姉、正直に伝える
どこか教師とは違う雰囲気は上に立ち事に慣れた雰囲気の人物が救護室に来てから
室内はどこか緊張した空気になり、
ルイと立ち上がり出迎えた魔術省や領で度々顔を合わせていた方でも、
今日は雰囲気が違いいつもの様に接して良いのか判断がつかずにいると
「そちらのソファに座りなさい」
いつまでも立っている自分とルイへ声をかけてくれ座る様に促してくれたので、
言葉に従い長ソファに腰掛け、ルイは座る事はせず斜め後ろに立った。
「状況を把握したい」
その言葉にルイと共に頷き、見たままの話をする。
見学の為に貴族クラスと少し離れた所へ移動し、見学をしていた所に自分達に向かって
火球が飛んできた。
「1つ目は足元に合った枝で打ち返しました」
ルイの言葉に落ち着いて思い出すとそんな気がしつつ頷き
「2つ目はマリーさんへ向かって飛んできたので、危機を感じ手を伸ばし受け止めました」
思い出したまま自分の咄嗟の行動を告げ、
「3つ目は避ける事はできないと思いマリーさんを抱きしめ庇いました」
再びマリーへと飛んできた火球を避ける事は難しく、マリーに当たらない様にと抱き込んだまでは覚えていると告げた後、
「エスメがマリーを抱き込んだ後、マリーから銀色のような光が溢れ出し
その光に触れた火球は消滅しました」
ルイから付け加えられた言葉に驚き振りむけば目が合った後、重々しく頷かれ
「自分は銀色だと思いましたが、人によっては白色だと言う人もいると思います」
更に付け加えられた言葉に、正面に座る救護の先生と魔術省の方は考え込んでいる様で
「1度、マリーさんを魔術省で診断をした方がよろしいかと」
恐る恐る告げられた救護の先生の言葉に魔術省の方がゆっくりと頷き姿を見て
不安な気持ちが膨らみつつも、教えて貰った微笑みと体勢を崩さずにいると
「彼女が目を覚ましたらその様に話をしよう」
自分の心情の揺れに気づいてくれたのかほんの少しだけ柔らかくなった声に
心の中で安堵の息を落とすも不安はまだ取れる事は無く、
「術を放った者へ言いたい事はあるか?」
突然聞かれた事に理解が遅れたが、
「これから気をつけてください。そうお伝えください」
自分の気持ちをありのまま伝えると
「処罰は望まないと言うことかね?」
探るような視線と言葉に頷き
「今はどんな理由で起こったのか分かりません。ですので、私からは何もありませんが
ルイはある?」
ゆるりと首を振り、後ろに立っているルイに話を流すと
「平民なので貴族の方々の判断に従うつもりです」
少し棘のある言葉ではあるもののルイの正直な気持ちも含まれおり、
ルイの意見を受け入れて貰えるように前に座る2人に視線を向ければ、
「分かった」
頷いてくれた事に心の中で安堵の息をこぼす。
後はマリーが目を覚ましてくれればそう思いつつもその気配は無くこのまま救護室で
過ごす訳にはいかないとなり、魔術省へと移動と検査をする事となり
帰るように告げられルイと共に教室へ戻れば、皆帰った後らしく鞄は自分達の物のみで
ルイの机の上にはボーイックからの置き手紙があり、
見学は中止になり、帰宅するように指示された事
明日、魔術の試験があるのとも書かれており
「帰って復習しないとダメね」
ルイと共に苦笑し、フレディが待ってくれている馬車乗り場まで2人で歩くと
馬車の前にはフレディだけではなくディランも待っており
「ただいま。ディラン、フレディ」
どこか不安げにしている2人の気持ちを吹き飛ばすように元気に挨拶をすると
ディランは苦しそうな表情をするも
「お帰りなさい。姉様」
挨拶を返してくれ
「お帰りなさいませ」
心配そうに眉を下げた表情のフレディに迎えられ
「ルイ、明日は試験、頑張ろうね」
また、明日
そう別れの挨拶を告げると、手を挙げ返事をしてくれたのを見てから馬車の中に入った。




