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弟は姉への心配が尽きない

2023/03/31 誤字脱字修正をおこないました。

教えてくださった方、ありがとうございます。


微睡の中で聞こえたノックの音で瞼を開け、寝ているベットから体を起こすと


「ディラン様。おはようございます」


挨拶と共に姿を見せたフレディに


「おはよう」


返事を返し、身なりを整えてゆく。


「ご準備が整い次第、朝食の準備に取り掛かりますね」


人肌に暖められたお絞りで顔を拭き、制服に着替えをする。


「今日の朝食はエスメ様が考案されたメニューだそうですよ」


「それは楽しみだな」


新しく作った冷たいスープだろうか。それともじゃが芋を潰して作った料理だろうか?


内心楽しみで頬が緩みそうになるのを、口元に力を入れ気をつけるが


「先にいただきましたが、とても美味しく思わずおかわりをしてしまいました」


自分の反応と心の内を分かっているフレディの言葉に、視線を強めるも、


「ご準備をいたしますので少々お待ちくださいね」


気に留める事も無く、部屋を出て行くフレディを見送り、ソファに座り今日の予定を思い出す。


クラスの雰囲気にも慣れてはきたものの、どうしても人付き合いが上手くいかない部分が多くまだまだザッカリーに助けて貰う事が多く、


その都度お礼を伝えているものの気にしなくて良いと返事を貰いつつ時折ティーフードをお礼に手渡す時もある。


来年からは姉様とルイが入学してくると言うのに、こんな事では守る事はできないのではないか。


学園が楽しみだと手紙の文字から伝わる姉様の気持ちを損なわない様に今一度自分の態度と言葉に気をつける事にし、


「お待たせいたしました」


フレディの言葉に、ソファから立ち上がりパンから湯気が上るのを目で楽しみ手を伸ばす。


じゃが芋の冷たいポタージュは少し暑くなってきた気候に飲みやすく、お母様が大変喜んでいた品でその数日後にはルーク殿下から話題として聞かれた事があったメニューだ。


思い返せば姉様の考案し作った品が毎日のように食卓に登ると、数日後には殿下や側近候補の方々に尋ねられレシピをお渡しするという流れがいつの間にか出来上がっており、


街にあるカフェではショートブレットやプリンは当たり前の商品として販売されており、


改めて姉様の凄さを実感し食事を終えた。


その後は、馬車に乗り込み学園へ行き授業を受ける。


間も無く1年が終わろうとしている時期は新学期の授業計画などの話も聞くことがあり


「新学期に校内の広場にて攻撃魔法の実地を行う。その前に基本である魔法操作を学んで欲しい」


教師の言葉と共に教科書を開き文字を目で追い、黒板に書かれてゆく文字をノートに書いてゆく。


攻撃魔法は貴族では必須で、何かあった際に領民を守る為に発動させる。


姉様には知らないが、お祖父様が領境にある山から野獣が降りてきて被害が出た際に使用している報告書を度々見ているので、将来の為にしっかり学ぶ様に真剣に教師の説明を聞き、余談なして話した言葉もノートに書いてゆく。


姉様は魔法で攻撃ができる事を教えられていない。


姉様の中では魔法で攻撃をする事はあるのかも知れないが、正式に魔法専属の教師をつけて教える事はしていない。


学園に来て初めて習う事になる。


勿論、平民クラスなので攻撃魔法ではなく生活魔法になる。


今まで誰にも教えられる事なく魔法を発動させていた姉様はどうやって学び習得してきたのか分からないが、


姉様の事、


こうできたら良いな。


で、できた。と答えるのだろう。


姉様の思い付きや発想はどこから来るのか一緒に居た自分ですら分からない。


そんな姉様が今の自分の様に教師から魔法を並ぶのだと思うと不思議な気分になるも、笑顔で楽しかったと言うであろう事だけは想像でき、心の中で笑ってしまった。


いけない。


気が緩んでしまった事に気がつき、気持ちを引き締め教師の話を聞き始めたが気がつけば終了の時間を終えており、


「そういえば、魔法の教科の時間ににやけてたな」


殿下をその婚約者である令嬢に側近の方々と授業終わりにサロンでお茶を楽しんでいる時にザッカリーの言葉に、皆の視線が集まるのを視界に入れつつ


「いえ。新学期に入学してる女性は魔法が使えるので、この授業を受けたら楽しむのだろうと思いまして」


姉様の事をぼやかし伝えれば、皆様微笑ましそうに優しい視線と雰囲気になり居た堪れなくなるも、

聞かれた事への報告義務もあるので正直に答える。


「そうだね。魔法ができる者にとっては新しい学びはとても楽しい時間だ」


学園生活を楽しんでいただける1つになると良いね。


魔法を得意とするアーロ様の言葉に頷き、


「在学中は新しい生活魔法道具が開発し発売されるかもしれませんね」


ルカ様の言葉に、苦笑で返し、


「そういえば、新しい生活魔法道具が発売されるとか」


ルーク殿下の言葉に、


「はい。現段階ではまだこちらに届いておらず、間も無く皆様にお披露目ができるかと思います」


「室内の土や石を吸い取る魔法道具とか。母が楽しみに話してくれるよ」


レジー様の言葉に、


「発案者の者が、廊下の汚れが気になったとの事で」


流れるまま答えたものの、姉様が掃除をしている事を話している事に気づき言葉を切るが、目からの報告書で皆知っている事だと思い出し、


「働く者の役に立てば嬉しいと本人は申しておりました」


最後まで告げると殿下の婚約者である令嬢が嬉しそうに微笑んでいる姿が目に入った。


あの様な対面であったにも関わらず姉様の事を良く思ってくれている公爵令嬢に嬉しく思いつつも不敬にならない様に気持ちを整える為に紅茶を1口飲んだ。


それぞれがクラスでの話題や流行の話など、紅茶が飲み終えるまで続き


「そろそろ」


ルーク殿下の言葉でお茶の時間は終了を迎え、そのまま馬車へ向かい乗り込み屋敷へ帰る。


毎日、似た事を繰り返すものの、話題は毎日違うので楽しみの時間でもあり、


「姉様の発案した掃除機の事を皆様に聞かれたよ」


「皆様、お耳が早いですね」


馬車の中でフレディとする会話も毎日違い楽しい時間ではあるが、数ヶ月後には姉様が加わると思うと楽しみでもあり、悩みでもある。


悩んでいてもなる様にしかならないわよ。


フッと聞こえた姉様の声に心の中で頷くも、


「帰ったら今日の予習と明日の復習をするからそのつもりでいてくれ」


やはり事前にできる事はできるだけ用意しておきたいので、フレディに帰宅後の予定を告げれば、全て理解している執事はとても良い笑顔と返事をくれた。



第308話


3月も最終日になりました、今年に入ってもう3ヶ月が終わり時間の流れが早くて戸惑ってしまいます。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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