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姉、自己紹介を受ける


入学式の始まる直前に講堂に戻る事ができ、ルイと共に最初に座った席に腰を下ろしホッと息を落とした後、

教師であろう男性の方の始まりの言葉に、元々伸ばしていた背筋に力を入れた。

長い校長先生からの祝辞をいただき、王立と言う事で王族の代表者の方の祝辞を聞き、


どの時代も、どの国も入学式の流れは一緒なのね。


前の人生でどの時も緊張していた入学式だけど、横に親友のルイがいると行く事だけで心強く、

何より、ディランが視界の端に居る事が何よりも嬉しかった。


王族の方の祝賀が終わり壇上から降りているのを見ていると入れ違いに壇上に登った

数人の紺色のブレザーの制服を着た生徒と1人の女性の中に、ディランが含まれており、

思わず笑顔になりそうになったのを、頬に力を入れ習得した淑女の微笑みにいているも、


「エスメ。顔 」


小さい声ながらも力強く注意するルイの言葉に


「分かっているわ。でも無理よ」


背を伸ばし紳士らしく立っているものの、心許無く落ち着かないディランの姿に


ディラン、大丈夫よ。

しっかりできているわ。


心の中で応援をし、誰がかマイクを通して話していたが何1つ頭に入らず壇上から降りるディランの姿を見守り、顔を動かす訳には行かないので視界の端で椅子に座るまでをしっかりも届け、


帰ったら、フレディも巻き込んでいっぱい褒めよう。


忘れない様に心に刻み込み、恙無く入学式を終えた。


その後は、これから使う教室や体育館や運動場などの見学を全員で終え、教室へ戻り担任となる教師の自己紹介と教科についての説明が行われるとの事で、各自好きな席で座っていると、


「あの。隣、よろしいですか?」


柔らかな声に顔を向けると、先程ぶつかってしまった女性が立っており、


「ええ。どうぞ」


微笑み、小さく頷くと嬉しそうに笑い椅子を引き腰を下ろす姿を無意識に見つめていると、


「あの、私、マリーと言います」


頬を染め、恥ずかしそうに伝えてくれた言葉に、


「私は、エスメと言うの。これからよろしくね」


お礼の言葉を口にしかけたが、クラス全員自分より年下の様なので慎重に言葉を選び伝えると、


「俺はエスメの親友で、ルイ。よろしく」


ルイも自己紹介をしてくれたのでどこか張り詰めていた雰囲気が和らぎ、


「あの、エスメさんもルイさんも、素敵な制服ですね」


初対面同士、会話をするぎこちなさが微笑ましくて


「嬉しい、ありがとう」


自分が褒められた様に嬉しく笑っていると、


「ご出身の領の刺繍ですよね」


前に座るルイの横に腰掛けた男性の言葉に


「領の事を知っているのですか?」


緊張感が漂う教室の雰囲気が軽くなればと思い話を続ける為に尋ねると、


「ええ。父が商会の関係の仕事をしておりまして、何度も足を運んだ事があります」


人良さそうな笑みと共に返ってきた言葉に、ルイが分からない程に警戒を詰めたのを感じつつ


「そうでしたか。知っていただきありがとうございます」


贔屓していただけると大変ありがたいです。


心の中で呟き、お礼だけを伝えると微笑み返され


「こちらこそ、よろしくお願いします」


意味深げに告げられた言葉に察する事はあったものの、


「貴女の瞳は本当に素敵ですね」


突然の言葉に内心驚いたものの、数度瞬きをしたのち


「ありがとうございます。大好きな人に空と大地の色と言われてます」


返事を返すと、


「なるほど。上の青は空、下の茶色は大地の色。とても素敵な表現ですね」


まじまじと目を見られたながらの言葉に、嬉々として返事を返そうとするも


「失礼ではありませんか?」


少し固く告げたマリーの言葉にすぐさま視線を外してくれ、


「これは申し訳ありません。あまりにも綺麗な瞳でしたので、つい見惚れてしまいました」


眉を下げ、申し訳なさそうに表情を動かす姿に引っ掛かりを覚えるものの、


「いいえ。気にしていないわ。マリーも、お気遣いありがとう」


初日からクラスの雰囲気を見出すのは良くないと思い、遠巻きに自分達の事を見ている生徒達にも

伝えるように返事を返す。


できれば全員と良好な関係をと思うけれど、人はそれぞれ考え方も捉え方も違う。


3年間学ぶ生徒もいれば来年編入してくる生徒もいて、去ってゆく生徒もいると聞く。


友達でなくても、好き嫌い関係無く困っている時に助け合える関係を作っていけたら良いな。


率先して動ける自分であろう。


このクラスの1番年上ということはお姉ちゃんでもあるんだもの。


話かけてくれた男性に警戒を強めいているルイと少し怒っているマリー改めてお礼を伝え、

こちらを観察する様に見ている男性にミランダに習った淑女の微笑みを向けると、


「申し遅れました。私はボーイックと申します。仲良くしていただけると嬉しいです」


自己紹介を聞きつつ、少しだけれども彼の性格が掴めてきた気がし、


私に、お願いしても融通聞かせられない事を早めに理解して貰えたら良いな。


マリーとボーイックの真逆の感情に心の中で苦笑しつつ、


「エスメと言います」


名前だけ告げると、笑顔で返された。


第321話


4月も最終週ですね。あっという間に5月。GWも直前ですね。天候が良いと良いのですが。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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