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弟は姉を信じた


短絡的思考を読み切れなかった自分に非があり、

姉様の考えを少しでも読めていれば止められていた事態だった。


下品に笑いながら腰の鞘から剣を抜き、剣先を向け僕に向かって歩いてくる姿に驚き目を大きく開け、


僕の名前を呼びながら手を伸ばしながら僕に向かって走ってく来る姉様が見えた。


これから来る衝撃と予想される痛みを受けた時に、見苦しく無いよう歯を食いしばり、

威嚇を込め向かってくる賊から目を逸らさぬように目に力を入れる。


ゆっくりと振り下ろされる剣から目を逸らさずにいれば、


突然、視界が真っ暗になる中、後ろに押し倒されたのが体感として分かった。


手首を後ろで縛られている為に受け身を取ることが叶わず痛みがくることに身構えるも、

頭に回された何かの感触と、何かが打つかる音と折れる音をすぐ近くで聞き、瞬間に身構えるも痛みが来る事は無く、僕の上に誰かが覆い被さっているのが分かった。


誰かでは無い。


僕を身を挺して守ってくれる人はただ1人


「姉様」


はしたなく震えた声で呼びかけるも反応は無く、全身の血の気が引き震えが走る。


まさか


そんな


嫌な考えが浮かび訴えてくる。


「姉様、返事をして下さい」


焦りと恐怖で震える体に無理やり力を入れ声が震えない様に呼び掛ければ、体が上下に動き呼吸をしている事が分かった。


少し焦りが消えれば聞こえてきた揶揄し馬鹿にする音と言葉に怒りが生まれ震える中、

姉様が意識を取り戻したのか身じろぎ頭を上げると暗かった視界に光が入り、姉様の顔が良く見えた。


ぼんやりとした表情で目を彷徨わせているので、目が合うように小声で姉様を呼べはゆっくりとながらも合い


「大丈夫ですか?痛い所はありませんか?」


少しでも意識をはっきりできればと考え声をかけるも、虚な目は変わる事なくじっと目を合わせたまま


「あなた、だれ?」


姉様の声なのに、誰か知らない人物から言われた様な雰囲気に理解ができす返答ができず眺めるかし出来ない中、


「頭痛いし気持ち悪いし、なんなのこれ?」


うめく様に吐き出された言葉に唖然としていれば、


「何これ?頭から落ちて脳が揺れる程の強打なんて笑えない」


視界が揺れて気持ち悪い。


頭痛い。


仕事休めないのにこれじゃあ運転できない。


独り言のように小さい声で次々と言葉が聞こえるも、声は同じなのにどれ1つ姉様らしさの無い言葉に

戸惑い


「あねさま」


呼びかけると離れていた体が守る様に乗せられ、再び頭に腕が回された。


「私に弟なんて居ない」


頭上から聞こえてきた言葉に例え様にない恐怖に体が揺れ声を失えば、


「違うわ。可愛い弟が居るわ」


聞き慣れた姉様の声が聞こえ言葉をかけようとするも


「おとうと?」

 

再び違う人物の様な声に、


「そう。可愛くて愛おしいて愛くるしい弟のディラン」


姉様の言葉が続く。


「でぃらん?弟?」


「そう。その弟を傷つけようとした」


言葉がきっかけだったのか魔力が溢れ出すのが感覚で分かった。


「大切な弟を傷つけようとした?」


「私達を怖がらせる為にディランに剣を向け振り落とした」


「何それ、怒って当然だよ」


姉様と誰かの会話が続く中、姉様の魔力がゆっくりと溢れ波紋のように波打ち広がる。


このままでは姉様は魔法を発動させてしまう。


止めなければ。


「姉様。僕の話を聞いて下さい」


必死に動かせない体を動かし姉様の肩から顔を出すことかでき、


「姉様。僕は無事です。気にもしてません。ですので落ち着いてください!」


耳元で告げるも、聞こえていないのか魔力の溢れは止まらず、薄い布に覆われているかの様に視界が霞み揺らめく。


「姉様!落ち着いてください」


必死に呼びかけるも、聞こえてくるのは賊達の戸惑いと恐怖の声と外へ逃げた足音。


ゆっくりと溢れ出す魔力に必死に頭を動かし


「姉様、腕が痛いので縄を解いてください!」


僕に意思を向けるように告げれば、


瞬間に魔力が消えさり、慌て姉様の体が動き


「ごめん!すぐに解くね」


頭に回されていた腕が抜かれ、覆い被さってた体が離れると腹筋を使い起き上がった。


「痛いよね。すぐに解くからね」


背中側に居る姉様は聞き慣れた声がするも様子を伺いながら


「姉様の力では手を痛めてしまいます。何処かに刃物が有ればいいのですが」


縄に触らないように伝え、視線を動かし刃物を探すも見える範囲のは無い為に立ち上がろうと体動かすが、


「ディラン。動かないでね」


姉様の言葉の後、手首辺りが暖かく感じ何かが焼ける匂いが鼻に着いた。


火魔法で縄を焼き切っているのか。


あれだけ阻止したかった魔法を使わせてしまった事にため息を落とすも、


「ありがとうございます」


自由になった腕をゆっくり動かし痛みが無いかを確かめつつ、


「いつ賊達が戻ってくるか分かりませんから小屋から出ましょう」


姉様に手を差し出せば、嬉しそうに笑い、


「そうね。会ったら大変だものね」


手を乗せ、2人で小屋を出る。


「フレディと騎士団長も助けに行かないとね」


意気揚々と告げる姉様に


「そうですね。闇雲に歩くより手がかりが欲しいところではありますが」


同意をしながらも、先程の違和感が拭えず


「姉様はどこか痛いとか気分が悪いとかは大丈夫ですか?」


探るように問うも


「打ち付けた頭は痛かったけどもう大丈夫」


何事も無かった様に返り、さらに探りを入れたくなるも


弟なんて居ない。


耳奥に残っている声を思い出し背筋を震わせ探るのを止めた。


姉様は姉様だ。


突拍子も無い行動も奇想天外の発想も姉様だから。


目を閉じ、息を吐き出すのと同時に疑い怪しむ考えを心から追い出した。



第33話


もう少し書き足したいのですが長くなってしまうので簡潔に。


ブックマークに評価と星を押していただきありがとうございます。

誤字脱字を教えていただきありがとうございます。感謝しております。


1つ台風が消えた様ですがもう1つありますね。なんだか上陸しそうな動きで心配です。

ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしけれお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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