姉、弟の制服姿を見る
2023/04/22誤字修正をおこないました。
教えてくださった方ありがとうございます。
いつも通りの時間に起きたものの、王都の屋敷では朝の勉強を行うか行わないかをお母様と決めていなかった為、2日目の朝はいつも通りに起きたものの何をする事もなく、2度寝する程に眠気も無く
「どうしよう」
部屋の中をうろうろするも、本棚の前に到着すれば自然と本に手が伸び読みかけだった本を手に持ちソファに腰を下ろした後、火魔法石に力を流し灯を灯した。
本屋さんの店主さんが体験し書き上げた本は性格が出ていて、淡々とその街の雰囲気に人柄また領主の考え方などが綴られており、
もしかすると自領のことも書かれているのではと逸る気持ちを抑え文字を読んで行くも、聞こえてきたノックの音に本から顔を上げ返事をすると、
「エスメ様、おはようございます」
マルチダの挨拶に
「おはよう」
同じく朝の挨拶で返事を返し、
「そろそろ時間かしら?」
首を傾げ尋ねれば
「はい。ディラン様も先程、起床されたご様子でした」
返ってきた返事に
「なら、身支度を整えないとね」
ソファから立ち上がり、持っていた本を本棚に戻し身なりを整えてゆく。
「どうかしら?」
一通りを終えマルチダの前でゆっくりと1回転すれば、微笑み頷いてくれた。
髪結いも1人でこなせる様になり、左右に分けて耳元で結ぶだけではなく室内帽をかぶる為に高く1つにまとめお団子にする事も手早くできる様になった。
少しだけどもできる事が増えている事を実感し嬉しく思っていると、ノックの音に返事を返すとマルチダが対応してくれ
「おはようございます」
入室後フレディからの朝の挨拶に
「おはよう」
同じ挨拶を返せば
「朝食のご準備が整いました」
返ってきた言葉に頷き、フレディの案内の元マルチダを連れ隣の部屋にいるディランの部屋へ入ってゆく。
「ディラン。おはよう」
朝の挨拶と共に抱きしめれば、
「おはようございます。ゆっくり休む事はできましたか?」
ディランも受け入れ背中に腕を回してくれ、
「ええ。ぐっすり眠れたわ」
気遣いの言葉に嬉しくて抱きしめる腕に力を入れていると、
「エスメ、ディラン、おはよう」
聞こえてきたルイの言葉に腕を解き、
「ルイ。おはよう」
挨拶をするとディランと声を重なり、思わず顔を見合わせれば
「2人とも今日も仲が良いのは分かった」
ルイの呆れたと言わんばかりの言葉にディランと微笑み合い、
「さ、暖かいうちにお召し上がりください」
フレディの言葉に3人席に座り、スプーンを手に青豆のスープに掬い口に入れた。
ルイや私には慣れた食事だけれどもディランには足らないのでは?
スープと白パンのみの朝食は領で食べ慣れた食事ではあるものの、ディランは魚か肉の品が付くはずなのに置かれた品は2品のみ。
足りるのかしら?
ディランの様子を伺いながら白パンを食べていると
「なぁ、ディラン。今日空いている時間あるか?」
同じく白パンを食べながらルイがディランに話しかけ
「学園から帰った後なら時間があるが、どうした?」
同じ様に白パンを食べながらディランが返事を返す姿に、微笑ましく思い眺めていると
「剣の相手をして欲しいんだ」
「構わないよ。夕方ぐらいになるけれど準備しておくよ」
男の子ならではの会話を聞き、さらにどこまで習得しているのかなどで嬉しそうに盛り上がる2人を眺め、食事を終え紅茶を飲む頃には少し落ち着いたらしく、
「ディラン様。そろそろ学園に行くご準備を」
フレディの言葉に頷き、
「着替えてきますが、そのままごゆっくりしてください」
ディランは席を立ち、フレディを連れ入浴室へ入っていくのを見送り、
「ルイ。夕方の剣の練習に私も見に行って良いかしら?」
どこか居心地悪そうに座っているルイに声をかければ
「構わないぜ」
ぎこちないながらも頷いてくれている内に着替えを終えたディランが姿を現し
「可愛い」
単色のブレザーにネクタイと見慣れない制服姿に立ち上がりディランの全身をくまなく眺め
「こんな可愛いディランを独り占めしていたなんてフレディは狡いわ」
唇を尖らせこぼした言葉に、フレディからは苦笑で返され
「姉様、さすがにそれは」
ディランからは苦言を告げられ、ルイからは呆れた表情を向けられディランの手を握った。
頭では分かってはいるものの、心情がまとまらず口を閉じてしまうと
「今日は休みなのに、学園に行くのか?」
ルイの雰囲気を変える為の言葉にディランが頷き
「明日に行われる新入生を迎える式典の準備に行くんだ」
ルイの考えに賛同し返事をしており
「貴族のクラスが準備するなんて凄いな」
「準備と言っても、会場の進行状況の確認と式の打ち合わせだから全部すると言う訳では無いよ」
ルイの言葉に苦笑するディランに
「ディランだけでするのか?」
再び質問をすると
「いや、光栄な事に今期から生徒会メンバーに選ばれてね。数人で準備を行うんだ」
首を振りながら答えたディランの言葉に拗ねていた気持ちはどこかに飛んでいき、
「ディラン生徒会に選出されたの?」
言葉を挟むと
「ええ。ご学友から推薦をいただきまして」
微笑みながらの言葉に、釣られる様に微笑み
「凄いわ。推薦をもらうだなんて早々無いことよ」
自分の事の様に喜んでいると、
「そんなに凄い事なのか?」
不思議そうに自分やディランを見ているルイに説明をしようとするも
「ディラン様、エスメ様。そろそろお時間が迫っております」
フレディの言葉に頷き、ディランを見送るためにルイと共に玄関を潜り外へと向かい、馬車の前に到着すると
「では、行ってまいります」
ディランの言葉に前髪と払い、軽く唇を当てた後
「気をつけて行ってらっしゃい」
払った前髪を整え1歩後ろに下がると、
「ルイ。また後ほど」
「ああ。待ってる」
改めて剣の練習の約束を確かめ合った後、ディランとフレディは馬車に乗り込み馬車が動き出し見えなくなるまで見送りをした。
第316話
4月が半分終わってしまいました。目の前のGWに戦々恐々しております。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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