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母は守る為の戦いに挑む

2023/03/19 誤字修正をおこないました。

教えていただきありがとうございます。


新芽が顔を出し、花々が色とりどりに咲き小鳥達が恋を歌う。


暖かさが続くと人々は着飾り、街へ買い物や散歩


そして自慢の庭園でお茶会を開く。


「本日はご招待をいただき誠にありがとうございます」


主催者である宰相様の奥様へ挨拶をすると


「忙しい中、来てくださりありがとう。間も無く皆様がお揃いになると思うの」


感情を隠した綺麗な微笑みに、同じ微笑みで返し差し支えのない話をして過ごせば、


騎士団長の奥様、魔術師長の奥様、外交官長の奥様、


そして、王妃様の席に座れば、


「我が夫の自慢の庭ですの。楽しんでいただけると嬉しいわ」


宰相の奥様の言葉でお茶会が始まる。


旦那様達が親ばか会と茶化し行う深夜で密会は女性陣では太陽の下でのお茶会になる。


主催は持ち回りなので当然我が家でも行っており、


「お茶会に来ると、いつも思い出して心が温かくなるわぁ」


当然、長女であるエスメは我が家のお茶会で色々やっているのを懐かしそうに語る王妃様のお言葉に


「ええ。いつぞやに突然風が吹き出し寒そうだからと、お心使いいただいたのを思い出しますわね」


宰相様の言葉に、貴婦人の微笑みで返し


「本当に。心身ともに暖かさに包まれ嬉しさのあまり夫と息子にも報告してしまったのよ」


魔術師長の奥様が朗らかに笑い、


「ありましたわね。わたくしは曇りだからと虹を見せていただきいたく、優しい心根に感動したのを今日のことの様に思い出せますわ」


外交官長の奥様のお言葉も笑みを崩さず視線で御礼を伝え、


「息子にも気にかけていただき、ありがたいことですわ」


騎士団長の言葉に内心焦りはしたものの頬に力を入れ微笑み続けるも限界が来て、


「あちらでも色々な事をしているようで、心配がつきません」


少し眉を下げ、母親の顔を見せると、


「お話は聞いておりますわ」


魔術師長の奥様の言葉にお礼を伝えると、


「素敵なレディーに成長していると聞いております」


母としてはこんな嬉しいことはありませんわね。


宰相様の奥様の言葉に


「はい。教える者が良い様で」


エスメの話から自然とミランダの話に流れ


「とても賢く聡明な淑女だとか」


外交官長の奥様の言葉に、


「まぁ。その様なお話がありますの?」


「なんでも、今話題の紙刺繍工房の運営の引き継ぎをしているそうよ」


「それは凄い事だわ。将来は職業婦人ね」


全員がミランダの出身国と経歴などを知っての会話に、何を知りたいのかを見極める為に、


「発案者が、女性1人でも賃金を稼ぎ生活ができるように運営したいと申して、その協力者ですわ」


少し深い話をすれば、皆がほんの少しだけ微笑みを柔らかくし


「良いお考えだと思います。夫ともお話をしましたが職業柄、怪我で動けなくなる事も寡婦になる事もあります。手当が出ますが自分の手で収入が作れるのは心強いもの」


騎士団長の奥様の言葉に、


「ええ。夫もそう申しておりました」


魔術師長の奥様もお言葉をくださり、ほんの小さく王妃様も頷いてくれた。


皆、国を思い民の為にと幼き頃から厳しく教育を受け育っている。


その方々に娘の考えを受け入れて貰えているのは嬉しく、何かあれば支援と後ろ盾にもなってくれそうだと心の中で安堵の息を吐きつつ、紅茶を1口いただく。


ミランダのご家族と王家から情報を求められている事は旦那様から教えられ、ここにいる全員が知っている事。


今日のお茶会はミランダの報告をどこまでするかの話し合いね。


ようやくお茶会の本質が見え、尋ねられるであろう事を予想し答えを作り上げる。


両国の目がミランダにも付いている為、向こうはこちらに伺いを立てなくてもいいのだが、両国の関係を壊さぬ為、またお互いどの程度まで容認で切るかを見極める為でもある。


将来王妃として育てられたミランダの立場は非常に危うい。


どちらかの王の命が下れば容易く会えなくなる。


お祖母様もそれを憂い、エスメが日々通うのを止めなかった。


何より、元平民である娘を王妃にするという、慕う貴族に後ろ足で砂をかける行為が国全体で受け入れられている事に違和感を感じる。


ここにいる全員がミランダに同情的であることに感謝しつつ、


「その彼女から将来は王都に店を出したいと営業方針を聞いておりますわ」


今、どの地域に出そうかと夫と話をしておりますの。


ご心配をかけている心苦しさに、少し先の話をすると皆、嬉しそうに微笑み


「それは良いことね」


「本当に」


口々に賛成を唱えてくださり、


「そういえば、そちらの領から学園に入学する者がいると聞きましたが」


外交官長の奥様の言葉に、微笑みを貼り付け


「男女1人づつ、入学の手続きを進めております」


「まぁ。2人も。大変優秀でいらっしゃるのね」


知っている情報も初めて知ったという言葉と表情に当たり前のように受け入れ


「1人は息子と同じ歳でして。学もでき武道の腕も良いので将来を考え入学をさせることにしました」


「将来は騎士かしら?それとも役人かしら?」


宰相様の奥様の言葉に


「どうでしょう。義父が大変気に入っている者なので王都での就職は難しいかも知れません」


流失防止と引き抜き阻止の意味を込め告げるも、


「本人が決める事。無理じしてはいけないわ」


王妃様が揶揄うように、告げるので心の中でため息を落とし


「さようでございますね。義父にもそうお伝えします」


感情を諭されぬ様に注意し微笑み返事を返す。


才能がある者は国もどの量も欲しい人材で学園に入学した時から目を付け成績や素性を注目し調べ引き抜きや勧誘をする。


この目的で平民枠を作ったのだから当たり前と言えば当たり前なのだけれど。


ミランダにしっかり引き留めてもらうよう言い含めなければ。


ルイの恋心を利用するようで申し訳ないが、元貴族で上位にいたミランダならそつなくこなしてくれるだろう。


何より。義父と領民に囲まれ育ったのなら一途な程真っ直ぐに恋心を貫いてくれると信じている。


義父と義母の結婚、それを良しとした領民。


王都育ちで貴族社会で揉まれ、社交界で学び培った経験と知識。


母親として、次期領主の妻としてしっかり仕事をせねば。


紅茶を飲み、気持ちを引き締め情報確認と探り合いに今一度挑む為に背筋を伸ばした。




第300話


花の便りを聞くことが多くなりました。春到来ですね。


ブッマークや評価、いいねボタンをいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/


フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。


お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!

https://ncode.syosetu.com/n9341hw/


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