姉、日常となる
週5日は学園に行き、2日は休みを繰り返し
間も無く1ヶ月を過ぎようとしており、クラスメイトとも挨拶をすると
笑いながら返してくれる程に顔を覚えてくれるようになり、
昼食時は端に座る事が少なくなり、何気ない話題に混ざれる様になって来た。
少しづつ緊張が解け日常となって馴染み出してきたし、帰りに会う
ディランの友達の従者さん達とも話をしないが、フレディと通して
雰囲気が柔らかくなってきたのを感じ心の中で数度頷いた後、
「ルイ、お祖母様達に手紙を送るのだけど送る物はある?」
ディランを待つ中、一緒に待ってくれているルイに尋ねると鞄の中から
2枚の封筒を取り出し、
「頼む」
言葉と共に差し出された封筒を受け取り、無くさない様にフレディに手渡しすと
両手で受け取ってくれ胸ポケットに入れてくれた。
今日の出来事や授業の中話ながらいると、風に乗り甘い匂いに気づき話を中断し
周りを見渡すと
「どうしたんだよ?」
不思議そうにしながらも同じ様に周りを見渡しているルイに
「甘い匂いがしたから何処から気になって」
周りを見渡しても匂いの元となる物は無く首を傾げると、
「少し離れた場所にバラ園がございますのでそちらからでは無いですか?」
後ろにいたフレディの言葉に動きを止めフレディを見ると、
「こちらからでは見えませんが、奥にバラ園がございます。
先日の雨で花が開いてきたのかもしれません」
視線で場所を教えてくれながらの返事に興味がそそられたものの学園内
という事は、クラスによって入れる入れないと区分されている場所もあるので
「そうなのね。時間があったら今度行ってみたいけれど
誰でも入れる場所かしら?」
フレディに尋ねると
「どなたでも入る事は可能です」
返事が帰ってきたので
「教えてくれてありがとう。時間がある時に行ってみるわね」
お礼と共に伝えると、フッと思い付き
「ルイ。我が家の庭にもバラが咲いてるのだけど手紙と添えて送ってみる?」
手紙もあるので花を贈るには良いのでは無いかと思い付きルイに尋ねると、
少し考え込んだ後
「いいや。母さん花の世話なんてした事ないだろうし」
「そう?必要になった遠慮なく言ってね」
首を振りながらのルイの言葉に返事を返しているとディランの姿が見えたので
「ルイ。ディランが来たわ」
「そっあ。じゃ、俺は帰るな」
振り返る事なく立ち去るルイに手を振りフレディの手を借り馬車の中へ入ると、
暫くしてディランとフレディも馬車に乗り込みむと、ゆっくりと動き出した。
楽しい1日はあっと言う間に終わり、次の日がやってくる。
朝の予習復習を終え、ミランダが来てくれ身なりを整えフレディが迎えに来てくれ
ディランと共に朝食を取り、馬車に乗り学園へゆく。
馬車から降りるとルイが待って居て、ディランと少し話す姿を見た後
ルイと共に教室へ入り、クラスメイトと挨拶を交わし自分の席に座ると
「エスメさん、おはようございます」
マリーの挨拶を貰い
「おはよう。エスメさん」
ボーイックからも挨拶を貰い
「おはよう」
返事を返し少し話をした後、カバンから教科書を入れている何かを潰す音が聞こえ
中を覗いてみると、くしゃりと変に折り曲がった紙があり手を伸ばし
書かれている文字を見ると
『 放課後、校舎裏に来るように 』
意味が理解できずに眺めていると、
「何だよそれ?」
ルイの言葉に
「良いとは言い切れませんね」
マリーの少し怒った言葉に
「ま、お約束だよぇ」
ボーイックの楽しそうな言葉に
「そうね。でもせっかくなので行こうと思うの」
ルイ、申し訳なのだけど放課後フレディに遅れる事を伝えて欲しい。
言葉を付け加えると、ルイが目尻を上げ
「こんな名前もない呼び出し無視すれば良いだろう」
反対するが、
「初手が大切だと思うの。だから行ってくる」
心配しないで。
そう伝えると、先生が到着したようで扉が開く音が聞こえ
慌て顔を上げ、教科書とノートを準備し受ける体制を作った。
第335話
燕の子供の鳴き声を聞きました。毎日同じ様で違う日ですね。
ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
https://ncode.syosetu.com/n9341hw/




