友人は同居者をめんどくさいと思う
「エスメ、また明日な」
馬車に乗り込むエスメに声をかけると、手を振った後フレディさんの手を借り馬車へと入っていった。
窓と言う窓は外が見えないように黒いカーテンが引かれており、毎日見ても違和感が拭えない中
「ルイ、ありがとう」
すました顔で微笑みながら言うディランの言葉は沢山の意味が含まれているが、
「気にするな。俺とお前の仲だろ」
肩に手を置いて気が楽になれるように言ってやりたいが、平民と公爵家の跡取りという
天と地程の格差に倣い言葉だけで返すと、
嬉しそうに、でもどこか寂しそうに微笑み
「助かるよ」
返事を返すディランに、
本当は自分がエスメを守りたいんだろうな。
こいつも大概エスメの事が好きだしな。
ディランの姿を見て考え込むも、後ろから近ずく気配に
「ディランもフレディさんも、明日な」
触れ合わない様に距離がある内にディランとフレディさんに別れの挨拶を交わし走った。
領から出る前に奥様とイルさんからエスメとディランの関係とディランのご学友の説明を受け
理解していたが、実際に学園に来て平民クラスに通うエスメと
その周りの反応を見て言われた言葉に納得ができた。
エスメの瞳と態度に驚き遠巻きするクラスメイト
学力を試してくる教師陣
領にいた時は何も思わなかったが、王都は違うのだと体験と体感で理解させられた。
そりゃ、奥様もイルさんも心配するわけだ。
学園に入学してまだ両手に満たない日にちを過ごしただけなのに、色々見えてきたが
3年もあるんだ。
もっと色んな事が起こるんだろうなぁ。
やれやれと息を落とし、寮の門を潜り建物の中に入っていく。
大きな建物の中に数百という部屋があり、各部屋2人で1部屋を使う慣わしの様で、
飴色の扉にノックをし返事が返ってきたのが聞こえ扉を開ければ
「お帰り」
ボーイックが先に帰っていた様で、
「ああ。今日は早かったんだな」
真っ直ぐに机に向かい鞄を置き、着ていた制服を脱ぐ。
「逆だよ。ルイが遅かったんだよ」
返ってきた言葉に動かしていた手を止めボーイックを見ると、
「後、数分で門限だ」
返ってきた言葉に壁にかかっている時計を見て納得した。
「お嬢様の護衛も大変だねぇ」
簡単の部屋着に着替え終わるのを見計った様に告げられた言葉に黙って椅子を引き腰を下ろせば
「教師陣も探りなのか嫌味なのか学園で習わない問題を解かている」
嫌だねぇ。
軽い口調で告げらる言葉に返事を返さず、教科書を開き今日の復習をしだすと
「それに巻き込まれるルイもたまったもんでは無いよねぇ」
隣にある椅子に座り机に肘を付きながらの言葉に
「習う習わないは知らなかったな。なんでそんなこと分かるんだよ」
思った事を正直に問えば
「うん?だって俺だよ?」
よく分からない返事か返り、動かしていた手を止め視線を向ければ
「商売をやっているんだ。それぐらい知ってて当然さ」
飄々とした雰囲気と軽く聞こえる声と言葉に
「なるほど。ボーイックもあの問題が解けた事はわかった」
返事をか返すと
「お嬢様もだけど人の言葉をまっすぐ受け取りすぎじゃないか?」
肩をすくめながら呆れた様にいうボーイックに、
「ボーイックが曖昧に言い過ぎなんだよ。その言いかたは誤解されるぞ」
思ったままを告げると、言葉が理解でいなかったのか数度瞬きをした後、
「それで結構だよ」
笑っていいる様で目が笑っていない表情に呆れつつ、話は終わったと判断し教科書に視線を向ければ
「発案者が作った本当のショートブレットは美味しかったぁ」
「口に合って良かったな」
「スコーンも美味しかったし、今度はじゃが芋の料理が食べたいなぁ」
「本人に言えば嬉々として作ってくれるぞ」
「そうだろうけど、俺が知ってるのはおかしいと思わないのかい?」
返事を適当に返しつつ今日の復習を続けていたが、声を低くして探るように尋ねられて言葉に
「ボーイックだから知ってんだろ。さっき自分でそう言ったろ」
手を止め、顔を上げボーイックと目を合わせ返事を返すと
「へぇ、どうしてか疑問に思わないのかい?」
ニヤリと意地悪そうに笑うので
「聞いても答える気にない奴に聞く程、野暮じゃない」
ため息と共に返事を返し、
「それにボーイックがエスメとどう思っているか知らないが、俺から言わせれば弟が誰より溺愛し
友達や知り合いを大切にする、普通の人だぞ」
どうもボーイックの中のエスメ像と自分知るエスメとかなり違う気がして伝えれば、
「それは聞いているよ。目に入れても痛くない程に溺愛しているとね」
情報への自信と共に告げられた言葉に、
こいつの言う溺愛とエスメの溺愛は違うんだろうなぁ
心の中のため息を落としつつ、
「間違ては無いぞ」
一応正解だと伝えれば、自信に溢れた笑いで
魔術の授業で驚くな
そう思うと心の中がスッキリし、
「夕食前に終わらせたいから少し待ってろ」
勉強に集中したいと伝えれば、頷き自分も何かの本を手に取り表紙を開いたを見てから
教科書に向き合った。
第332話
真夏日が続いております、水分をとって無理せずお過ごしください。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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