出ていった。
明日までにディランの感情が落ち着いてくれれば良いが。
物静かでエスメの話を聞く事が好きなディランにしては今日の沈黙は異常で
「大丈夫ですわ。数日エスメと一緒に過ごせばディランも落ち着きます」
心配げに見送った事すらリリーは分かっていた様で、
「ディランのことはエスメに任せま、今回どれだけ自分の動きで
ディランを落ち込ませているか身を持って知る良い機会ですわ」
言葉とは裏腹に心配げな表情のリリーの考えに頷き、
「私達もできることをやろう」
親から領主へと気持ちを切り替える様に告げればリリーも母親から公爵を仕切る顔となり
短い時間ながらも知りたかった情報を得て、妥当だと思える案を出し合い
方々を居る王城へと向かう為に従者を連れ馬車へと乗り込んだ。
第349話
ひと雨降る毎に花や木の急成長に雨に濡れた紫陽花が色鮮やかに咲き誇り毎日見ていても飽きません。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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