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姉、大好きを伝える

2023/03/24 誤字修正をおこないました。

教えてくださった方ありがとうございます。



いつもの時間に起きて、何事も無くキッチンの準備に取り掛かりじゃが芋で粉吹き芋を作っていた。


はずなのに、早く気がついたと言え焦げてしまい、薄い焦げ色になり言葉にならない気持ちを息と共に吐き出す。


行程に慣れ目を離して手を離してしまった故の失敗。


少しの焦げなので何かメニューを変えて食べれないかと頭を悩ませたものの思い浮かばず、

じゃがバターとしていただいた。


こんな日もあるわよね。


自分を攻め、後悔と落ち込みはしたが、心配そうにこちらを伺い声をかけてくれる皆の優しさで、


少しの焦げで気づけて良かった。あのまま気づかずにいれば鍋に焦げ付き洗うのに手間がかかり、じゃが芋を食べる事ができず捨てる事になっていたはず。


そう思うと、早く気が付けて良かった。前向きにとらえる事ができるランドリーはいつも通りこなす事ができ、自室に戻り工房の仕事を終え、


「と、言う事があってね」


ミランダとの自室でのお茶会では話題の1つとして笑い話にできるまでになっており、


「それは、早めに気づけ幸いでしたね」


ミランダが少し苦笑しながらも雑談の1つとして捉え返事をくれ、


「明日、また作るの。今度は焦がさないようにちゃんと見ておかないとね」


「さようですね。粉が吹き出すとあっという間に焦げてしまいますものね」


香りの良い紅茶で喉を潤し、


「救いだったのが、鍋いっぱいに作っていなかった事ね。沢山あったら私1人では食べれなかったわ」


「ポタージュにしても、パン生地として使っても焦げの臭いはありますものね」


止る事の無い話に、


「ミランダも、焦がした事があるの?」


フッと気づいた事を言葉にすれば、


「はい。まだ料理に慣れず度々失敗をし、苦心しております」


眉を少し下げ、困った様に微笑みミランダに、頷きで返事をすると


「同居人は、その都度励ましてくれるのですが毎回気落ちします」


なんでも卒なくこなしていたミランダの言葉に内心、驚きかけるも


「初めての事や慣れない事は、どうしても失敗してしまうものよ」


手に持っていたカップをソーサーに戻し


「何より、失敗をしないと何処がいけなかったのか、何が原因だったのかが分からないし、いざ失敗した時に対応方法が思い付かないもの」


上手くなるのと手早く出来るようになるには、沢山作り失敗する事だと思っているわ。


自分の考えを言葉にすると、


「さようですね。味加減や包丁の扱いなど何度も失敗して理解をし、ようやくできる事がありますね」


ミランダから返ってきた言葉に、前の人生で初めての自炊で身に染みた事に、深く頷き


「どんな仕事でも作法でも、失敗して自分の苦手を知ってそれを対処できるまでが1番辛いのよねぇ」


ほぅと息を落としながら、苦労話に花を咲かせてしまった事に気がつき、


「ダメね。なんだか言い訳みたいになってしまったわ」


慌て話の修正をかけるも


「日々、楽しい事ばかりではありませんもの。時にはこんな話をし、どう対処したのか、どう切り抜けたのか話を聞く事もまた、失敗した時の知識として役に立ちますので、お聞かせください」


同じ様にカップをソーサーに戻したミランダの言葉に、本当にいいのだろうかと思いつつ、失敗談を笑い話に変え話を続けると、壁側に控えていたボアさんが時折微笑ましそうに聞いてくれている事に気づき、


「ディランがね、眉間に深く皺を作りながらもなんとか修正する方向に持って行こうと考えるのだけど全然思い付かなくて、そうしたらフレディが案をくれてなんとかなったのよ」


自領に来る前の失敗談まで話が進むと、ミランダの驚いた表情とボアさんの微笑みながらも困った表情の変化が面白く、


「仕方ないわよね。だって面白そうだったし、あれば便利だろうな。て思ってしまったんだもの」


生活魔法道具の作成の失敗談は、ミランダとボアさんの反応が大きく出てつい少し盛って話をしてしまった。


「ディラン様とフレディさんとはお会いできておりませんが、お2人共エスメ様が大好きなのは分かりましたわ」


ミランダの言葉に嬉しくなり、


「私も、同じくらいにディランとフレディの事が大好きよ」


つい大きな声で気持ち表してしまい、慌て指先を唇に当てミランダの反応を見ると楽しそうに微笑んでおり、


「ミランダもルイもミラも、お祖父様もお祖母様もボアさん、テアさん、ハンナさん、イルさん、屋敷の皆も街の人達も皆大好きよ」


ディランの時と同じ声の大きさと速さで話すと、瞬きを1度した後


「ありがとうございます」


見慣れた微笑みとお礼の言葉に、


「どういたしまして?」


喜んでくれると思っていたが、反応が違い思わず首を傾げそうになったものの、首も耳も赤くしているミランダと、どこか恥ずかしそうにはにかんでくれたボアさんの反応に、


喜んでもらえて良かったわ。


心の中で微笑み、気持ちを誤魔化すようにカップに手を伸ばしたミランダを眺めていたら


「私も、エスメさんの事が大好きですわ」


小さな声で教えてくれた言葉が嬉しくて


「ルイは?大好きじゃない?」


思わず悪戯心で口にすると、目を大きくした後に淑女の微笑みに変わったのを見てあっと思ったが、


「エスメ様。少しよろしいでしょうか?」


聞こえてきた言葉に助けを求めるようにボアさんに向けるも、笑顔で断られてしまい、淑女とはなんたるかを懇々と問われお茶会は終了を迎えた。



第304話


数日大盛り上がりの野球が有終の美で終わったのをニュースで知りました。おめでとうございます。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/

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