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姉、弟だと言いたい


しとしとと降る雨。


目を覚めし聞こえた雨が降る音に耳を傾け瞼を閉じる。


屋敷に当たる雨の音


新緑に当たる雨の音


地面に当たる雨の音


様々な音階で鳴る音を楽しみ、時間を過ごすも


そろそろ起きて予習復習をしないと。


いつまでも聴いていたいが時間は有限でやらなければならない事もあり、

瞼を開け、ベットからら起き上がりベットサイドにお置かれている水差しで

喉の渇きをうるわした後、椅子に座り教科書を広げる。

この雨はいつ止むのか。


数時間後なのか、それとも明日なのか、


それとも数日後なのか。


誰にも分からない。


もし降り続く様なら予定されていた魔術の見学授業は野外で

行われるので中止になるのかな。


ぼんやりと考えつつ、復習をしていると聞こえたノックの音に返事をすれば


「エスメ様。おはようございます」


マルチダが姿をみせ、続いてフレディも入室してきたので首を傾げれば

朝の挨拶の後


「本日はこの様な天気ですので出発時間を早めたいとディラン様から提案がございましたが

エスメ様のご予定はいかがでございますか?」


ディランの伝言を伝えてくれるフレディに


「大丈夫よ。お心使いありがとう、そのように準備します。と、ディランに伝えて」


頷き伝言と伝えると短い返事と共に一礼をして退出して行った。


少し早めを心掛け身支度を整え、フレディのノックに返事をしマルチダと共に隣の

ディランの部屋に行き、朝食を済ませ雨の降る中馬車へのり学園に急いだ。


いつもは混まない馬車止めは普段より混んでおり、順番が来るのを待った後

先に降りたディランとの背中を見ながらフレディの手を借り馬車から降りると、

ざわりと空気が揺れた感じ、周りを見渡すと


なぜか視線を集めており、


心の中で首を傾げつつ背筋を伸ばし微笑み対応すると、遠くにルイの姿が見え


「フレディ、行ってきます」


フレディだけに聞こえる様に告げると、微笑みを返事に返して貰い


「ディラン、行ってくるわ。またね」


同じくディランだけに聞こえるように伝えると、


「はい。また帰りに」


同じ様に小さな声で返事をくれてものの、周りの人達から様々な感情の視線が向けられ


方々、大丈夫。身内です。

姉なんです。


自分より年下の女子生徒達の視線を受け、風魔法を発動させ雨を遮り品よく見える様に

ミランダとお祖母様の教えて貰った通りに体を動かしルイの元に行く。


寮から走ってきてくれたようで、雨を滴らせ全身雫が落ちる程に濡れているルイを

乾かそうかと手を伸ばすと


「後で良い。先に教室行こう」


挨拶をする間も無く歩き出したルイにも雨避けの風魔法を発動させ、教室に向かった。


建物に入った所で風魔法を解き


「ルイ、待って」


呼び止め、火魔法と風魔法を発動させルイの乾かす、


「ルイ、体が冷えているわ」


冷たい手を触り、温まれば良いと弱い火魔法でルイを包むと


「ありがとな」


嬉しそうに笑ってくれたのと同時にお礼を伝えてくれ


「どういたしまして。今日は時間が変わったのに迎えにきてくれてありがとう」


止めていた足を動かし教室に向かい、途中であったクラスメイトに挨拶をし

自分の席に座ると


「エスメさん、ルイさん。おはよございます」


マリーが声をかけてくれ、ルイと共に挨拶を返しそのまま天気の話をしていると


「エスメさん、マリーさん。おはよう」


ボーイックの声が聞こえ


「おはよう」


互いに挨拶を交わし合い、


「雨だね。これでは明日の魔術の見学授業は中止かな」


ボーイックの一言にマリーが頷き


「雨が止んだとしても足場が濡れていますから、中止かと思います」


確かにぬかるんでいると危ないもんね。


2人の意見に頷き返していると全員が席に座り、教師が教壇に立つと


「予定していた魔法の見学授業は中止となりました」


挨拶の後に告げられた言葉に、皆で頷き


「必ず行いますので、その心つもりでいて下さい」


続いて告げられた言葉に驚きの声が上がるも、注意と共に掻き消され

浮立つ雰囲気の中で授業が始まった。



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